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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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閲覧注意な話

お久しぶりです。……つっても二日ぶりですか。
仕事の山場第一弾は越えました。今週第二弾、来週に第三段から第五段、
8月に入ったら第六段、そして予定未定の7段と8段が待っています。
……数えるんじゃなかった。

さて、今日は朝から寝ぼけ眼で某警視×所長フラグが「公式設定になった!!」と夢現で狂喜し、ついでに青い私服に萌え萌えし、それから第三のぷりきゅあのかわいさに滅多打ちにされました。髪が伸びるのは反則ではないか。というかショートカットじゃ駄目なのか。時代は金髪ツインテか。

えっと、全然関係ない話はその辺にしておいて、明日が瑛誕!!
ということでお祝いにお話を書きました。いろいろと特殊設定がモリモリのお話ですので、サイトにはあげ(られ)ません。
続きにたたみますので、以下をよくお読みになったうえでどうぞ。

こんな話ですが、瑛くんお誕生日おめでとう。


※ 注意!!
佐伯主(?)話です。
以前書いた「いつも、いつまでも」(赤主)の時の佐伯の話です。
つまり
・高校卒業後、大学生の話
・デイジーや佐伯は成人済
・赤城デイジーに惚れていた佐伯です
・でも失恋しましたが、それでもデイジーのことが諦めきれていません
・デイジーとはオトナな意味で関係ありでした


そういう佐伯の話です。よろしくおねがいします。




(眼科検診に行く理由)




女子学生達に取り囲まれるのは久し振りの感覚だった。
きゃらきゃらと頭に響く声、自分のことが好きだと恥じらうこともなくのたまう割には自分の都合など何一つ考慮してくれそうにない身勝手さ。
それでも、邪険に扱うことが出来ないのはこれはもう性分なのかもしれない。
今となればもう、誰に何を知られても構わないというのに。

(どうしろっていうんだよ)

佐伯が弱り切った顔でこんなふうに思うのも、久し振りのことだった。
きっかけはやはり先週のことだろう。
佐伯は、一流大学に入学して以来ずっとこういった女子学生からの「お誘い」は徹底して断っていた。

理由は二つ。
はね学を卒業したことで優等生の振りをする必要がなくなったこと、それから、付き合っているっぽい、もっと言えば恋人同士っぽい存在がいつも隣にいたこと。
自分で言うのもなんだが、佐伯と彼女は事情を知らないヤツらから見れば普通に仲の良い大学生カップルに見えていただろう。なにせ、佐伯はわざとそう見えるように振る舞っていたようなところもあるので。
しかし彼女は決して佐伯の恋人ではなかった。それどころか彼女にとって佐伯は恋愛対象ですらなかった。
そんなことも分からなかった(ある意味若く、青くさかった)佐伯ははね学卒業式の日、彼女に間抜けな告白をして、見事にフラれた。
佐伯にとっては晴天の霹靂。自分がフラれるなど思ってもいなかっただけに大いに動揺したが、動揺したところでどうなるわけでもない。失恋という現実が覆ることもない。
別に好きな男がいるのだと彼女は言い、しかしそいつとはもう会えそうもないのだとも言った。彼女とそいつは決定的にすれ違ってしまい、名前以外のことをなにも知らないそいつとはもう連絡をとることもできないのだと。

佐伯は何となく彼女の境遇と自分の身の置かれ方にすこし似たようなものを感じた。彼女と自分の違うところは実際にコトを起こしてフラれたかフラれていないか、そして、今好きな人に会えるか会えないかだ。
失恋の淋しさならよく知っている。佐伯は彼女が拒絶しないのをいいことに、そいつが彼女のもとに現れるまで、と勝手に一人で期限を切って、彼女は自分のもののような顔をして付き合っていた。

自己満足だってことも、長く続ければ続けるほどむなしいことだってことも、理性では分かっていた(なにせ、一流大学に対して苦労もせずに入学できるくらいの頭脳は持ち合わせていたので)。けれど、そんな理屈は彼女が好きだという気持ちの前では、木枯らしに吹き飛ぶ街路樹の葉っぱのように、自分ではなすすべもないものだった。


そんなわけで、彼女以外の女性とは今までほとんど交流を持たなかった佐伯だったが、三月程前、二度目の失恋(そして今度は付け入る隙もない、完膚なきまでのハートブレイク)をすることとなった。
詳しくはあまり思い出したくないが、つまりは彼女が待ち続けていた男が現れたということだ。それだけならまだしも、そいつは彼女と別れる前からずっと彼女のことが好きだったらしい。
紛らわしいというか人騒がせというか。
それだったらすれ違ったとか誤解だったとか散々遠回りをする前にさっさと告ってくっついていればよかったんだよ。
……そうすれば、俺がこんな想いをすることもなかったのに。
まるきり八つ当たりに他ならないが、佐伯はそうは思わずにいられない。
そしてあの、常にニヤケたような表情で人を見下した上から目線のいけすかない喫煙男のことを思い浮かべては、アイツもどうしてあんなのが好きなんだろうと疑問に思わざるを得ないのだった。そしてそのすぐ後に、好きな奴の幸せを喜べないなんて、自分は相当心が狭いと自己嫌悪に陥るのも、いつものことだった。


しかし同じ一流大学内で二人が付き合い始めたのであれば、さすがに彼女と今まで通りというわけにもいかなくなる。佐伯はしばらくはその辺にいる普通の男子のように(というのは佐伯にとっては最大の貶し文句に違いないが今回に関しては甘んじて受けることにする)ひとしきりは失恋の悲しみに浸って過ごした。
そして、ようやく浮上してきたかと思ったら、何を思ったのかたまたま女子学生に誘われた飲み会とやらに参加してしまったのだった。

佐伯くんが誘いに乗ってくれた!

