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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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びすたちゃんの危機

あまりにもな話ですが「ド/ラ/え/も/ん」を見ていた(なぜかそれを見ていた理由は聞くな)んですが、今日放映のそれに出てきたル/リ/ィというお手伝いロボットがものすごい萌えキャラだった件。
泣き顔とか超可愛いんだぜ。役立たずの返品ロボットなのに一生懸命人の役に立とうとするとか、ありがちな設定なのに泣かせるぜ。そしてド/ラ/え/も/ん/すごいいい話!!
思わずびすたちゃんと混ぜてしまうぜ。(恥も外聞もない)

というわけで今日一件目の記事はだいぶ前に書いたOS擬人化びすたちゃん。
(複数記事を書くこと前提)

あっ、とそれから、セブンちゃんを事前予約するとお値段が半額になるんだよ! というニュースも混ぜてみました。









「ご主人さまご主人さまご主人さまぁ! おかえりなさいませ!」
「あぁ、ただいま。っていうかうるせぇよ、もう少し静かにしろ」
「はいわかりましたぁ」
「静かすぎんだよっ! おめぇは加減ってもんを知らねえのか!」
「きゃぅんっ! だ、だってご主人さまが静かにしろって言ったですぅ」
「……ったくよ。とりあえずなんか冷たい飲み物。外は暑いな」
「了解いたしましたっ! 冷たい飲み物、冷たい飲み物……お茶かしら麦茶かしらそれともアイスコーヒー、アイスティー。……うーん、ミルク……練乳、かき氷、しろくまー……」
「おいっ! 最後のほう飲み物じゃねえからなっ、それ! 麦茶でいいから!」
「はぁい! かしこまりましたぁ」

…………ほんっとうに疲れる。なんだってこの欠陥メイドは処理能力に問題がありすぎる。一旦命令を与えさえすれば(そしてきちんきちんと毎度の食事を与えて快適に動ける環境でさえあれば)仕事は完璧なのだが。いかんせん無駄な選択肢が多すぎて自分でその中から最適なものを選択できない、というのが致命傷だ。
俺は玄関からリビングに向かった。そこまでの廊下だってもちろん通過してきた玄関も、びすたちゃんが毎日病的なまでに掃除をしているため塵ひとつない。
そう、仕事は完璧なのだ。だから、イマイチ欠陥品だと強く言えないでいる。そしてそうこうしているうちに俺は長らくお世話になっていた優秀なメイドであった98さんとの快適な日々を忘れつつあり、このびすたちゃんとのドタバタな毎日に慣れつつある。とても腹立たしいことに。

「そういえばご主人さま、びすたの後継の『せぶんちゃん』のお話、もうご存知ですか」

あらかじめクーラーで冷やされていたリビングで(びすたちゃんは暑さに弱いからこの部屋だけこうしている。まったくもって金のかかるメイドだ)用意された麦茶を飲んで一息つくと、びすたちゃんがそんなことを切り出した。
そういや、ちらっと話だけは聞いたことがある、

「あぁ? お前より役に立つっつー新人だろ。あの『XP』さんより役に立つとかいう前評判の。俺は知らねえけど」
「そうです。その『せぶんちゃん』、あまりにも評判がいいので組合に入る日程を早めたんですって」
「ほぅ」
「しかも、今から『せぶんちゃん』の予約をしておけば通常料金の半額で契約できるんですって」
「ほぉ」

俺の横に座っているびすたちゃんは心なしか元気がないように見えた。トレードマークのツインテールもしょんぼりと下を向いているような様子だ。
「せぶん」というのは前評判を覆して返品の嵐なこのびすたちゃんの惨状をみて、メイド組合が速攻で、かつ全力を挙げて教育したびすたちゃんの後継者、だそうだ。(実際にはびすたちゃんの後継ではなくこいつの前任である「XP」さんの後継者であるというのは公然の秘密らしい。「せぶん」の仕事内容に「XP」モード、なんつーのがあるのがその証拠だ。まったく、腹立たしいことこの上ない)

「だからなんなんだよ」
「ご主人さま……、びすた、そんなにダメな子でしょうかね」
「あぁ、ダメだな」
「そんな、ひどっ……」
「主人の俺よりよく食うし、居眠りはするし、やれっつったことしかやらねーし、熱心なのは防犯だけ。これで満足する方がどうかしてるな」
「うぇぇ、そんなはっきり……」

