恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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守ってあげる
今日はわたしの住んでいる地域では雷がすごくて、
午後中ずっと、という勢いで雷が鳴り続けていました。
わたしは特に怖いとかはないんだけど、あんまり大きな音とか、ずっと鳴り続けているとかだとやっぱりちょっと怖いと思うときもあるかなー。
で、こんなのを想像したよね。
京也さんと。
※ツイッター上で「1時間お絵かき一本勝負」というのが流行っているので、絵が描けないわたしはSSバージョンを一人で開催してみることにしました。
今回は20時から21時まで。ほとんど一時間ぴったりでした。(※読む上ではどうでもいいお話でした)
午後中ずっと、という勢いで雷が鳴り続けていました。
わたしは特に怖いとかはないんだけど、あんまり大きな音とか、ずっと鳴り続けているとかだとやっぱりちょっと怖いと思うときもあるかなー。
で、こんなのを想像したよね。
京也さんと。
※ツイッター上で「1時間お絵かき一本勝負」というのが流行っているので、絵が描けないわたしはSSバージョンを一人で開催してみることにしました。
今回は20時から21時まで。ほとんど一時間ぴったりでした。(※読む上ではどうでもいいお話でした)
(俺がいるから)
あいにくの雨に加えて、歩いている途中から雷も酷く鳴りだして、目的の場所につくころには土砂降りの中ひっきりなしに稲光と雷鳴がとどろくという、映画さながらの状況になっていた。
傘をたたく雨音に雷鳴が重なり、騒音と言ってもいいくらいの状況。風も強く、傘をさしていても服がびしょ濡れになるありさまだった。
事務所を出て歩き出したころには、こんなに酷くなるなんて想像もしていなかった。
雨だけど、いつもの店行くか? と声をかけた時に「雨はめんどいからパス」といったトオルの判断は正しかったかもしれない。
「……えっ!?」
店について、驚いた。
ドアプレートは【CLOSE】の文字。店内の明かりも落とされて、中には誰もいない……ように見えた。
「マジかよ……休みなんて、聞いてねえ」
ウインドウに張り付くようにして中を覗き込む。そんなことしたって、店が閉まっているのは分かりきってるけれど。
この雨だ。客も来なかっただろうし、外を歩いている人もいない。臨時休業にでもしたのだろう。
ドシャン! と何かを落としたような雷があたりに鳴り響いた。スゲー音。
ここからまた事務所まで戻るのか、ついてない。そう思いながら、俺は恨みごとの一つでも言ってやろうと思いたって、ズボンのポケットからスマフォを取りだした。
傘から跳ね返ってくる水滴のおかげで少し操作しづらい。電話帳から目当ての名前を探しだして、コール音を聞いた。
コール音はしばらくの間続いた。……出ねえか。諦めようとしたときようやく、か細い彼女の声が聞こえてきた。
「……京也さん?」
「悪い子ちゃん……? もしかして、泣いてる?」
一言声を聞いただけで、ドキッとした。いつも元気の塊みたいな声で電話に出てくれるあの子が、こんな声を出すなんて。もしかして、今日は臨時休業とかじゃなくて、体調が悪くて休んでいたとか?
