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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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騎士と姫(赤主最終話)

うん、いい加減にしようね、ほんとうにね。
以下かなりどうでもいいのでスルー推奨。なら書くなよ、という話だけど書いちゃうもんね!

というわけでして、どっちかというと私は主従萌えトいうよりは身分差萌え! しかもこの場合は報われない・叶わない・救われない恋で可! というゆがんだ愛情を注ぐことが最近判明いたしました。
なもんで騎士と姫デイジーの恋愛話を! と聞いて光の速さで妄想したときにも最初から「二人は両思いにならない」というの前提でした……。赤城には大変失礼なことをorz
まあ、思いがけず両思いだっていうことが判明する展開になってますが、そこはゆうきさん、すんなりカップル成立とはいかせませんよ。

逆バージョンで王子なイケメンと、召使いのデイジーっていうのも想像する。
デイジーはドンくさい子で、何となくいじめとかされてんの。というか元々お城なんかには上がれない身分なのになにを間違ったか採用されちゃって、それで身分の高い子女たちは王子の身の回りのお世話とかする使用人になれるんだけどデイジーは床掃除とか庭掃除とかさせられちゃうのよ。
んで、デイジーに気がついた王子が興味もっていろいろ話しかけたりするんだけどデイジーは「恐れ多いですぅっ!」って言ってまともに話もきかないとか。
これ単なるシンデレラストーリーか。ありきたりね。


あ、それと昨日は羽学の卒業式の日だったんですね! 思いっきり見逃してた!
みんな、卒業おめでとう! それとデイジーに告白できておめでとう!
そっかー。今日は赤城はきっとデイジーのメアドとかゲットしたから嬉しくて嬉しくて電話かけようかメールにしようか電話にしようかメールにしようか悩みに悩んでるに違いない!
そしたらデイジーからメール来ちゃったりして「僕ってカッコ悪いなあ……」とか反省してればいいよ!

えっと、あと上の記事に「サイト1周年記念リクエスト企画」について書いてあります。
わたしの書いたものでよろしければ全力でお答えしますのでよろしくお願いします!





(ハッピーエンドではありませんので、ご注意ください)



騎士と姫 最終話




 結婚式の支度は滞りなく進んでいった。
 お互いに想い合っていたことが分かったからといって、何かが変わるわけではなかった。今更この結婚を取りやめにすることなどできないし、なにより赤城にその気などないことが姫にはよく分かっていた。

「わたしが結婚なんてしたくないって言ったら、どうする?」
「したくなくてもしていただかなければ。私にできることは、少しでも姫様に結婚に前向きになっていただくことくらいです」
「もう。赤城はわたしが他の人と結婚してもいいと思ってるの?」
「良くはありませんが、覚悟ができてますから」
「融通きかないんだから」
「年季が違います」
「なんの?」
「意地を張ることの」

 赤城がニヤリ、と笑う。姫はそれだけでも息が苦しくなったような気がして、やっぱりこの人じゃない人と結婚なんてしたくない、と思うのだった。
 けれど赤城は平気な顔をして「隣国の王子のところへ行け」と言う。自分のことが好きだと言ったくせにどうしてそんなことが言えるのか姫には良く分からない。

「だから、言ってるでしょ。僕は君が幸せでいてくれればそれでいいの」
「だって、好きでもない人のところに行くのが私の幸せなの? そんなの違くない?」

 わたしのことが好きなんだったら、連れて逃げてくれればいい。男だったら、それくらいのことをしてくれてもいいのに、と姫は少しもどかしく思う。

「もしかして、駆け落ちでもすれば幸せになれると思ってる? 全く、僕の姫様はお子さまだね」

 小さい頃よく言われたセリフ。二人、兄弟のようによく遊んでいた頃はこうしてよくバカにされていた。姫はそれを聞いてぷっと頬を膨らませた。
 あれ以降も赤城は基本的には姫に対する態度を変えることはなかったが、時々こうして不意に敬語を解き、気安く話しかけてくる。姫にとってはそれだけがあれが夢ではなかったと信じることができる赤城の行動だった。

(赤城が「好きだ」って言ってくれたのは、あのとき一度だけだし)

「なによ。自分だけ大人みたいな顔をして」
「図星だろ。いい? 馬鹿なことを考えちゃいけないよ。そんなことしたら僕は重罪人だ、国際手配されるくらいのね。行き場はないよ。たとえうまく隠れられても一生隠れて暮らすんだよ、日の当たらないところで。僕はそんなのは嫌だね」
「意気地なしなんでしょ、赤城は」
「まあ、それは認めるよ」

