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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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10話目です

お話としては、ここで完結します。



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赤主SS <いつも、いつまでも>


※以下をよくお読みのうえ、ご了承のうえ先にお進みください。
・赤城×デイジー前提
・卒業後、大学生設定
・灯台に告白に来たのは佐伯、でも振られた
・佐伯とデイジーは大人な意味での関係あり
・ぶっちゃけ、佐伯は当て馬です。

赤城が出てくるのは4話からになります。
赤城のキャラが、ゲームのイメージと大きく違います。爽 やかでもカッコよくもありません。
「こんなん赤城じゃない!」とか言わない。これ約束。
許容できない方は読まないで下さい。管理人は打たれ弱いです。


◆本文はこちらです。
1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話new!! 11話

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(いつも、いつまでも)


10





涙がこぼれる前に、と思うと少し早口になってしまった。
けれど、なにも言えなくなる前にこれだけはどうしても、と思う。
赤城の顔を見ることもできずに、頭を下げたままで雪は続けた。

「スッチャーのライブのチケットをなくしてしまったことも、そのことをちゃんと謝れなかったことも、そのあと、赤城くんが会いに来てくれたときにちゃんと話を聞かなかったことも、ずっとずっと、謝りたかったの。だから、ごめんなさい」
「え、な……きゅうに、なんだよ」
「ずっと、いつ言おうかと思ってて……それで……」

ぽとり、と雪の履いていたブーツのつま先に涙がこぼれた。それは赤城には見えなかったし、雪の視界はもう涙でぼやけていてよく見えなかった。

「それに、あの、雨の日に言ってくれたこと……嬉しかった。誤解してて、ごめんなさいって、あの時言えば良かったのに」

まくしたてるように言う雪の肩を赤城がつかんだ。
そして思っていたよりもずっと強い力で上を向かされる。

「こんなところでする話じゃないね。二軒目、と思ってたけどそれどころじゃなさそうだ」

そう言うと、赤城は少し考え込んだ。自然、手が胸ポケットの煙草を探していたけれど、先ほどの店ですべて吸いきってしまっていた。

「実はさ。僕の部屋、ここから割りと近いんだけど……来る?」
「……うん」

涙のたまった目で赤城を見上げて、雪は頷く。赤城の部屋でもホテルでも、今ならどこへでも行けると思った。もう、恋に恋していた高校生ではないので。




赤城の部屋は、パソコンの置いてある大きなデスクと、それに負けないくらいに大きな本棚が印象的だった。
玄関と、テレビの前に消臭スプレーが置いてあるのにもかかわらず、やはり赤城の吸う銘柄のにおいがうっすらと漂っていた。

「それで、ずっと後悔したままだったっていうのかい」
「そう……いうことになるかな」
「はぁ……随分と、時間を無駄にしたもんだ」
「そっ、そういう言い方って……!」

背の低いテーブルをはさんで、床に座った雪は、ため息交じりに紫煙を吐き出した赤城に食ってかかる。
赤城は雪の睨むような目つきには一向構わずに、少し楽しそうに笑顔さえ浮かべていた。

「おっ、やっと君らしくなってきたね」
「な、なによ。馬鹿にして……。わたしは、本気で謝ろうって……」

なんだか悲しくなってきて、また目の奥が熱くなってきた。
所詮、赤城にとってはもう過去のことなのだろう。(雪にとってはそうではないが)あんなことをいつまでも……、と思っているのかもしれない。

「なんか誤解してるみたいだけどさ、時間を無駄にしたっていったのは何も、君だけのことじゃないよ」

短くなった煙草を灰皿に押し付け、赤城は雪に少し近づいた。

「僕だって、君と同じ分だけ、時間を無駄に使ってたんだ。お互い様だよ」
「……どういうこと?」
「卒業式の日、僕ははば学の教会に行ったんだ」
「教会……て、なに?」
「だろ? 君ははば学の伝説のことなんか知っているはずもないのに、僕はバカな伝説信者と化していたってわけさ」
「なに……? なんなの?」
「今度ゆっくり、教えてあげるよ」

赤城の言っていることは雪には分からないことばかりだった。
けれど、赤城の次の言葉は、分かりすぎるくらいによく分かった。

「僕の気持ちはあの雨の日から一つも変わってない。僕は君のことが好きだよ」

驚いて声も出ない雪の表情を見て、赤城は楽しそうに笑った。そして続ける。

「何年たっても気持ちは変わってなかった。こうして再会して今実感してる」

目の奥にあった熱いものがまた、目からあふれ出していた。
それがこぼれる瞬間、赤城がすっ、と近付いてきて頬に優しく触れた。




「さぁ、僕は二度、君に告白したよ。君の返事を聞かせてもらおうか」








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