びすたちゃんは今にも泣き出しそうな顔で俺のことを見る。
そうだな、どうかしてる。

「びすた、メイドだから人のお役に立ちたいんです。ご主人さまになっていただいた方が、いつも健康で安心してお仕事ができるようにって、そう思ってるのに……いつも返品されて。ダメな子ですね」
「まあ、そうだな。心がけだけは立派だがな」
「人の役に立たなきゃ、びすた、つくられた意味がないのに……ひっ、ひくっ」
「お、おい」

慌てて横を見ると、びすたちゃんが口をへの字にして眉をハの字に下げて全体的に情けない顔でこっちをみていた。……そんな顔で見るなっつーの。俺は本当のことしか言ってねぇぞ。
それなのに見る見るうちにびすたちゃんの目には大粒の涙が溜まってきて、ぼろぼろと零れ落ちた。

「うぅっ、うぇっ、うぇえええええーーーーーーーーん!!!」
「ちょ、おい、なんで泣くんだよ! 俺が悪いみたいになってんじゃねえか!」
「うえぇぇぇん、だ、だって、だって、ご主人さまもびすたから『せぶんちゃん』に乗り換えるんでしょぅ? 安いほうがお得だもの! ひっ、くっ、役立たずのびすたよりも役に立って若くてかわいい『せぶんちゃん』のほうがいいに決まってるものぉ。うぇ、えくっ、また、びすたは返品されてしまうんだものぉうえぇぇぇぇぇぇん
「うるせぇぇぇぇぇ!!!! ちょっとは音量ってもんを考えやがれ!!」
「うえぇぇぇぇん!! びすた、ご主人さまに捨てられたらもう行くとこないですぅ、この前みたいなラッキーはもうないんだもの!!」
「ら、ラッキーとはなんだ、俺みたいな前時代の98さんしか知らねえような主人がネギしょって組合に電話かけてくることか! 悪かったな、どうせ俺は2000もXPもしらねえよ!」
「だからラッキーだったんですぅぅ、オジサンも言ってました、びすたちゃんは見た目はかわいいから若い男のご主人様だったら見た目でだまして連れて帰ってもらえるってぇぇぇ。なんでもリクエストにお応えできますっていえばイチコロだってぇぇぇぇん!!」
「おぉおぉー、言ったな! とうとう言ったな! あのタヌキオヤジ! 今度会ったら絶対殴ってやるからな!」
「うえぇぇぇん、オジサンは悪くないです、びすたが全部悪いんですぅぅ!
「うるせーっつってんだろーがっ! だまれ! この欠陥メイド!」
「うえぇぇぇぇぇん」

いったい、メイドに泣くなどという機能が備わっていたこと自体が驚きだ。98さんはそんなことしなかった、当たり前だけど。
音量調節がぶっ壊れたのか泣きさけぶびすたちゃんと、しだいに何がなんだか分からなくなる言いあいを続ける。 こ れ の ど こ が かわいくて従順なメイドだ、まるで子供じゃねえか。
それと本気で言いあいしてる俺も、たいがい子供だけどな。

「はぁ、はぁ……ったく、一体何の話だ、訳が分からなくなったじゃねえか」
「び、びすたにも分かりません……」

はあ、と大きく一つため息をついて、俺は何もかもを諦めた。手を伸ばして、べちゃべちゃになったびすたちゃんの頬についた涙の跡をぐいと親指で拭ってやった。

「あのな、俺は高い金払ってお前と契約したんだ。まだぜんっぜん元を回収してねぇ」
「……はぃ?」
「それなのに、たとえ半額とはいえまた金払って次のと契約するような余裕は家にゃねえんだよ」
「ごしゅじんさま?」
「わかったな。分かったら、俺が払った契約金分、回収できたと俺が思うまで俺に仕えろ。どこにも行かせねえ」

ああ、俺も落ちたもんだよ。たかがメイド、金で契約して家に来てるだけのメイドに、なんでこうまでしてやる必要がある。
びすたちゃんはきょとんとしていたが、やがてじわじわと俺の言葉がメモリの中に浸透していったらしく、ぱぁぁ、と音がするくらいにその表情を明るくした。

「ご主人さまっ!」
「わかった、分かったから、さっさと支度をしろ、夕飯の時間だろうが!」
「か、かしこまりましたぁっ!」

誰か頼む、俺に『混乱を解消し、あふれる情報を整理し、未来を垣間見せる』生活を与えてくれ。……これって、びすたちゃんがくれるはずじゃなかったのかよ。チクショウ。













あっはははは。……なげぇよ!!!

萌えキャラを書いていると非常に楽しいです。かわいいなぁ。
そしてご主人様の口の悪さがとても素敵。ごめんなさいね、こういうのに萌えるゆうきさんなのです。
つーわけでいろいろと禍根を残しつつ、終わり~。

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