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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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霧島くんと音羽くん

霧島くんと音羽くんは3Mj結成の2年前に出会って、それから魁斗が入って3Mjになった、といういきさつがすごく好きです。

この話 とか、 この話 とかがそのあたりの自分設定の話なんですが、
基本としては王子系ユニットとしてアイドルになると決められた霧島くんがアイドルとは、王子とはと考えていたところにその理想に近い形の音羽くんを発見して、3Mjに誘っています。音羽くんは家ももたず職ももたずでふらふらしていたところ、霧島くんがドーナツを食べさせてくれて住むところ(寮)を仕事(アイドル)をくれると言うのでついてきました。

そんな、魁斗加入前の霧島くんと音羽くんの話。







(大切なことは全部)



 僕の部屋に遊びに来ていた魁斗が、一枚の紙を棚の隙間から拾い上げた。

「シンくん、今これ、隙間に落っこちたみたいだけど」
「……? なんだろう」

 普段あまり触らない棚で、魁斗がぶつかったか何かした拍子にそれは隙間に落っこちたのだろう。僕はそれを魁斗から受け取って、眺める。

「ああ、これ。懐かしいなあ」
「なに?」
「ほら。ゴミの分別の方法。霧島くんに教えてもらった時に覚えられなくて、書いて覚えたんだよね」
「……はぁ?」

 それは、もう二年以上も前の僕の文字だった。
 まるで、別人が書いたようにも思える、そのメモを見て僕は懐かしいことを思い出した。




**





「ゴミ? の、出し方???」

 何一つ分からないと言ったような無表情で、音羽は問い返した。目の前の男は、当然のようにうむ、と頷く。
 くたびれたような長袖のシャツ一枚で、眠たそうに霧島の顔を見上げる音羽と、きちんとアイロンの折り目のついた襟つきのシャツを着て、メガネの奥の瞳を光らせる霧島は対照的だった。

「ああ。シン、お前、ここに散らばっているゴミをどうするつもりなんだ」
「……? わかんない。こういうのはいつも誰かがやってくれていたから……」
「そうか。入寮時のパンフレットに書かれていただろう。ゴミは各自分別し、まとめて指定された曜日に指定された場所に出すのがここでの決まりだ。更に言えば、各自の部屋は自己で清潔を保つことも、義務の一つだ」
「……? 霧島くんなに言ってるのか分からない」
「仕方ないな。上がるぞ」

 音羽をアイドルに勧誘し、この寮に住まわせるように手配したのは確かに霧島自身だったが、その霧島も、音羽がここまで生活力がないとは予想外だった。自分とて、一人暮らしの経験などなく、今まで実家の母親に頼りっぱなしだったことで自活するにはいろいろと不足を感じていたところではあったが、音羽のそれは霧島のそれを軽く上回り、今までどう生きてきたのかと疑われるレベルですらあった。 
 今もそうだ。
 音羽は「ゴミの分別の仕方が分からない」のではなく、その前提として「ゴミを指定された場所に指定された期日に出す」ということを知らないのである。結果、現在彼の部屋には今まで彼が一週間暮らしてきた痕跡…お菓子やコンビニ弁当の空容器、買ってきた服や雑貨のタグ、雑誌に挟まっていたアンケートはがき…などが雑多に部屋中に散らばっている状態である。 
 とはいえ、音羽はそれらができないのではなく、知らないだけなのを霧島は知っていた。少し根気は必要だが、教えれば彼はほとんどのことはすぐにやりこなすことができた。頭のいい男なのだろうと、霧島は推測している。

 ゴミを踏みつけないように気をつけながら霧島は音羽の部屋に上がり込み、デスクの前に置かれたイスに腰掛けた(そこが、唯一なにも置かれていない場所だった)。音羽は後からついてきて、霧島の顔と、自分の部屋を見回した後にベッドに座ってこちらを見た。

「俺が手伝ってやるから、この部屋にあるゴミをまとめて、部屋を綺麗にしよう。それで、分別をゴミの出し方を覚えるんだ。いいな」
「うーん。分かった」
「まずはゴミ袋が必要だな。大きいゴミ袋はあるか?」
「ないよ」

