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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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なにをやっているのでしょうか

今日二つ目の記事はどらくえです。

あのねあのねあのね……! 棍のクエストが!!!!

すごい、いまさらなんですが、なんだあれ!!!!もえええええええたあああああああ!!!!

クレイブ先生……!! リリアン!!!!なんという!!!


ていうか、どらくえ好きすぎる。今回のどらくえはこういうドラマ部分が作りこまれていて、ホンのわき役なのにものすごいドラマを持っていたりして泣ける。メインストーリーももちろんいいんですが、クエストがらみの脇役たちが主役級にいい。

グビアナ兵士になった親孝行息子が故郷のお母さんにプレゼントを贈るとか、
シスターに惚れこんだけれど顔を見せることもできないシャイボーイ(?)がさえずりの蜜で声音を変えてシスターと喋ってみるとか
道半ばにして死んでしまった海賊船の乗組員が船長のことを心配しているだとか
お母さんに元気になってほしい少年の願いをかなえる泉の精だとか
ポリーヌをめぐる二人の男の泥沼の戦いだとか。

いやぁ、いいですね。もっとあるけど!

というわけで、トチ狂ったわたしがいきなりクレイブとリリアンの話を書いた。
クエストNo71とNo72のネタばれです!!!








どらくえ9 ネタばれ!!!


クレイブとリリアン










――お願いよ。きっと伝えてね。






ガザールと、クレイブと、わたし。
三人で世界をいろいろ旅してまわった。ガザールは剣の達人。クレイブは棍の達人。わたしは、……ナイショ。
三人で、いつかお互いの道を究めようねって。そして、伝説の秘伝書を一緒に見つけようねって。
それがわたしたちの夢だった。そのために、わたしたちは旅をしていた。


けど。

「……僕はもうだめだ。もう、棍を振るうことだってできそうにない」
「なにを落ち込んでいる。そんなことではアイツも浮かばれない」
「そうだろうね。ガザール、君には申し訳ないけれど、もう僕はもう旅をやめようと思う」
「奇遇だな。俺もだ」
「ガザール?」
「エルシオン学院で、教師を募集しているらしい。剣の教師と、棍の教師だ。俺はそこへ行こうと思う」
「……どうして」
「一人で旅をしても、もうつまらないしな」
「秘伝書は?」
「俺自身が手にするのはあきらめることにする」
「そんな」
「だが、俺は秘伝書を諦めたわけではない。俺がエルシオンに行って、子どもたちに剣を教える。やがてその教え子の誰かが剣を極め、そして秘伝書を手にするだろう。俺はそれを見届けたい」
「…………」
「お前はどうだ」
「僕も、いく」
「そうしろ。きっと、アイツもそれを望んでいる」

船には乗りたくないとクレイブが言うから、二人はとても遠回りをしてずっと歩いて北の国へと向かった。
わたしはずっと、それを見守りながら、ここまで付いてきた。

エルシオンについて、二人は実力を認められて(当たり前よ!)無事、先生になった。
もともとガザールはそういう資質があったみたい。剣の道を志す生徒も多いし、たくさんの子どもたちに囲まれて、それなりに充実した毎日を過ごしているように、わたしには見えた。

問題は、やっぱりクレイブのほうで。
ガザールも何かと気にしていろいろと声をかけてはくれているみたいだったけれど、どうしても元気にはなってくれない。
わたしの好きだったあの笑顔はもう、戻ってはこないのかなあ。
こういうときに、声もかけられない、抱きしめてもあげられない姿になってしまった自分が少し恨めしい。どうしてわたしはあの時、死んでしまったんだろうって。一言、最後に彼に伝えることができていたら。

なにもできないわたしは、ただ、夜になったら近くに行って、淋しげな寝顔を見ていることしかできなかった。




そんなときあの子が現れた。

とても不思議な……、幽霊のわたしが言うのもおかしな話だけれど、みたこともないような子だった。
エルシオンの生徒というわけでもなく、また学院に入学したくて来たというわけでもない。
はっきりいってよく分からない旅をしているといって、学校中のいろんな人と話をして回っていた。(ちなみにそのころ、学院では初代校長先生の幽霊騒ぎが起こってもう、本当に大変な状況だったんだけど、それもこの子がいきなり来てあったという間に解決した。ぼんやりしているように見えて、実はすごい子みたい)



