ものたりない

なんだ、「鶏肉抜きの筑前煮」とかそういうものを食べたりしているせいでしょうか。
なにかモノ足りないんだ、満たされないんだ！！


更新しました。今回は序章。次が本番。
しかし、全く萌えとかときめきとかに行きつかない話ですね。赤主よりも佐伯主と志波主のほうがよっぽど恋愛しているという。
そしてわたしはこれを赤主小説だと言い張るのであった。

赤主はね、高校在学中にラブラブできないから、いつも遠くから思ってて会いたいな、会えるかな、って思っているエピソードしかないから仕方ないよね、って思う。
そういう二人が好き。


そして、卒業後はいちゃいちゃさせるんだ……！


というわけで続きは赤主。

（意地っ張りじゃないもん）




「雪が絶叫系得意とは思わなかった。楽しかった？」
「うん！　すっごく面白かったね」
「そりゃ、よかった」

普段は恥ずかしがってなかなか手もつないでくれない彼女だけれど、こういうところに来ると多少は気分が開放的になるのか、僕が差し出した手を素直に握ってくれた。
高校卒業と同時に付き合い始めて三か月。そろそろ、慣れてくれてもいいと思うんだけど。

遊園地の園内を二人で歩いていく。次は、なにに乗ろうか。お城のほうに行ってみる？　とか、僕が少しよそ見をしていると、ぐい、と手が引っ張られた。

「……ん？」

みると、彼女の足が止まっている。そして、その視線の先に、小さなワゴンのショップ。
……あぁ。　この遊園地のマスコットキャラクターの耳がついたカチューシャだ。さっきからすれ違う女の子や子どもが良くつけていた。こんなところで売っていたんだ。

「ほしいの？」
「えっ……？」
「あれ。買ってあげようか」
「いっ、いいよ！　いらない」
「でも、すごぉく、欲しそうな目でみていたよ？」
「見てないもん！」
「隠すことないのに」

必死で否定する姿がおかしくて、そして可愛くて。けれどもそれを笑ったりしたらもっと意固地になるだろうな、って思ったから顔がニヤけないようにするのに必死だった。
それでも、少し笑ってしまったかもしれない。

「ねえ。やっぱり買ってあげる。行こう？」
「えっ、いいよ」
「遠慮しないで。きっとかわいいよ」
「かわいくなんかないし、似合わないよ」

どうしてこの子はこんなに自分のことを過小評価するんだろう。そんな疑問がちらりと頭をもたげる。
欲しいものを欲しいと言えず、女の子らしくおねだりもできずに隠そうとする。僕は君のそういうところがたまらなく好きなんだよ？　って言ったら、どういう反応をするかな。
ぐい、と手を引っ張ってワゴンのほうに歩いていくと、それでも雪は「やめようよ」と言ってくる。

だから、僕はくるりと振り返って言ってあげたんだ。

「君がつけたくなくても、僕が見たいんだ。だから、いいよね？」



店員さんにお金を払い終わって。
「なにそれ。そんな理屈、通用しないんだから！！」　やっとそこで反応を示した彼女の頭にぽん、とそれを乗せてやった。


「ほら。かわいい」



次の瞬間の彼女の顔。
カメラを持っていなかったのが今でも悔しくって。

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雪ちゃんは意地っ張りで恥ずかしがりやで自分に自信のない子です。
赤城は雪ちゃんのそういうところが好き、という変わり者であります。

この前のネコミミ妄想から思いついた、でずにらんどでの光景、でしたとさ。