いろんな思いが頭の中をぐるぐるする。
彼女が答える前に、また稲光がフラッシュして、直後に大きな雷鳴がとどろいた。
「ひゃぁっ! き、京也さん、京也さん」
「おい、どうした? 今どこにいる?」
「お、お店の中……」
「店?」
半ばパニックのようになって、俺は鍵のかかったドアを力任せに引っ張った。もちろん、そんなのでドアが開くわけもなく。ガタン!と大きな音が響いただけだった。
「俺も店の前にいる。どうした? 入り口開けてくれ」
「え、……う、うん!」
しばらくして、店の奥の方から毛布の塊が転がるように出てきて、モタモタとドアのカギを開いた。
カランコロン! 聞きなれたドアベルを鳴らして、俺は薄暗い店内に入る。
「京也さん!」
毛布の塊は、もちろんあの子だ。
傘を持ったままで、服もびしょ濡れの俺に構うことなく抱きついてくる。
「ちょ、ちょっとちょっと。どうした?」
「こ、怖かったあ~!」
俺の言葉をさえぎって、見上げてきた顔を見て本当に驚いた。
いつもの元気はつらつとした彼女の顔は見る影もなく、瞳は涙に濡れて、化粧も半分落ちかかって酷い状況だ。
一瞬、なにか……(犯罪めいたもの)を予想して背筋がうすら寒くなったが、直後に地響きのようになった雷鳴に彼女が俺に抱きつく腕の力を強めたので、ようやく合点がいった。
「雷が怖い……のか?」
こくこく、と俺の胸に顔をうずめた彼女が頷く。
「はぁー。そっか」
よかった。という言葉はすんでのところで飲み込んだ。なんか恐ろしいことにでも巻き込まれたのかと思った。そうじゃなくて心底安心した。
「そっか。大丈夫、俺が来たからもう安心だ」
落ちつかせるように背中をなでてやると、ようやく彼女は俺の体に回した腕を少し離してくれた。
こんなに雷が怖いのに、店に一人でいただなんて、随分心細かっただろう。いつもは一人で店を切り盛りするしっかり者に見えるけれど、案外可愛い部分もあるもんだな。
(トオルを連れてこなくてよかったし、あいつはこなくて大失敗だったな)
寮でゴロゴロしているに違いないトオルのことを少しだけ思い出した。
「お客さんも少なかったし、お昼でマスターも上がっちゃって、そうしたら本格的に降り出してきたからお店を閉めたんだけど。そうしたら……」
「これじゃあな。怖かったな」
「うん。毛布あったから、よかった」
「おいおい。そこは、『京也さんが来てくれて』っていうとこだろ?」
「あ、そうか……ごめん」
「いいよ。お前が悪い子ちゃんなのは知ってるし、今日は可愛いところも見れたし」
「……むぅ」
改めて店のドアには鍵をかけて、俺たちはバックスペースの休憩室にいた。
濡れてしまった俺は上着だけ脱いで、Tシャツにバスタオルを引っ掛けている。バスタオルは、「これ、新しくおろしたやつだから綺麗だから!」と気を使われてしまった。彼女のこういう気づかいはとても好感が持てる。
その前にシャワー室を使え、と彼女には随分言われたが、今も地鳴のように雷が続いて、そのたびに体を震わせる彼女を一人になどできるはずもなかった。
「それにしても……前も言ったと思うけど、お前、俺に安心しすぎだよ?」
「そう? そうかなあ」
「男としてどうなんだって、ちょっと自信なくしちまうよ、京也さん」
「そんなことないよ」
休憩室には狭いけれど横になれるスペースがある。そこに俺は座っていた。その俺の足の間に彼女は毛布に包まったままで収まっている。
安心しきったような表情をその顔に浮かべて、俺が髪を撫でたり、背中をとんとん叩いたりするのに身をゆだねてくれているのを見ると、いつだったかこいつとエレベーターに閉じ込められた時にも感じた、嬉しさと落胆とを同時に感じる複雑な心境に陥ってしまう。
そして、少しは意識してくれよ、とか情けないことを感じながら、すぐ目の前にある彼女のほっぺたに軽く唇で触れてみた。
「そういうこと言ってると、キョウヤさんは野獣系アイドルなんだから、悪い子ちゃんなんか簡単に食べちまうんだからな? 後から後悔するかもしれないぜ?」
返事はなく、その代わりこちらをじっと見上げていたうるんだ瞳が閉じられた。
「いいんだな? 雷なんか、聞こえないくらい夢中にさせてやるから」
少し言いすぎかな、などと思いながら。今度はその唇に自分のそれを合わせた。
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