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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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王子様とようじょ

ふとね。思いついてしまったんですよ。

というわけで。薔薇イベントと、琴子さんです。
琴子さんは本来であればアイドル達とは一緒の時代にいないんですけれど、なんていうかこう、ご都合主義ってやつでお願いします。





(王子様とおさないお姫様)

・琴子さんは原作設定どおりでご結婚されてます。相手も原作通りの方です。
・この世界では旦那様は普通のご家庭の長男のはずですが、そこもまあ原作通りにちょっとお金持ちな感じのお家ということにしておいてください…

※大体冗談だよ!!






 彼女の姿を一番初めに見つけたのは、音羽慎之介だった。
 広い敷地でのガーデンパーティーは、あるところでは立食パーティー、あるところではベンチとテーブルが置かれ、歓談の場に、あるところは広いバラ園の観賞ができたり、生演奏によるダンスが行われていたりと参加者が飽きる暇さえ与えられていないかのように豪華なものだった。
 先ほどまではそれに「現在売り出し中のアイドルによるミニライブ」が加わっていたのだが、それはつい15分ほど前に終了し、音羽慎之介は休憩と言われ、庭の様子を見に来たのだった。

 彼女は、生演奏が行われている一角の一番隅、大きな株のバラの木に埋もれるようにして一人でそのバラの花を眺めていた。

「こんにちは。こんなところで、一人でどうしたの?」

 慎之介が彼女に声をかけたのは、彼女があまりにもここにいる他の来賓客よりも年若く見えるからだった。行きつけにしているレストランの女性オーナーよりも若く、もっと言えば幼く見える。そんな彼女が一人でこんなところにいるのが単純に不思議だった。

「……っ!?」
「あれ? 驚かせちゃったかな? ごめんね?」

 急に声をかけられて、びっくりして目を白黒させている彼女に目線を合わせようとすると、自然と慎之介は片膝をついて―それはまるで、お姫様の前に膝まづく王子のような姿勢になるのだった―いつものようにふにゃふにゃと力なく笑った。

「お嬢さん、お名前は? 僕は、音羽慎之介です」
「あ、あの……知ってます。さっき、歌ってたアイドルの方……」
「あっ。見ててくれたんだ。ありがとう♡」
「あ、はい。あ、わたしは、赤城琴子です」
「琴子ちゃんか。お嬢さんにお似合いの可愛いお名前だね」
「あの。わたし、お嬢さんじゃありません。結婚してますから……」

 今度は、慎之介がびっくりする番だった。
 確かに、言われてみればその可愛らしく小さく白い左手の薬指には銀の指輪が光っている。

「これは失礼いたしました。でも……」

 慎之介は膝立ちのまま、恭しくこうべを垂れた。こういう仕草は、デビュー前からだいぶ練習させられたし、ライブやバラエティーなんかでやるととっても受けがいい。特に若い女性に。
 それはともかくそこで慎之介は立ち上がり、改めて周りの様子を見た。

「こんな素敵な奥様を一人で放っておくなんて、旦那さんはどこに行っちゃったのかな? 見つけたのが僕だったからよかったけど、このパーティーにはワルーイドラゴンも、こっそり参加しているんだよ?」
「悪いドラゴン?」
「そう。琴子さんみたいな可愛い子は、すぐに食べられちゃうよ!?」
「だ、大丈夫です! きっと、琴子のことは大地さんが守ってくださるもん!」
「大地さん? それが、旦那さん?」
「そうです。大地さんはいろんな方にご挨拶しているんです。とっても忙しくて、大変だから私はそれが終わるまでここで待っているの」

 琴子は大地の話をしているとき、今までと違って花が咲いたような表情になった。可愛いな、と慎之介は素直に思った。その大地という男のことが、大好きなんだろうな、と。

「そうかー。じゃあ大地さんという人が戻ってくるまで、僕がここにいてもいいですか? お姫様」
「お、おひめさま!?」
「そう。僕たちにとって、女の子はみんなプリンセスなんだよ」

 はい、とキャンディーを差し出すと、琴子は目をぱちぱちとまたたかせた。

「お、音羽さんは王子様じゃなくて魔法使いなの?」
「王子様は魔法も使えるんだよ☆」
「へぇ~。すごい! さっきのライブもとってもカッコよかったです、そういえば」
「本当? 嬉しいな。僕が一番カッコよかった?」
「え、ええと……ごめんなさい、みなさん同じくらいカッコよくて、順番はつけられないです……」
「あはは! 琴子さんは正直だね。ありがとう」

 琴子の手にキャンディーを握らせて、慎之介は自分もひとつ、甘い塊を口に含んだ。









(つぎは悪いドラゴンさんに会うとか会わないとか)



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