こんにちは。その子はクレイブにもそう話しかけた。

「やあ。僕はクレイブ。棍の先生をしているんだ」

その子は自分も今棍を扱いだしたところで、剣や短剣などとは扱いが違うので難しい、できれば棍を自分にも教えてくれないか、と言った。

「いいよ」

二人は体育館で少しだけ手合わせをして、クレイブは彼の癖や動きの硬いところを指摘し、こうすればもっとよくなるよ、とアドバイスをいくつかした。
彼は汗をぬぐいながらありがとうございましたと丁寧に礼を言い、もっと強くなったらまた教えてもらいに来ますといった。
クレイブは何か考えていたようだったけれど、唐突に彼にこう言った。

「よし、決めた。僕のたのみを 聞いてくれたら、僕が長年使ってきた 棍をゆずってあげるよ」

クレイブが言った頼みとは、信じられないものだった。
(やめて! どうしてそんなことをさせるの! わたしのことはもういいから、おねがいよ、クレイブ)
わたしはクレイブの耳元で大声で叫んだけれど、今は昼間だったし。そもそも夜だったとしても幽霊のわたしの言葉がクレイブに伝わることなんかない。

大好きだからこそ、もう死んでしまった私のことなんか忘れて欲しいのに。
大好きなあなたには、いつも笑っていてほしい。そして、三人で約束した棍の秘伝書を見つけてほしい。
クレイブはクレイブの夢をかなえてほしい。

わたしが死んだ海で、わたしがなくした手鏡を取り戻してほしいと頼まれた少年は、はい、と笑顔で頷いた。

「海の旅には危険がともなうから、くれぐれも気をつけて……」

彼は大丈夫です、待ってて、きっと持って帰ってきます。そう言って、エルシオンを後にした。




なかなか帰ってこない少年をクレイブは心配しながら過ごした。
わたしも様子を見に行きたかったけれど、わたしはクレイブのそばから離れることができない。

「あいつになにか頼みごとをしたようだな」
「うん。でも、なかなか帰ってこないから心配で」
「あいつなら大丈夫だ。なにしろこの俺の出した難問をあっさりクリアしてきたような奴だからな」
「あの子が……。それなら」
「ああ、ここの生徒ではないが、あいつならきっと秘伝書を授けられる。俺はそう信じている」
「ならば、僕の判断も間違っていなかったね」
「判断?」
「あの子が帰ってきたら、そしてアレを持って帰ってきてくれたら、これをあの子に譲ろうと思うんだ」
「それは……お前」

クレイブがとりだしたのは愛用のぶしんのこんだった。
旅の間に彼が見つけた最強の棍。
世界にはまだまだもっと強い棍があるという噂だったけれど、彼はこれがいいのだと言って手放すことをしなかった。
棍をふるうクレイブの姿は戦っているというよりはまるで流れるような舞を舞っているようで、この世にこんなに美しく魔物と戦う人はいないだろうなと生きていたころのわたしはいつも思っていた。

「それを渡すのがどういうことか分かっているのか」
「もう、僕には戦う必要はないからね。これを持っていても仕方がない」
「しかし」
「いいんだ。もう、決めたんだ」

ガザールはそれ以上何も言えなかった。
ただ、クレイブが棍の先生までやめてしまうのではないかとわたしも心配になった。



あの子が戻ってきた。
遅くなりました。持ってきましたよ、これでしょう? 彼はそういって、わたしがあの海でなくしてしまった手鏡を袋の中から取り出した。
クレイブは、すこし泣いているみたいだったから、あの子はそれを不思議がっていた。

