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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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かけつけ三杯(白米をご飯茶碗で)

連休で本棚の整理をしました。
実家にあるワンピース50冊を持ってきたいんだけど、どう頑張ってもそれを置くスペースは作れない。
そして、なぜかレポート用紙が3冊くらい出てきた。せめてノートなら使えるのに、レポート用紙。

そんで、テキスト二日でだいぶ書きました。
書く日常に慣れてきたぞ。




さて、拍手をいつもありがとうございます! 嬉しいです。がんばって今書いてるのをかき上げます。
それにしても、1話をUPしたものの続けていいやらやめていいやら、なリハビリ赤主を続きにたたみます。

注意書きをよく読んだ上で、許せる方はどうぞ。



・赤城×デイジー前提
・卒業後、大学生設定
・灯台に告白に来たのは佐伯、でも振られた
・佐伯とデイジーは今でも関係あり(大人な意味で)
・ぶっちゃけ、佐伯は当て馬です。

今日は今日も赤城は出てきません

いつになったら赤城は出てくんだよ、とお叱りをいただきそうだ。二日後です(先に言った)






(いつも、いつまでも)





羽ヶ崎学園の卒業式の日。佐伯瑛は灯台で内海雪に告白した。

「ごめんなさい……。瑛くんの気持ちは嬉しいけど」
うつむきながら震える声で言った雪の返事を、佐伯は信じられないような気持ちで聞いた。

「えっ……だ、……え?」

あの時の自分は自惚れていたと言っても過言ではない。内海雪も自分と同じ気持ちだと信じて疑わなかった。断られることなど、全く考えていなかった。
三年間ずっと一緒にバイトをして、デートにも何度か行って、いい雰囲気になったことだって何度もあった。
それを卒業するまでは、となんとか堪えていたのは佐伯自身、彼女に救われたからだ。
「喫茶珊瑚礁」と、高校生活と、両親とのこと。すべてから逃げずに向き合えたのは、彼女の存在があったからだった。
だから、彼女が幼いころに再会を誓った人魚だったと知った時は飛び上るほど嬉しかったし、やはり運命というのはこの世に存在するのだと柄にもなく思った。
告白するなら、灯台しかないと思ったし、そこへ予想通り雪がやってきたときにはもう告白する前から答えは決まったものと決めつけてすらいた。

それなのに。

「だって……俺、大学……」
「ごめんなさい。わたし、好きな人がいるの」
「………………はっ!? き、聞いてない!」
「だって、言ってないし」

思えばあの時、佐伯は最高に間抜けだった。思い出したくない。できることなら深い穴でも掘って埋めてしまいたいくらいの記憶。
そして初めて聞いた、雪の気持ち。

「ずっと好きな人がいたの……その人には、振られちゃったけど、でもわたし、その人のことが今も好きで、忘れられなくて」

信じられなかったけれど、佐伯瑛はその日失恋した。三年間、いや幼いころからずっと思い続けていた人魚は佐伯のものにはならず、既にどこかの誰かに心を奪われた後だったのだ。






それから数年がたっていた。佐伯瑛は、内海雪と同じ一流大学に籍を置いている。
「今すぐ忘れろって言われても、悪いけどそれはできないし、可能性がゼロじゃないっていうなら俺はお前のことを思い続ける」
佐伯はそんな風に宣言し、以来特定の彼女を作らずに雪とは微妙な友人関係を続けている。
ずっと雪のことしか見ていなかったのだ、今更彼女以上の女になど出会えるはずもない。
二人は時々並んで講義を受ける。買い物に一緒に行く。休日、二人で遊びに出掛ける。夕食を一緒に食べる。今は閉店し、空き店舗になった「喫茶珊瑚礁」に夜中に忍び込む。そして、朝一緒に登校する。
雪が一人暮らしをしている下宿の合鍵は佐伯が持っている。一人暮らしを始める、と言った雪に「女の一人暮らしなんて、なにがあるか分からない」とまるっきり保護者のようなセリフを吐いた佐伯に、「だったらなにかあったら瑛くんがいちばんに来てよ」と渡されたものだった。
高校生の時も、どこかぼんやりして無防備で、男に対してあまり警戒心を持たなかった雪のことを佐伯はたびたび心配していた。
「瑛くんって、お父さんみたい。頼りになるね」
そう言われたところであまり嬉しくはなかった。父親とは所詮恋愛などできないのだから。

このままずっといたら、きっとまた佐伯は勘違いしているところだった。雪は、やっぱり俺のことが好きなんじゃないか、と。
けれど、時々淋しそうにどこかを眺めている雪の姿を見ると、まだ、雪の中に本命の男が残っているのを思い知らされる。

(俺は、どうしても一番になれないか……?)

聞いてみたいけれど、雪を困らせるだけなのが分かっている質問は今の佐伯にはできなかった。


雪は、高校三年の秋以来顔も見ていないという男のことを今もずっと思い続けていた。
佐伯が惚れるほどの容姿を持つ彼女を、他の男がほおっておくはずもなく、佐伯が知っているだけでも片手では足りないくらいの告白を受けているようだが、いつもにべもなく断っているようだった。

「だから、俺と付き合ってることにしとけばいいじゃないか。そうすれば面倒もなくなるし」
「そんなこと、できないよ」
「マジメだなぁ、お前」
「それだけが取り柄だもん」
「そんなことないと思うけどな」

方便も時には必要だと佐伯は考えている。そうでなければ高校三年間、バカみたいな芝居を続けたりはしなかった。
けれど、佐伯とは違って変に真面目で頭の固いところがある雪はそういうわけにはいかないらしい。
佐伯と付き合っていることにしておけば、取りあえず面倒な男たちの相手から解放されるじゃないか、という佐伯の提案を雪はその場で却下した。

「これ以上瑛くんに迷惑かけられないよ」

こいつ、こんなふうに笑うヤツだったかな。
笑っているくせにちっとも楽しそうではない雪の表情を見て、もし自分のせいでそんな顔をさせてしまっているのだったらなんとかしたいと佐伯は思った。

雪が思い続けている顔も知らない男のことは深くは聞いたことがない。第一、聞きたくもない。
けれど、気を持たせるようなことをしてから結局は雪のことを振って、そしてこんなに長い間しばりつけて。
会ったこともない男だけれど絶対にいけすかない、気に入らない野郎だろうと佐伯は想像している。

そいつのことを思い続けて、弱くなっている雪につけ込むようにして身体だけ重ねても、佐伯の心は満たされない。
けれど、少なくとも、雪のそばにいることを許されている。本命の男よりもずっと雪のことを思っている自信がある。
それが今の佐伯の心の支えだった。

おそらく、雪の心が自分の方へ向くことはないのだろうと、佐伯は心のどこかで分かってはいた。
今の彼女は自分といてくれるのは、単に同情のような、慣れ合いのような、とにかくそういうものでしかないことも、彼女が心を、そして自分の求めに応じてくれることも、彼女の本心ではなくて自分のためだと思ってくれているということも分かっている。

(あいつ、バカ真面目すぎるんだよ……)

だから、ますますそこへつけ込んでしまう。
好きだから。少しでも自分のことを見てくれたら嬉しい。一緒にいたい。だから、佐伯は雪から離れられない。

(そんなの、全然報われないことだってわかってんだよ)





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