これが俺の物語だ

ウチのエアコンはどうしてこんなに風が出てくるまでに時間がかかるのでしょうか。
エアコンってのはみんなこんなもんですか、そうですか。

毎回「おせぇ！　今度やったらクビだかんな！」とハリー的に脅しをかけているのですが、無機質相手にそんな脅しが通用するわけもなく、今日も風が出てくるまで寒い寒いといいながら待っているわけです。

まあ、職場の人がインフルエンザにかかってですね。
風邪予防というのは大事だなと思いました。ここ数年私自身はどういうわけか風邪を引いていないのですが、毎日のうがい手洗いと、たぶん実家の母の栄養管理が行き届いていたからなんじゃないかと……。思うよ。
ありがとう母よ。
でも、そんな中家族は毎年風邪を引いたりしているわけだが。
やっぱりあれか、バカは風邪ひ(ry　というやつですか。まあそのとおりだよ。

そいで。
今日は成人式だったのですね。朝からニュースがやいのやいの言っていたので気がつきました。

……もうじうねんもまえのはなしってほんとですか。

「おー、雪～、久しぶりやなぁ！　ユキちゃんくんもおひさしぶり！　雪、カワイーやんか、その着物！」
「はるひ～！　はるひもかわいいよ！　千代美は？　会った？」
「あっちにいたで。アンタを探しとった。一緒に式には出ようって言うておいた」
「ありがとう。　羽学の同級生、ほかにもいた？」
「いっぱいおった。向こうのほうや。」
「じゃあいってくるね」

　一雪くんは同級生を探さなくていいの？　と聞いたら、別にいいよ、だって。男の子ってそういうものなのかなあ。
　朝から予約をしてようやく着せてもらった振袖姿の私と、就職活動にも使えるんだ、経済的、とかいって自慢していた（そんなところ自慢するところじゃないと思うけど、そういう人だからしようがないよね）スーツ姿の一雪くん。たくさんの新成人が集まってくる成人式会場であるはばたきイベントホールを、はるひに教えてもらったほうへと並んで歩いていった。

「でも、羽学の子達ばっかりのところに行くんだよ？　いいの、一雪くん」
「いいの。　とりあえず僕は君の彼氏だって主張しておかないと」
「なに言ってるの？」

　高校生だったとき、わたしは一雪くんのことをはるひと千代美くらいにしか話していなかった。好きな人がいるという話だって、ほかに佐伯くんにしかした記憶がない。
　だから、羽学の同級生たちは一雪くんの存在をほとんど知らない。

　だからこそついていくんだ、『久しぶりに会った振袖姿の同級生を見て、あのころの気持ちがまた……』なんてベタなドラマみたいな展開は嫌だからね。

　わたしには一雪くんの理屈はよく分からないけれど、でも、もし一雪くんがこれからはば学の同級生だった女の子に会いにいくとか言ったら、ついていくかもしれない。
　そういうことなんだと思う。


「あっ、志波くん、ハリー！」
「内海。久しぶりだな」
「おおーっ、あいかわらずだなあ」

　志波くん、ハリー、それに同じ大学だけど佐伯くん、千代美、氷上くん、
　羽学の同級生たちと楽しく話をすることができた。

　一雪くんはというと、その間珍しく邪魔しないで少しはなれたところで待っていてくれた。
　気になるから、わたしがちらちらとそちらを見ると、心配するなというようににこりと口だけで笑ってくれたのが印象的だった。

　……成人、かぁ。
　こうしていると高校生だったあのときに戻ったような気さえしてくるけれど、いったいこの先、わたしはどういう風に過ごすんだろうな。



　そういえば、成人式の最後にスペシャルサプライズ、としてはばたき市出身の　SUPER CHARGER が突然登場して一曲歌ってくれたのにはわたしも一雪くんもすごく驚いた。

　一緒の思い出、またひとつできた！