「ありがとう。僕のねがいを聞きとどけてくれて。それできっとあの海にねむる彼女のたましいもむくわれる。ありがとう。……本当にありがとう」

クレイブは約束通り、彼にぶしんのこんをあげてしまった。あの子はありがとう。大事にします。そう言って笑った。
手鏡、もうなくさないでくださいね。彼はまたどこかに行ってしまった。
その夜、クレイブは手鏡を抱きしめて一晩泣いた。わたしは少し遠くからそれを見ていた。




どうしたら、立ち直ってくれるのかしら。
クレイブが元気になる気配は全く見えない。昼間は子どもたちに棍を教えたり、授業がない時はその準備をしたりで少しは忙しそうにしているけれど、夜になると途端にダメで。
もしかして、わたしが近くにいるからいけないのかも。寝言で「リリアン、君がいない世界なんて」そう呟いているのを聞くにつけ、わたしが近くにいる影響で夢とかに影響してしまっているんじゃないかと不安になる。
だけど、成仏しないとクレイブの近くから離れることもできないし、わたしが成仏できるとしたら、クレイブが元気になった姿を見届けた時なのよね。
あぁ。何か言い手はないかしら。


そんなとき、あの子はひょっこりエルシオン学院に戻ってきた。
なんというか、少し雰囲気が変わったようにわたしには思えた。うまく言葉にすることはできないけれど、前に感じた何か不思議な雰囲気がなくなっていて、普通の男の子になってしまったような感じだ。
彼に何が起こったのかは分からないけれど、今は宝の地図をさがしたり、その洞窟で宝物を探したりしてます、そんなことを言う彼はあてのない旅をまだ続けているようだった。
もう人助けはしてないのかい? 誰かがそんな風に聞くと、僕が役に立つなら何でもしますよ、それでみんなが喜ぶなら。そう言う彼は本当にお人よしなのだと思った。



「ああ君か。久しぶり。いつも元気そうだね」

おかげさまで。先生はどうですか。彼はいつものように屈託なく笑う。クレイブはそれをまぶしそうに見て言った。

「僕はもう駄目だ。リリアンのいない世界なんて」

彼は首をかしげていた。その手に握られていたのはいつかクレイブが譲ったぶしんのこんで、それはあのときよりももっともっと使いこまれていたのだけれど、クレイブはそれにすら気付かないようだった。 




「……あなた、わたしが見えるの?」

彼はこくりと頷いた。
今日もまた女々しく泣きごとを言いながら眠っているクレイブをみたあと、彼が不意にわたしのほうを見つめたからびっくりしてしまった。
幽霊のわたしに気がついた人なんて、いままで一人もいなかったのに。本当に不思議な子。

「わたしはリリアン。年はナイショのピチピチ幽霊よ」

軽口を言うと彼は少しだけ笑った。幽霊なら、年を取らないからずっとぴちぴちでいられますね。……馬鹿みたいに素直な子。
棍の道を、たぶん究められたと思うんです。それで、クレイブ先生に見てもらおうと思ってきたんだけど。彼はそう言ってから、眠っているクレイブを辛そうな顔で見た。
今は無理みたいですね。そう言って帰ろうとする彼をわたしはひきとめた。……っていうか、なんでこの人に幽霊がついているのかとか、不思議じゃないわけ? 本当に不思議な子ね。
でも、この子だったらやってくれるんじゃないかしら。それで誰かが喜ぶなら、彼は頼みを聞いてくれるというのだから。

わたしは彼に伝説の棍の秘伝書を探し出してきてほしいと頼んだ。
ずっとクレイブがほしがっていたものだから。わたしとガザールとクレイブの三人でも結局見つけることができなかった宝の地図の奥深くに眠っていると言われている棍の秘伝書。
それを手に入れたらもしかしたら、クレイブが元気になってくれるかもしれない、そう思って。

そうしたら、先生は元気になりますか。彼が聞くので、「きっとなるわ。お願い!」と頼み込んだ。僕がそれを持ってきたら、もしかしてあなたは先生のそばにいられなくなっちゃうかもしれませんよ。そう聞かれたけれど「それでもいいわ」と言った。
わかりました。きっと持って帰ってきます。いつか聞いたのと同じセリフを言って、彼はエルシオン学院から出て行った。