 考えてみれば、当然の返事だった。
 二人は霧島の部屋からゴミ袋を持ってきて、それを広げる。

「どうせゴミになるだけの袋って、変な感じだね。なんだかかわいそう」
「そうか? これがなければゴミ出しができないのだからとても重要なものだ」
「ふーん。そんなものかな」

 霧島は入寮のパンフレット(これも、音羽の部屋のキッチンのシンク下の引き出しに入っていた。なぜか)を広げて、分別について説明する。音羽はそれを聞いて分かったような分からないような顔をする。

「難しい……」
「難しくても覚えなくてはここでは暮らしていけないぞ」
「ん~。がんばってみる……」

 音羽は難しい顔で神妙にうなずいた。
 彼はここを出ると行く場所がない、と常々話している。日々暮らす金にも困るし、いつもお金と今日寝る場所のことを考えて過ごすのはとても辛い、と言っていた。だから、ここに住むことができてとても助かっているし、そのきっかけをくれた霧島には感謝しているのだと、この一週間でそれは何度も聞かされた。
「霧島くんのためになるんだったら、僕頑張ってアイドルになるよ」そう言って笑う音羽の顔は、まさに霧島が思い描いていた王子様の笑顔そのものなのだった。

 ついに音羽はメモ用紙(と言っても、その辺に落ちていたブックカバーの裏だった)を取り出して霧島の説明の要点を書き出し始めた。

「ビニールと紙は分ける……、紙は、名前の分かるものは分からないようにして捨てる。……ペットボトルはふたを外して、中を洗う。……うーん、いろいろやることがあるね」
「もう少しで片付くな」
「僕これ、明日から一人でできるかな……」
「困ったら俺を呼ぶといい。掃除くらいなら、手伝ってやれるだろうし」
「うん。ありがとう霧島くん」

 やがて部屋のゴミは綺麗に片づけられ、満足した二人はまずはホームセンターに出かけてゴミ袋をふた袋、買って帰ってきた。




**




「これ、その時のメモだ~。しばらくは覚えられないから、いつもこれを見ながらゴミ捨てしてたんだよ」
「シンくん、どんだけ生活力なかったんだよ」
「えへへ」

 毎日見ていたはずなのに、いつしかゴミの出し方も覚えてしまった。だから、このメモもどこかに置いたきり忘れてしまっていたのだろう。
 あの時霧島くんに教えられたとおり、今もきちんとゴミは分別してるし、個人情報だって面倒だけどちゃんと処理してる。たまには面倒だなって思うこともあるけれど、これをしなくなったら僕はここで暮らしてはいけないような気がして、なんとなく手抜きをする気にはなれない。ゴミ袋だって、ちゃんといつも常備してる。

「霧島くんには、いろんなことを教えてもらったんだよ」
「ダンスとか発声とかだろ? いいよなーシンくん。俺も霧島くんに基礎から習いたかったな」
「はは。でも霧島くん、けっこう厳しいよ? 出来るまで帰してくれないし」
「あー、そんなかんじ」

 魁斗がすこし眉をしかめながら笑う。僕も大変だったよ、といいながら笑った。

 本当は、ダンスや歌だけじゃなくて、いろんなことを霧島くんに教えてもらった。
 映画館でチケットを買う方法、ATMでお金を下ろすやり方、グリーン車と普通の座席の違い、図書館で本を探す方法、携帯電話を契約すること。それから、フレンチクルーラーの幸せの味。
 二年と少し前、今とはまるでちがう生き物のようだった僕にマトモに向かい合ってくれて、そしていろんなことを真剣に教えてくれた霧島くん。
 僕の過去の経歴を全部公表NGにしたのも、そういういろいろ出来なかった僕を知られないようにするためだっていうんだけど、そのおかげであの頃の僕と霧島くんの思い出は、僕と霧島くんだけの思い出になった。

 あの頃の僕が今の僕を見たら、どう思うかな。
 友達と、ライバルと、好きな子と、やりたいことができて今とっても楽しいよ。君も早くおいでって、言ってあげたいな。




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