その噂は一部の女子学生たちの間に光の早さで広まった。
腐っても(と、佐伯が聞いたら憤慨するだろうが)、「元・はね学のプリンス」だ。しかもはね学に入学した途端にひとつ年上の「前プリンス」をその座から引きずり下ろしたという輝かしい(?)経歴もある。(あまり話題には上らないが)
今まではいつも横にいる彼女? の存在があって、大っぴらに遊びに誘ったり自己アピールをしたりということに気が引けていた女子学生たちが、ここぞとばかりに猛烈にアタックしてきたのだから、本来王子などというキャラとは程遠い佐伯にはたまらない。

「佐伯くん、みんなで飲みに行くんだけど、一緒にどう?」
「みんな同じ学部の人たちだから、きっと楽しいよ」
「先輩たちも、佐伯くんに会いたいって」
「ね? 行こうよ!」

(うーん、どうしろっていうんだ)

はね学にいた時のように「今日はこれから塾があるから」とか「先生に呼ばれているから」とかというもっともらしい言い訳ができない大学生という身分が今は恨めしかった。
佐伯は、自分を取り囲むキラキラとした女子学生たちを睨まないように気をつけながら少し観察する。

世間一般で言えば、こういう子をカワイイというのだろう。
濃い薄いの差はあれど、みんな髪を染め、ある子はくるくるふわりと巻いていて、ある一人は頭のてっぺんで団子のようにまとめ、更には真っ直ぐに下ろしただけの子もいる。
目の周りを中心にバッチリとメイクを施し、色とりどりの服を身にまとう。佐伯の好みのタイプの服装もあれば、特にどうということもない格好の子もいる。肩にかけたカバンを押さえる手のツメがやけに長く、更にはパステルカラーに彩られてキラキラと光っているのが目にとまった。

(カワイイ……のかな。俺にはあまりよく分からない)

佐伯が好きだった――いや、今でも好きな――彼女は、こういうタイプではなかった。
本人に向かって言うと怒るだろうけれど、あまり化粧っけのない方だったし、服装も髪型も、普段はそれなりに普通だけれど時々信じられないくらいにダサかったりセンスがなかったりした。
(それに、服の好みも合わなかったな、アイツとは)
彼女が好きなのはなんというか「大人しめ」のしかも地味な色合いのものが多く、女の子っぽくて可愛らしい色使いの服が彼女には似合うといつも思っていた佐伯とはトコトン反り合わなかった。

(それなのに、スキって気持ちだけは全然小さくならなくて)

思いだしたら、会いたくなってきてしまう。
のほほんとした彼女の顔を思い出して、佐伯は一度首を振った。そうじゃなくて、その前にこの場を切り抜けなくては、家に帰れない。

どうやって誘いを断るべきか、佐伯が思案していると、透き通るような、それでいてまっすぐに突き刺さるような声がその場に響いた。

「佐伯くん! やっと見つけた~」

はい?
その場にいた全員が声の聞こえた方向へ目を向けた。ちょうど後側だった者はわざわざ振り向いてまで。
なぜかそうしたくなるような声だった。注目したくなるような、持ち主を確かめたくなるような声。
佐伯からは左側だった。ちょうど、いつもの癖で右手を頭のうしろにやっていた時だった。
首を横に向けると、見覚えのない、けれど一度見たら忘れないような――いわゆる、美少女――がそこに立っていた。

「さーえーきーくん! 聞こえてる?」

ぴょん、とその美少女は両足を揃えて踵を上げた。
それに答えるより先に、佐伯を取り囲んでいた女子学生達が、口々にぼそぼそ言っているのが(しかし全部丸聞こえだったが)聞こえてくる。

「誰?」
「ていうか、馴れ馴れしくない?」
「あ。私知ってる。文学部の天原さんだよ、天原みなこ」
「えー、それってもしかして」
「そう、受信強度が常にバリ3の残念なマーメイド!」


(なんだ、それ)
単純に女子学生たちの言っている意味が分からなくて佐伯は首を傾げた。
とにかくその…天原みなこという美少女は、自分のことを知っているらしい。
見知らぬ同級生に顔や名前を知られているのは佐伯にとってはそんなに珍しいことではなかった。けれどこうして声をかけられることはそれほど頻繁に起こることでもなかった。
佐伯は取りも直さず、その天原みなこに向き直った。

