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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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かるたーどぷりんえる

寝ながらこんな感じの夢を見て、それで書いたお話です。
本当は不破くんもいて、冷蔵庫とこっちを順番にそわそわ見ている夢だったんですが、不破くんはプリン見てそんなことしないと思いました。

それはそうと、こっちのブログにのせているお話で一応ちゃんと形になっていると思われるものを、ぴくしぶの方にも載せています。
http://www.pixiv.net/member.php?id=3647291
念のため。







(そわそわ!)



「カイトー。これ、作って」

 今日は午後までオフ、というその日の朝、珍しく早起きのシンくんが嬉しそうな顔をして持ってきたのは簡単に作れるプリンの素の箱だった。

「シンくん急にどうしたの」
「これね、コンビニで見つけてずーっと気になっていたんだ。カイトなら作れるかと思って」
「そりゃ、作れるけど。シンくんにもできるよ」
「本当? じゃあ、カイト一緒に作ろう。それで、一緒に食べよう」
「まあ、いいか。午後までやることないしな」
「やったー」

 子どもの頃、手作りプリンと言えば母さんが蒸し器で蒸すやつだと思い込んでいた俺が、母さんと一緒に買い物に行ったスーパーでたまたま見つけて、せがんで買ってもらって作ってもらったことを思い出す。(ちなみに、やっぱり母さんの蒸したプリンのほうが上手いし食べ慣れていて、プリンの素はそれ以来買ってもらったことがなかった)
 たしか、鍋で牛乳と一緒に溶かして、器に入れて固めるだけだったはず、と思いながらシンくんに渡された箱の裏を確認すると確かにそれだけだ。牛乳なら冷蔵庫に入っている。

「プリンのカップとかないけど、なにに入れる?」
「カップがいるの?」
「プリン液をカップに入れて冷やして固めるんだから」
「そうなんだ。僕、こういうプリンができるんだと思ってた」

 と、シンくんは箱のパッケージに書かれたプリンを指さす。どんだけ世間知らずなんだよ。
 ていうか、こういうプリンを作ってもらったこととかないのかな、とちらっと思った。シンくんの昔のことはシンくん自身がほとんどしゃべらないこともあって、俺もほんのうっすらとしか知らない。
 でも、シンくんが嬉しそうにキッチンで手を洗っているから、それ以上何か言うのはやめた。

「プリンカップねーし、どうせならボウルに入れてでっかいの作ろうぜ? 俺、一度やってみたかったんだ、バケツプリン」
「うわあ、なにそれ。幸せそうだね」
「このへんでいいかな」

 キッチンの棚から、少し大きめの入れ物を一つ取りだして、それから鍋と牛乳を準備する。

「おし。シンくんやるぞ」
「らじゃー!」


**


「シンくん、冷蔵庫開けすぎ。出掛けるまでに間に合わなくなるぞ」
「うっ……。はーい」

 名残惜しそうな顔をしてシンくんは冷蔵庫をしめてこっちに戻ってきた。さっきまで座っていたところにまた座りなおし、雑誌を開くけれど、心ここにあらずという感じなのは相変わらずだ。
 気持ちは分かる。俺も母さんにプリンとかゼリーとか水ようかんとか、固める系のお菓子を作ってもらったときはこんなふうに食べられるようになるまでそわそわしっぱなしだったのを思い出す。

「隊長、早く来ないかな」
「オフの日も学校のレポートとか、大学生って大変そうだよな」
「だね」

 霧島くんにはさっきシンくんがメールを送っていた。『カイトと一緒にプリン作ったから、一緒に食べない?』と。そうしたら『大学のレポートをやっているから、終わったら行く。昼前には終わる』という返事が返ってきていた。

「隊長が来たら、プリン食べられるようになってるかな?」
「それまでにシンくんが冷蔵庫開けなければな」
「う、じゃあ、頑張って我慢する」

 カップにも入ってないし、デコレーションとかもなんもしてない、ただ本当にとかして、味気のないボウルに入れて冷蔵庫で冷やしただけのインスタントプリンなのにシンくんははじめての経験にとても嬉しそうにしていて、しかもはじめて自分で作った(ほとんど俺が作業したけど)プリンを俺と霧島くんと一緒に食べたいとか女子みたいな可愛いこと言うし。
 でもなんか、シンくんにとってそれって俺たちは家族みたいに受け入れられてるのかなって思ったらこっちも嬉しくなる。

「て、言ってるそばからシンくんどこに行くんだよ」
「ち、ちょっとだけ! ちょっとだけだから!」
「ダメだって! 本当に固まらなくなるぞ」
「え~。もう、カイトんちの冷蔵庫なんで透明じゃないの」
「無茶言うなし……」

 多分きっと、このプリンはすげえ美味いんだろうなって思う。
 俺も本当は、ちょっと様子が気になってるのは、シンくんを怒ってる手前、言い出せないだけなんだ。




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