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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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9話目です

引き続き、お楽しみ下さい。


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赤主SS <いつも、いつまでも>


※以下をよくお読みのうえ、ご了承のうえ先にお進みください。
・赤城×デイジー前提
・卒業後、大学生設定
・灯台に告白に来たのは佐伯、でも振られた
・佐伯とデイジーは大人な意味での関係あり
・ぶっちゃけ、佐伯は当て馬です。

赤城が出てくるのは4話からになります。
赤城のキャラが、ゲームのイメージと大きく違います。爽 やかでもカッコよくもありません。
「こんなん赤城じゃない!」とか言わない。これ約束。
許容できない方は読まないで下さい。管理人は打たれ弱いです。


◆本文はこちらです。
1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話new!! 10話 11話

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(いつも、いつまでも)








土曜日。
買ったばかりの服と靴を下ろして、雪は少し緊張しながら待ち合わせ場所に向かった。

(こういう服、瑛くんは嫌いだったよね……)

一緒に出かけようとすると、佐伯はよく、雪の着てきた服を見て顔をしかめたものだ。
「この服、ヘンだった?」
少し不安になった雪が聞くと、
「服は普通。変なのはお前」
そんな風に皮肉っぽく、「まぁ、いいや。お前、そういうの好きなんだろ」ため息交じりに言うのだった。

(瑛くんのことなら何でも知ってるのに、赤城くんのことは、全然知らないんだなぁ)

デートしたのも一回きり。しかも、あの日は待ち合わせからハプニングが続いてまともに会うことができなかった。
もちろん、赤城がどんな服装が好みか、とか、赤城はどんな私服を着てくるのか、とか、そんなことを考えている余裕もなかった。
でも、今日は違う。
今まで自分を支えてくれた佐伯のためにも頑張らないと。雪はそう思っていた。それが、雪ができる最高の恩返しなのだと信じることにした。


待ち合わせ場所につくと、赤城はすでにそこにいた。

(わ……、やっぱり、印象違うなぁ……)

背があまり高くないのが残念だけれど、建物の壁にもたれるようにして、腕を組んで立っている姿はサマになっていた。
佐伯のことを見慣れた雪がそう思うのだから、周りを歩く女性たちは思わず振り返ったり、立ち止まったりするほどだ。
羽ヶ崎学園の校門前に、はば学の制服姿で立っていて、はね学生の注目を浴びていたときのことを思い出した。

「赤城くん、お待たせ」
「おつかれ。場所、すぐに分かった?」
「うん。このあたり、結構来るから」
「そっか。……誰と? なんてな。意地悪い質問はしないことにしとくよ」
「もう、してるじゃん」
「それもそうか」

……あれ? と雪は首をかしげる。
この前、電話で話した時や、学食で会った時にはすごくぎこちなかったのに、こうして顔を合わせると不思議なくらい普通に話せる。
まるで、高校生のころに戻ったみたい。

赤城は「こっちだよ」と言うと、雪の先に立って歩き出した。
どこへ連れていかれるんだろう。雪は少しドキドキしたけれど、もう、なるようになれ、当たって砕けろだ! と覚悟を決めて、息をのむとそれについて歩き出した。



緊張して、食事の最中は謝るどころではなかった。
なんとか会話が途切れないように、それから、食事で粗相をしないようにと気をつけていたら、話の内容なんか頭の中に全然残らない。
それでも、赤城はあまり飲めない、と言っている雪に「飲みやすいから、きっと大丈夫だって」といろいろな種類の酒を勧めたり、「ここはね、昼はカレーとかも出すランチの店で、それがうまいんだよ。今度は昼に来よう」と、さりげなく次の約束を取り付けたりしてきた。時々声をあげて笑い、ビールだけでなく「どっちかというと焼酎派」と言って杯を重ね、何本か煙草を吸った。

雪は、とりわけその煙草を吸う手つきが気になって仕方なかった。
すらりと細く、長い指。少し骨ばっていて、弁護士になりたいと言っていたから、いつも勉強ばかりしているのかもしれない。傷一つなく、とてもきれいだった。
煙草の灰を灰皿に落とすとき、火を揉み消すとき、気付くと雪はその仕草をじっと見てしまっていた。

「この前も思ったけど、煙草がそんなに珍しいかな」
「……えっ?」
「いや、ずいぶん見るからさ。まあ、確かに最近は喫煙者は減ってるけどね」
「えっと、うぅん、珍しいって言うか……、赤城くん、そんなイメージなかったから、ちょっと驚いて」
「人を見た目のイメージだけで決めつけるのはよくない。僕がタバコを吸うように、君だって、清楚な顔して男と遊びまくってるかも知れない」
「……そ、そんなこと!!」
「仮定の話だよ。先入観で人柄をイメージすると、それを払拭するのに時間がかかるってこと。まあ、君にいま彼氏がいるって言われても、僕は気にするつもりは全くないけど」
「……? どういうこと?」
「さてね。……ところで、もうグラス空だよ、次は何飲む?」
「えっ……えぇとね……」

上手く誤魔化されたような気がしないでもなかったけれど、あまり深く追求しなければいけないような話でもなかったし、雪はそれきり忘れることにした。



食事が終わり、しばらく話をしたあとで二人は二軒目に移動することになった。
自分の許容量いっぱいに飲んでしまった雪は、少しふらつく足取りを何とか抑えながら、前を歩く赤城についていく。

「楽しかったね。正直言うと、もう僕と一緒に食事なんか、してくれないかと思ったよ」
「あの、赤城くん」

酔ってはいたが、頭はしっかりしていた。
むしろ、テンションが上がっている今なら言えるかもしれない。こういうのは、勢いがないと意気地のない自分はいつまでたっても行動できないことを雪は自分で知っている。
ぎゅっ、と両手を握って、それから全身に力を入れた。
言わなきゃ、言わなきゃ。今。
名前を呼ばれた赤城が、くるりと振り返った。それを見て、雪はぶん、と頭を下げる。

「あの、ごめんなさいっ!」
「……えっ?」
「わたし、ずっと、赤城くんに謝りたかったの。高校の時のこと、ずっと!」







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