「俺、君のこと知らないけど、誰かと間違えてない?」
「そんなことないよ、佐伯瑛くんでしょ? はね学出身で経営学部、ついこの間まで好きだった文学部のうt……」
「わあっ! 皆まで言うな!」

自分とそいつの間にいた女子学生たちをかきわけ、佐伯はみなこの両肩を掴んだ。
びっくりするほど細く頼りない感触に驚いて、すぐにその手を離す。

「……あっ、いや、ごめん」
「やっぱり佐伯くんって積極的~~♪」

(なにがだ)とツッコむのは心の中だけにして、佐伯は自分の両手を見た。
(……? なんだ? 今の感触)
女性だからというだけではない。だって佐伯は女性の肩に手を置いたことくらいいくらでもある。華奢で小さな、でも幸せになるくらい柔らかい感触を知っている。
佐伯がよく分からない感情に苛まれている間に、みなこは佐伯の周りにいた女子学生たちに話しかけていた。

「というわけでみんな、佐伯くんは借りていくよ~」
「ちよっと、なに言ってんのよ」
「佐伯くん、天原さんのこと知らないって言ってるじゃない」
「だいいち、佐伯くんは私たちと飲みに行くんだから!」
「え~、でも……」

当然といえば当然のように猛烈に抗議をしはじめる女子学生たち。先程までは自分こそが佐伯と一緒の時を過ごすのだと互いに譲らなかったくせに、今度は一致団結してみなこのことを責め立てる。
きゃんきゃんと騒ぐそれはまるで気が弱い小型犬の様だと佐伯はいつも思う。形勢有利と見ると殊更大きな声を出すところなんか特に。
ふ、と一息つくと、佐伯はぐるりと振り返った。ちょうど、みなこをその背中にかばうような恰好になる。

「あー、最初に言っておくけど別に、俺はこれからどうするとか誰とも約束はしてないよな 」

佐伯の言葉に女子学生達は、でも、とかだって、とか口々に言いながら顔を見合わせる。
そんな鬱陶しいのは取り敢えず無視することにして、佐伯はきっぱりと言った。

「俺、今日はこの子と帰るから。それじゃ、また」

このしばらくあと、「佐伯くんが他の子に心変わりした!」という噂が一流大学の女子学生たちの間を光の速さで広まっていくことになるのだけれど、それはまた別の話。





夕暮れの近い海岸沿いの道は、少し風が強く吹いていた。

天原みなこは背中までの長い髪をその風になびかせて、佐伯に背中を向けて前を歩いていく。
着ているミニのワンピースも、風に揺れていた。ワンピースの下に黒いレギンスを履いているからか、裾が大きく広がるのを気にするそぶりも見せない。
佐伯はそんな後ろ姿を見ながら、ゆっくりと歩を進めた。

(やっぱり、知らない……よな。天原みなこ……みなこ……うーん)
さっき聞いた名前を反芻してみるが、やはり心当たりはない。もともと、佐伯は女性の顔と名前についてほとんど興味がなかったのだ。
しかし、好みとは外れているとはいえこんな美少女、一度見たら忘れそうにない。

「どこに行くんだ?」

佐伯は風に負けないように少し大きな声で、みなこに問いかける。
少し長い髪が目の前にかかるのが鬱陶しくて、海の方向の髪を耳にかけた。それでもすぐにふわりと風になびく。本当に風が強い。
天原みなこはくるりと振り返るとこちらに向かってにぱっ、と明るく笑った。

「珊瑚礁!」
「……はっ? ど、どうしてそのことを……」
「知ってるよ。わたし、ずっと前から佐伯くんのこと待ってたんだもん」
「……は……? ていうか、なんかサラッと怖いこと言わなかったか、おまえ?」

それってストーカーとか何とか言うんじゃないのか、という言葉が喉元まで出かかったが、一応ひとまずは呑み込んでおいた。まだ天原みなこが何者なのか、佐伯にはほとんど一つも分かっていないのだ。
しかし天原みなこはぴょんぴょん、と飛び跳ねるようにしてこちらに近づいてきて、そして少し下からキラキラとした大きな目で佐伯のことを見上げてくる。

「いつまでたっても迎えに来てくれないから、人魚はまた人間界に戻ってきちゃったよ。物語が変わっちゃったよ~」
「な、なんだよそれ……」
「とにかく! 今日から毎晩電話してね? それから学校も一緒に行こうね? 帰りも一緒だよ? ずっとずっと、一緒にいるんだからね!」
「ちょ……、ま、待てって! 俺、まだお前のこと何も……」
「大丈夫! これからいーーーーっぱい教えてあげるから!」

バンザイするように腕を広げ、またひとつ天原みなこはぴょこんと飛び上がった。


そんなワケの分からないようなことしか言わないみなこが自分のことを見る顔が、えへへ、と嬉しそうに笑う表情が、強い風に流れる長い髪が、そのすべてが夕日と重なって、佐伯にはなぜか髪の長い人魚姫の姿に見えてしまって、これはもう絶対にコンタクトレンズの度数が合っていないのだから、今すぐにでも眼科へ検診に行くべきだ、と佐伯は心に決めたのだった。






佐伯くん誕生日おめでとう!!
2010/07/18
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