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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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やっぱり師走は忙しいのであった

週が明けたらとたんにクソ忙しくなった。というか気分的に。
まぁ、今日が無事に終わったのであと3日です。……あと3日!?早いって。

「初日の出」というキィ・ワード(ぼ/く/地/球/風)が降臨してきたので、何かできたらいいなぁ……と、思いました。
書きたいなぁ。
こうして書きたいものばっかりたまっていくんだけどどうしたもんですかね。時間だけが全く足りてませんね。


取り合えずずいぶん早いけど思いついたものだけ下に投下しておく。









(初日の出・赤主)







「勝手に入って……怒られない?」
「大丈夫だよ。わざわざ大みそかの夜に見回りするような人もいないだろ」
「そうかな……」
「君、意外と気が弱いんだね?」
「あっ、赤城くんが大胆すぎるんだよっ!」

ちょっとからかうとすぐに本気にして、顔を真っ赤にして怒る。本当に、僕の恋人は分かりやすくて、見ていて飽きない。
ほら早く、そう言って毛糸の手袋に包まれた彼女の手を引いて、僕はその建物に入っていく。
ここに来るのは初めてだから、中がどうなっているのか分からないのだけれど、まあ、なんとかなるだろう。と気楽に考えてみてから、やっぱり僕は少し大胆というか、考えなしのところがあるんじゃないかな? なんて彼女に言われたことを少し気にしてみた。

それにしても、彼女のご両親がよく許してくれたものだ。
これも日頃の行いってやつかな。と僕は少しうぬぼれ気味に考えてみる。
それは、そうだろう。嫁入り前の女の子が、付き合っている彼氏と一緒に「夜通し浜辺の灯台にのぼって、二人で初日の出を見ます」だなんて。
僕がもし、娘を持っていたとしたらそんなこと許しはしないんだけど。

「赤城くんなら大丈夫だって。良かったね」
彼女にそう報告された時には、はっきり言ってご両親には申し訳ないやら、その上そんなに過剰に信頼されてしまっては逆になにもできなくなるなというプレッシャーすら感じた。
……もしかして、それが狙いだったとしたら、僕はきっと彼女のご両親には頭が上がらないだろうなあ。

ともかく、「普段は扉が閉まっているはずだ」と彼女が言う灯台の扉はなぜか簡単に開いて、僕たちを迎え入れてくれたのだった。


「でね、赤白の歌合戦を見ながら、毎年遊くんが……」
「今度、その遊くんって子にも会わせてくれよ。一度挨拶しておきたいな」
「いいよ。けど、遊くんはまだ中学生なんだからね、苛めちゃだめだよ?」

彼女との話は尽きない。
僕たちは取り合えず日の出の時刻が近くなるまでは外に出ると寒いので、灯台の中で風をしのぎながら二人でくっついて座りながらいろんな話をした。
防寒のために二人でいろいろ用意したカイロやらマフラーやら手袋やら、そんなものを二人で分け合いながら。
高校を卒業して同じ時を過ごせるようになってからも、当然離れなければならない時間の方が多くて、こんなにも長い間一緒に居てもいいということは僕らにとっては珍しいことだった。

「あ。そろそろ時間だよ。外に行ってみようか」
「うん!」

元日の日の出の時刻は、しっかりとネットで調べてきた。この灯台からだと、どちらの方から日が昇るのかもあらかじめ調べてきた。
僕は彼女の手をとって、通路をくぐって外へ出る。
まだ真っ暗の海から冷たい風が、ひゅうと吹いて僕らの髪を揺らした。

「わっ、寒い!」
「さすがに、風が冷たいね。大丈夫?」
「うん……なんとか」

空はまだ暗い。けれども雲の姿は見えないので、見逃さなければしっかりと日の出が拝めるだろう。
僕は東の海を指差す。

「向こうから日が昇る。あと何分かしたら」
「うん」
「寒かったら、こっち来る?」

返事は聞かない。少し両手を広げるようにして、彼女を腕の中に迎え入れる。
僕だって身体が大きい方ではないけれど、その僕よりもずっと彼女の方が華奢で小さい。女の子ってこんなにも小さいものなんだ、と僕は彼女に教えられた。

「誰も見てないから。……ね」
「……う、うん」
「こうしてれば寒くないだろ。……あっ、ほら」

東の空のグラデーションがうっすらと薄くなっていく。ゆるゆると、黒く凍っていた海が溶けていくように。
太陽の動きなんて目で見て分かるものか、と思っていたけれどとんでもない。思ったよりも早くて、その変化は一瞬も同じ時がない。

無意識のうちに僕は、腕の中にある彼女の両手をしっかりとつかんでいた。まるで何かに祈るように。何かを願うように。

空が明るくほどけていく。海が、輝き始める。

その間ずっと全く動かなかった彼女が、声もなくほぅ、とため息をついた。真っ白い息が、元旦の光にとろけて消えていく。
僕の吐き出した息も一緒に、同じ空気に紛れて消えた。


多分、僕は願っていたのだと思う。
来年も、再来年も、この先ずっと、こうして一日の始まりを彼女と一緒に迎えられますように。って。












意外と長くなっちゃった。

都合よく誰も灯台に居なかったのは、ここが赤主の世界だからですよ♪

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