きっと、わたしがそばにいるからいけないんだもの。
わたしの願いは、ただ一つ。





あはは、ちょっと苦戦しちゃいました。そう言ってあの子が帰ってきたのはしばらくたってからだった。
この子はこうやって、見ず知らずの人の願いを自分が傷つくのも厭わずにかなえ続けているのだろうか。なんのために? どうしてそんなことができるの?
人は、自分の望みが一番大事なのに。わたしだって、クレイブだって、自分のためにこの子を利用しているだけなのに。
秘伝書、これ。わたしにそれを渡してくれようとしてくれた彼に首を振った。わたしはそれに触れることができないから。

「今からこの人をたたき起すから、その巻物を渡してあげて」

彼は不思議そうな顔をした。あなたが自分で渡した方がいいよ。そう言われたけれど、それはできない相談よ。

「リリアンがこう言っていたと伝えてもらえるかしら」

身体の感覚が薄くなっていく。思ったより早い。
わたしの最後のお願い。きっと聞き届けてね。

「わたしのことは忘れて。あなたにはかけがえのない未来があるのだから。わたしにしばられずに、前を向いて歩いてほしいって」

そんな。彼は小さくつぶやいた。そんなこと言いたくない。
僕にも忘れられない人がいて、もう会えないけど、でもその人たちがいるから……

「お願いよ。きっと伝えてね」

彼の言葉を遮って、わたしは念を押した。
ずるいずるいわたし。この子が人のお願いを断れないのは知っているくせに。
身体が消えていく。光がまぶしくなっていく。

お願いよ。

眠っているクレイブにそっとキスをした。
それから何も見えなくなった。




「ああ、夢か……。リリアンの夢を見た。彼女が、微笑みながら光に包まれていく夢を」

目覚めた僕は彼から信じられない言葉を聞いた。
彼が差し出してきたのは紛れもなく伝説の棍の秘伝書で。これを受け取ってくださいと、彼は泣きそうな顔で言った。
本当はこのことは言わないでおこうと思ったんだけど。彼はそう前置きして、続けた。僕はリリアンさんのこと、忘れなくてもいいと思う。僕もそうだから。でも。

彼のことを詳しく知っているわけではない。なんで旅をしているのかも知らない。だけど、僕は自分とどこか似たようなものを彼の中に感じ取った。

リリアンさんの最後のお願い、僕はかなえてあげたいんです。
僕はリリアンが言ったという最後の言葉をじっくりとかみしめた。彼に感謝しながら。

「悪いけど、その秘伝書は君が持っていてくれないか。僕にはそれを受け取る資格はないから」

そう言うと、でも、リリアンさんのお願いが。彼はそう言ってなおも秘伝書を僕の方に差し出してきた。
素直な子だ。リリアン、君、たぶん分かっていただろう、こうなることを。それなのに、この子にその役目を押し付けるなんて酷いことするよね。
君は生きているときも、死んでからも、本当に困った人だよ。僕もガザールも、本当に苦労したんだよ。

「彼女を忘れるなんて僕にはできない」

彼の手から秘伝書を受け取って、そして彼の手の上にのせた。

「だけど、彼女への想いを言い訳にして、未来に背を向けることはもうしない」

笑うことができたと思う。
この子と、リリアンのおかげで。
やっと、自分で止めてしまっていた時計を動かすことができる。リリアンがいない世界で、それでも僕は生きている。

「気づかせてくれたのは、キミだ。本当にありがとう」

はい。彼は笑ってくれた。
それから、先生、僕先生に棍の腕を見てもらいに来たんです。少しはマシになりましたよ。そう言って体育館に引きずって行かれた。

僕の手の中にはもう魔物と戦うための棍はないけれど、でも、いつかまた、自分の夢を見つけてみせる。


それまで見守っていてくれよ、リリアン。









ゴメン……頭わいてるわ。

主人公を喋らせないようにするというのが今回のポイントでした。男固定になっちゃったけど、そこはゴメンナサイ。



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