恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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とても珍しい瑛くん
珊瑚礁のことが大好きな瑛くんを書こうと思ったのに、いつの間にかデイジーのことが大好きな瑛くんのことを書いていたという罠……。なんかちがう。
瑛くんって、すごく難しいですね、特に口調。
言葉遣いが乱暴な様でいて、じつはそうでもない。
「~じゃねえよ」とかっていう言い方は絶対しないんですよね。
略したりとかもしないし、意外とちゃんとした言葉遣いをするのは、おじいちゃん子だからかなぁ……。
うっかりするとハリーになっちゃうし、「こんなんテルくんじゃない!!」と思いながらでした……
やっぱりテルくんは難しいよ!!
* 続きにてテルくんモノローグです *
「瑛と人魚と珊瑚礁」
「なんでじいちゃんが続けたいって言ってるのに、そうさせてやらないんだよ。あそこは、じいちゃんの店だろ、じいちゃんがやりたいようにやるべきだよ」
「瑛、子供は黙っていなさい!」
「黙るもんか。絶対におかしいよ、父さんと母さんが、あの店に対して口出しなんてして良いはずがない。人手が足りないっていうんだったら、俺がやる。俺が手伝う」
「そんなこと、できるわけがないだろう」
「やってもいないうちからできないなんて決められたくないね。じいちゃん、俺が手伝うよ、一緒に店、やろう」
自分でも、ムキになりすぎてるって、気づいてたんだ。
でも……だって、あのときの人魚が、もし、また戻ってきたときに、珊瑚礁がなくなっていたら、目印がなくなっちゃうじゃないか。
広い海から、あの灯台と、珊瑚礁を目印に、人魚が帰ってくるんだとしたら、俺は、それを待っていなきゃ。
だって、約束だから。
俺は、何年たっても探し出して見つけると、約束したんだから。
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「……あのさ、ひとつ聞きたいんだけど」
「なぁに? 急に」
堤防のコンクリの上を、バランスを取って両手を広げながら歩くあかり。
高いところに上りたがるなんて、小学生か? おまけに、ふらふらして、すごくあぶなっかしい。見ているこっちがドキドキする。
で、そんなコンクリの上から、夕日をバックに俺のことを振り返ってくる。何にも考えてないような、いつものへにゃりとした笑顔。
ときどき、あかりのこういう笑顔にすごく救われている、と思ってしまう俺も、ずいぶん末期症状なのかもしれない。
「おまえ、小さいころにこの辺に住んでたって言ってたよな」
「うん、そうだよ。小学校に上がる前まで」
「うん……そうか。わかった」
「なにが?」
「いや、こっちの話」
不思議そうに首をかしげるあかり。俺はあかりに手を差し伸べた。
「ほら、行くぞ。ちんたらしてる暇はないんだからな」
「はーい」
あかりは素直に俺の手につかまって、堤防からふわりと飛び降りた。
普段どんくさいくせに、そういうしぐさだけはとても身軽で、やけに印象に残った。
****************************************
「突然、店を閉めるって、なんだよ!」
「瑛、もう決めたことなんだ。分かっておくれ」
「じいちゃん……」
俺は店を飛び出した。
いつもはお客さんの来店を知らせるドアベルが、乱暴すぎるドアの開閉でがしゃんと聞いたこともないような音を立てたのを、背後で聞いた。
世間はクリスマスで、みんな町に出かけているんだろう。海辺はすごく寒くて、そして誰もいなかった。
寒いの苦手なのに、何かあるとすぐに海に来てしまう。……店を出てすぐ目の前が海なんだから、仕方ないけど、でも、イラついてるときや、感情が収まらないときに延々と続く途切れのない波をいつまでも見ていると、自然と心が落ち着いて来る。やっぱり、俺は海が好きなんだな、と思う時間でもあった。
夜の海は真っ暗で、水平線と海の境が分からない。町の明かりを反射して、時折きらきらと光る波が、今日も途切れなく寄せてはまた返していた。
じいちゃんが今日突然珊瑚礁を閉めると宣言した。
珊瑚礁は……、今の俺のすべてだ。
学校で、猫をかぶってみんなの「王子様」やってんのも、そのせいで友達と呼べるような奴がいないことも、好きなサーフィンを我慢してまで、店の仕事に時間を割いているのも。
俺から珊瑚礁を取ったら、きっと何も残らない。
それに。
幼いころに、人魚の女の子と約束したんだ。きっと見つけるって。伝説の中の人魚と若者は、幸せになれたのかどうかわからないけれど、俺はあの人魚の子を見つけて、きっと幸せにするって約束した。
俺は人魚を見つけてる。もう、とっくに。
けど、あいつが……俺のことも、珊瑚礁のことも、伝説のことも、全然覚えてないみたいだし、思い出す気配もないし。
だったら、思い出すまで待ってやろうって思ってるのに。
珊瑚礁がなくなったら、会う口実もなくなるし、珊瑚礁のことも、きっと思い出さないだろうな。
人並み以上にぼんやりとしたあかりのことを思い出す。
小さいころ、あいつにキスして約束した。「きっと見つけるから、泣くな」って。
そうしたら、小さな女の子だったあかりは、へニャりと今とまるっきりおんなじ無防備な笑顔で笑ったんだ。
あいつ、どうして思い出さないんだろう。俺はずっと覚えてるっていうのに。
あかりのことを思い出したら、急に会いたくなった。
あいつは今、学校主催のクリスマスパーティーとスキー合宿の最中ではばたき山に行っている。今頃……プレゼント交換でもして、浮かれている最中か。
クリスマスプレゼント……、なにも用意できないけど、それでもいいか。
俺は堤防まで駆け上がり、タクシーを拾うために通りまで走り出した。
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そおおおおおぉっか!!
というか、それだと大変に萌えます。(真顔)
昔、海で出会った女の子をずっと想って、一人でずっと頑張ってきた瑛くん。
そして一向に思い出さないデイジー(笑)
な、なななんて切ないんだっっ………!!!!
瑛がんばって幸せになってっ!と今ほど思ったことはありません。
ていうか、冒頭部分読んだ瞬間、「き、キタ!佐伯家だ、佐伯家!!」と舞い上がった私はもう、なんて言うか末期です。ハイ。
やたー!
(・∀・)イイヨイイヨー!!!!
あかりちゃんのこと好きすぎる瑛最高。もうあかり無しでは耐えられないんです!
あ、でもこの翌月に耐えられないって叫ぶんだった…。
そうか、あかりが気づかないでいるのにも「耐えられない」のかな?…いや、違いますね(;´∀`)
これ、サイトの方に載せた方がいいんじゃないでしょうか?
キュン死する女子大量発生ですよ!!
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