恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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どうしても書きたかったこと
今のイベント、「シンデレラ・エスコート」 霧島バレ、というかイベントを見た前提での創作です。
いいイベントですね……。
いいイベントですね……。
(わたしの王子様)
あいさつ回りに行かなければ。ひとりにしてすまない。
そう言って、司さんは名残惜しそうに窓際から離れていった。途中、何度もわたしのほうを振り返り、心配そうな顔をするので、大丈夫だから、がんばって。というつもりで手を振って見送った。
本当は、ちょっと……ううん、だいぶ淋しい。PRINCE REP.の社内パーティーなので部外者は少ないし、顔を見知っている人もあまりいない。そもそも、みんな忙しそうにしていて、ただぼんやり夜景とお料理が見たい、などとやってきたわたしを相手にしている時間なんてなさそうだった。
それでも、お料理はおいしいし、夜景はいつまで見ていても飽きないくらいに美しくて、しばらくはわたしも時間を忘れていつもと違う日常を楽しんでいた。
(司さんも忙しそうだし、そろそろ帰ろうかな……)
もう戻ってこられないかもしれない、そうは言っていたけれど、わたしがいつまでもここにいると司さんが気にしてしまうかもしれないし。
呼んでもらえたのはすごく嬉しかったけれど会えたのはほんの数分と言ってもいいくらいの時間だった。
淋しくない、と言えばうそになる。けれど、司さんはお仕事中だししかたがない。
(わたしが仕事をしているとき、司さんもこんなふうに考えているのかな……)
いつも司さんにこんな思いをさせているのかと思うと、すごく申し訳ない気持ちになった。
(今度会った時、聞いてみよう)
わたしは帰り支度をして、スカイラウンジを出た。
「待って!」
ぽつぽつと、夜道を歩きはじめると、後ろから司さんの声がした。驚いて、振り返る。
衣装のままの司さんが、息を切らせてそこにいた。
「司さん。どうしたの?」
「君が、もう帰ったと聞いて。まだ間に合うかと思って」
「お仕事は?」
「問題ない、これくらいのことは」
「なら……いいけど」
司さんはふう、と一息ついて、それから一歩、距離を近づいてきた。司さんが近くに来ると、ふわっといい香りがするような気がする。お人形さんのような美しい顔は、近くで見ると肌に曇りの一点もなく、本当に別世界の王子様のような人だと改めて思う。
……こんな人と、仲良くさせてもらっているだけでも夢みたいだ、と。すこしぼうっとしながら考えた。
「今日は、楽しめた?」
「うん。司さんのおかげだよ。ありがとう」
「そうか。喜んでもらえたなら、よかった」
「今日のお料理、お店にも活かせるように、がんばるね」
「ふふっ、君は本当に、勉強熱心だな」
「司さんには負けるよ」
ふふふ、と二人で顔を見合わせて笑った。
あ、なんだかこれって幸せだなあって感じた。
司さんの腕がのびてきて、わたしの頭の上で止まった。
「髪を、触ってもいい?」
「うん」
こうして必ず確認してくれるのが司さんの優しいところ。でも、もうわたし、司さんにだったらどこに触れられても嫌だなんて思わないのに。……とは、まだ伝えることができないでいる。
頭の上で止まっていた司さんの手が、わたしの髪に触れた。耳の横を何度か撫でる。
「ここは、風が強いから。少し髪が乱れていた」
「あ……。ありがとう」
「うん。……また、店に行く」
「はい。お待ちしてます」
「必ず」
「うん。待ってるね」
「それと……」
「それと……?」
ぎゅっ、と。
それまで優しく髪をなでてくれていた手が後頭部に回り、急に力強く引き寄せられて、わたしはバランスを崩しかけた。悲鳴を上げる前に司さんの胸に顔をぶつけるように寄りかかってしまい、そして耳元に降ってきた声に硬直する。
「それと。またデートしよう。今度は君を一人になどさせない。約束する」
さっ、と司さんの体が離れて。おずおずと顔をあげると、照れたように笑う顔と目があった。
「よし。その顔が見られたから、また仕事が頑張れそうだ」
司さんは満足そうにそういって。
それから何度も何度も「気をつけて」「着いたらメールして」と念を押された。
もう。わたしの王子様は、過保護なんだから。
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