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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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小僧そのにの話

マスター目線で、霧島音羽。






 小僧その2がはじめて店に来たのは、いつだったかよくは覚えていないが、小僧その1と一緒だったことは覚えている。
 その1は霧島司といって、まああの小僧どもの中ではマトモなほうだ。中学のころから隣の事務所でバイトみたいなことをしていたとかで、スタッフに連れられてこの店にもよくやってきていた。当時から礼儀正しく浮ついたところのない、よく言えば真面目な、悪く言うと時代錯誤じみた子どもだと思っていた。
 その、その1がいまや大学生になって、スタッフと一緒ではなく一人で店に来ては炭酸水を飲んだり野菜を食べたりしながら学校の課題をしたり読書をしたりして時間を過ごしていることが多くなっていた、あの頃だった。


「こんにちは」
「おう、またきたのか。……なんじゃ、今日は連れがおるのか」
「ええ。これから、一緒に活動することになりそうです」

 霧島司の後ろにいたのは、綺麗な顔をした小僧であった。ただし、その顔には若者らしい表情というものがなく、うつろに霧島の背中だけを見ているのが奇妙に見えた。
 霧島と一緒に活動するということは、アイドルになるということなのだろうが、この生気のない小僧にそれができるのか、そのとき儂は素人ながら心配に思ったものである。

「シン、この店にはこれからもお世話になることになるだろうから、きちんと挨拶しろ」

 霧島は後ろの小僧を振り返り、小学生にでもいうようなことを言った。
 言われた方の小僧はようやく目の焦点を取り戻してこちらに向け、ようやく口を開いた。

「音羽慎之介です。よろしくおねがいします」

 それが小僧その2、音羽慎之介との初対面だった。
 音羽は霧島と違ってミルクティーとホットケーキを注文した。随分と長い間なにか喋ったり笑ったりしていたようだが、二人が会計を済ませて帰った後にテーブルのシュガーポットをみると、角砂糖が2/3ほど減っていたので驚いたことを覚えている。


**


「こんにちは、おじいさん。いつものください♪」

 音羽は頻繁に店にやってくるようになった。こやつの「いつもの」と言えば、ミルクティーとドーナツと決まっていた。儂はそれに加えて、シュガーポットを一つ追加でテーブルへ持っていくことが常となっていた。

「また来たのか。あんまり食ってばかりいると、霧島にまた叱られるのではないか?」
「えっ。なんで知ってるの? さっき霧島くんに怒られてきたとこ」
「なんじゃ。またか。それで、ここへ逃げてきたというわけか」
「というわけです♪」

 音羽は最初のころとは別人のようによく喋るようになった。とはいえ、大抵一人で来たときは店の一番奥のテーブルを自分の指定席ときめ、そこに引き込んではなにをするでもなくぼんやりとミルクティーを飲みながら店の中を眺めているのだった。そうしてほとんどの場合、やがて霧島が迎えに来て音羽を引き取って帰っていく。
 儂は特に気に留めるでもなく好きにさせていた。音羽が帰った後、ほとんど空になったシュガーポットを回収しながら、あの二人がほんとうにアイドルになどなれるのかと疑問に思うのだった。



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