寝起きの頭で考える

WBC！　WBC！
盛り上がって見ているくせに、志波くんと絡めて見ることがまったくなかった。突然思いついた。
今からカレー作らなきゃいけないんだけどその前に考えてみる。

あと、春のセンバツもやってるんだよね。毎年春は全然見ないけど、高校球児なんだよねぇ、志波くんも。

　志波くんは年が明けてからずっと日本代表の合宿に入ってしまって、ほとんどうちに帰ってきてない。
　所属チームの合宿だったら、今くらいの時期には家に帰ってきてくれるし、何よりオープン戦だってもう始まっているのに、日本代表になってしまったみんなは今アメリカにいる。
　(なってしまった、なんて言ったらきっと怒られる。みんな日本の代表として頑張ってるんだから）

『さて、WBC決勝ラウンドの展望です……』

　連日テレビで盛り上がっていて、ニュースではそのコーナーがない日はない、という状態だけれど、残念ながら志波くんがテレビに映ることは少ない。インタビューに出るのはチームのキャプテンか監督か、試合があった日はすごく活躍した二、三人の選手だけで。

（志波くん、どうしてるのかなあ……）

　わたしも応援に行きたかったな。「一人でアメリカなんて、絶対にダメだ！」って志波くんが言うから、行くことが出来なかった。お母さんとかと一緒にいきたかったなぁ。

――　RRRRRR

　ぼんやりとテレビを見ていたら、電話が鳴った。テレビを消して、受話器を取る。

「もしもし、志波ですけど」
「あ。俺」

　少し遠くのほうから、聞きたかった声が聞こえた。

「あっ、勝己くん」
「元気か？　一人で大丈夫か？」
「うん、大丈夫。勝己くんは、大丈夫？　ご飯とかちゃんと食べてる？」
「ああ。今、練習終わって、ミーティングも終わったとこ。調子いいよ」
「明日の試合頑張ってね」
「ああ。……なんか困ったこととか、ないか？　なんかあったらすぐオフクロのとこ電話しろよ」
「大丈夫だよ。シーズン中だって、勝己くんいないときあるんだから」
「そうだな……」
「明日、怪我しないでね。もう一試合あるんだからね。テレビもみんな注目してるよ」
「ああ、できるだけ頑張る。それで、早く優勝して帰る」
「ふふふ。待ってるね。いつもテレビ見てるからね」
「ああ。……それじゃあ、な」
「うん。ありがとう」

　プツリ、とあっけなく電話は切れた。
　少し興奮してるみたいな、声だったな。調子がいいって言ってたの、本当かもしれない。

　明日は早起きして家事を済ませてテレビを見よう。





＋＋

んな、日本代表の志波さんでした。JAPANのユニフォーム着てる志波さん、カッコいいだろうなぁ……。
いつもそうだけど日本代表のユニフォームは色が渋くてカッコヨス。

よく考えるとプロ野球選手の奥さんになると、あまり会えなくなってしまってかわいそうになってくるんですけど。ほら、うちとこの志波くんとデイジーはいっちゃいっちゃらっぶらぶしてるのがデフォルトなんで、離れたくないというかいつも一緒にいたい願望が強そうなので……。