やっぱり赤城

なぜかIMEに辞書登録していた単語がすべて消えました。ゆうきです。
このパソコンもう危ないのかも分からない……、夏のボーナスまで持ってね！！


と言うわけで赤城です。いや、パソコンが壊れそうなこととは全然関係ありませんが。
やっぱり赤城が好き。ウイニングバーガーで3回目に会ったときの話です。
なんか赤城の精神世界が崩壊してますが、広い心でスルーして下さい。

こんなん赤城じゃないっ！！　っていう苦情がきそうだな……えへ？

「こっちのほうが静かだから、行こうか」
「うん」

　久しぶりに会った彼女は、少しやせたような気がした。女らしくなった……というのかな？　いや、もう一年くらいぶりに会ったから本当はよくわからない。
　けれど、そんなに久しぶりに会ったというのに彼女のほうも僕のことを覚えていてくれた。そんな些細な事だってうれしくて、僕は本当に舞い上がりたいくらいの気分だった。

「照り焼きって、すきなの」

　すき……。すきね。照り焼きが。
　そんなことは分かってるよ。けどそんなの条件反射だ。男子の想像力馬鹿にするなよ。
　僕の目の前で、新発売の照り焼きうどんバーガーを食べにくそうにしながら口に運んでいる彼女。しかし僕はこのウィニングバーガーの開発担当者に拍手喝采でも浴びせてやりたい気分だった。（この際敬語とか何とか細かいことは気にしないでほしい）
　以前からウィニングバーガーの「挑戦的」なメニューについては賛否両論あるところだったし、実際僕もうどんは照り焼きにしないほうがいいだろうと食べてみて感じた。けど今僕が言いたいのは味とかそういうものじゃなくて。

「食べにくいな……」

　ぽつりと小さい声でつぶやく彼女。大きな口を開けてハンバーガーにかぶりつくことはせずにかわいらしく少しずつ食べているんだけど、時折指に照り焼きソースがついてしまうみたいで、それをぺろりと舌で舐める仕草。
　うどんがたまに口に入りきらずにちょっとだけその唇からこぼれ出てきてしまうところ。

　照り焼きうどんバーガー、GJ！！

　思いっきり見ていることを悟られないように、僕は細心の注意を払った。
　自分が思いのほか器用だったことに少しだけ感謝した。こんなこと考えてるなんて知られたら、ドン引きだよな。……気をつけよう。

　それはともかく、僕がセットのポテトを少しあげる、といったら「ありがとう」と言って彼女は笑ってくれた。
　やっぱり笑顔はたまらなくかわいい。

　名前を聞きたい。名前と、連絡先。一年以上も会いたかったんだ。このチャンスを逃してたまるか。
　けど、どうやって聞き出そう。さりげなく言ったほうがいいよな。いきなり聞いたりしたら、なんだかガッついてるみたいだし、ナンパとかそういうのと変わらない。ここはなにか話をしつつ「そういえば……」みたいな感じで行くのがいいか、ああ、そもそも僕だって名乗ってないじゃないか。けどこんなに会話をしちゃってから改めて「僕の名前は」なんて言い出すのも不自然だよな……。

　名前、連絡先。名前。連絡先。さりげなく名前と連絡先。

　心の中ではフル回転に思考回路が走り出していたけれど、そう簡単にはいかないものだ。
　だいいち、彼女はいったい僕のことをどう思ってるんだろう。偶然3回出会っただけの、ちょっと変わった知り合いとか、その程度なのかもしれないじゃないか。
　まじめに連絡先なんか聞いたら、引かれるかもしれない。

　彼氏がいたりするのかな。今日もかわいいカッコしてるし。いちいち僕が君の服装について茶化すのだって、気になるからだ。君のことについて知らないことが多すぎて、知りたいことが多すぎて、気づかれないように探りを入れる。彼氏とデートじゃなかったって分かって、胸をなでおろす。
　本当に馬鹿みたいだ。恋愛って、人を大ばか者にするらしい。
　けど、それでもいいと思ってしまっている僕がいる。くだらないことに一喜一憂して、なかなかスリリングで。

　もっと僕に勇気があれば。

　ファーストフード店のにぎやかな喧騒の中、僕は何気ない風に装った会話を続けていた。改めて、彼女のことが好きだと思った。