 何しろ僕は自分が犯罪人になって指名手配になることも、姫を逃亡者にする覚悟もできないような男だからな。確かに、男としては頼りないかもしれない。僕の考えていることは、一種の逃げなんだろうから。
 けれども赤城は考えを曲げる気は毛頭なかった。一瞬の幸福感よりも大切なものはきっとある。そう信じている。

「一緒にいたいと思わないの?」
「一緒にいて、それがなんだって言うんだよ。そういう即物的なところに飛びつくからお子さまなんだよ」

 赤城はなだめるように彼女の髪を優しくなでた。
 何度も何度も説得しているけれど、なかなか理解してはもらえない。まあ、僕は少し変わり種だってよく言われるから無理もないのかもしれないけれど。

 優しくて力強い赤城の手の感触が気持ちよくて、姫は目を閉じる。やっと手に入ったのに、自分から離れなければならないなんて寂しすぎるよ。

「いい? できるなら僕だって一緒にいたい。けど、僕は思うんだ。人目から隠れて一緒にいるよりも、君には日の当たるところでずっと笑っていてほしい。何一つ不自由なく、自由にしていてくれた方がいいんだ」
「難しいね、それ」

 赤城のいないところで、もう赤城には会えないというのに笑って暮らせるだろうか。あまり自信がない。
 考え込むように寄せられた姫の眉間に赤城は指を当てた。そっとなぞるようにしてその刻まれたしわを消そうとする。

「でも、ご理解いただけますように。貴女がそうしていてくだされば、きっと私も幸せになれますから」






 最高級のウェディングドレスに身を包んだ姫は王子が差し出した手に真っ白の手袋に包まれた手を重ねた。
 馬車から姿を現した新郎新婦の姿にどっと歓声がわく。

 家家の窓からは花びらが降り注ぎ、柔らかい風に吹かれたそれはいつまでもいつまでも空中に舞う。
 どこかで花火があがり、またひときわ大きな歓声があがった。

 姫は薄くて軽いヴェール越しに王子の顔を見た。
 春の日差しを浴びて、彼はふわりと微笑んでいた。

(まるで、夢のようだわ)

 控えめに手を握ってくる彼に、姫は笑顔で応えた。






「……こうして、お姫様は豪華なお城にお嫁に行って、美しくて優しい王子様と一生幸せに暮らしました。
 ……はい、このお話はこれでおしまい」

 ゆったりとした長椅子に腰掛けた男はそうして言葉をきった。長椅子の周りでは小さな子供たちが三人、パタパタと足をぶらつかせながら彼にまとわりついている。

「ねえおじいちゃん、騎士のほうはどうなったの? 幸せになれたの?」
「ああ、もちろんだよ。大好きなお姫様が幸せに暮らしていることを信じてね。そして自分も結婚して、かわいい孫に囲まれて暮らしたんだ」

 小さな家だった。少し離れたところで子供たちの両親がそのやりとりを聞いて顔を見合わせた。
 まだ幼い子供たちは何度も聞いているはずのその男の話を興味津々という様子で聞き、またこれもいつものことだが、なんでどうしてと彼を質問責めにする。

「ふぅ~ん。でもでも、好きな人と結婚するのが幸せなんじゃないの? どうして二人とも好きじゃない人と結婚しても幸せなの?」
「二人とも結婚相手のことだって好きだったんだよ。それに何より、一番大事な人が元気で、幸せになってくれているって思うことの方が大事なんだ、一緒にいるよりもね」
「なんか、そんなのわかんなーい」
「ははは、まだ難しかったかな。もっと大人になったら、分かるかもしれないよ」

 ぽん、と彼は優しく子供たちの頭をなでた。

「ねえおじいちゃんはどうしてそんなお話を知ってるの?」
「それはね……」

 彼はそこでニヤリ、と意地悪そうに笑った。けれど不思議と嫌味な笑いではない。

「……本当は僕がこのお話に出てきた騎士だからだよ」
「ええーっ、うそだぁ!」
「あははは、どうだろうね?」

 きゃあきゃあと子どもたちがはしゃいで走り回るのを彼は笑いながら見つめた。


 遠い空の下で、きっと君も笑っていてくれてるだろう。一番大切な、そして一番遠い人。


2009/03/03

 

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