このあとめちゃくちゃ怒られた

もう一本！
ギャグって言うかなんていうか。軽いお話。

こちらもこまきさんからお題をもらったよ！　ありがとうございます！！

（よくわからない人たち）




「ぶぇっくしゅん！」

「わっ。びっくりした」
「今の、霧島くん？」
「すまない。ちょっとホコリが気になるようだ……ぇっくしゅん！」
「わぁ」
「見かけによらず豪快だな、霧島くん」
「そうか？　特に気にしたことはないが……ふぇ、ふぇっくしゅ！」
「大丈夫？」
「すまない、ちょっと出てくる」

　霧島くんが楽屋を出て行った。
　特に気にはならないけど、この部屋、ちょっと埃っぽいのかもしれない。霧島くんはいつも自分の部屋もすごくきれいにしているから、ホコリとかに過敏なのかもしれない。

　そういうと、シンくんは目をぱちぱちとさせて首をかしげて見せた。

「カビンって？」
「おい……。えっと、敏感ってこと」
「おお」
「しっかし。普段『王子たれ！』って合言葉にしている人が、あんなオヤジみたいなくしゃみするなんてな」
「カッコよかったよ？」
「シンくんの感想は聞いてないよ」
「えー」

　俺のくしゃみは、人にもよく言われるほど中途半端で途中で引っ込めたみたいな感じなので、さっきの霧島くんみたいに豪快に出せたらスッキリしそうだなー、と思う。
　それにしても、霧島くんって頭いいし、あんな外見だし、普段はものすごく冷静で上品だしマナーとかもバッチリだし、馬にも乗れるしダンスのキレもそんな感じでものすごいのに、空手めちゃくちゃ強いしドラマの喧嘩シーンもガチだったし、俺とかシンくんがやらかしたときはめちゃくちゃ怖いし趣味はリー先生の映画観賞だしそれに加えてくしゃみは豪快だし。なんかもう……良くわかんない人だな。
　そういえば、シンくんがくしゃみするとこも聞いたことがないような気がする。
　まあ、この人は「アイドル、ウンコしない」系の人なのでくしゃみなんかしないのかもしれないしそう言われても別に驚かない。

　俺がそんな無意味なことを考えていると、シンくんは霧島くんがどこへ行ったのか気になるようで、スマホを取り出してラインを起動し始めた。

「霧島くん、どこ行ったのかな」
「洗面所じゃね？　ちょっと出てっただけじゃん」
「うん……あっ、そうだ」

　シンくんは突然スマホを投げ出して立ちあがった。ちょ……ラインのメッセージ変なとこで送っちゃってるし。受け取った霧島くんがまた考えこんじゃうだろ。
　テーブルから落ちそうになったシンくんのスマホを受け止めていると、シンくんは窓の方に駆け寄っていって、がらりとその窓を全開に開けた。

「ホコリが多いなら、空気を入れ替えよう♪　これで霧島くんも大丈夫だよきっと」
「ちょ……！　風強い！　シンくん閉めて！！」



　その後。
　不用意に窓を開けたせいでビル風が猛烈にはいってきて、楽屋の中の台本やらチラシやらがいろいろ飛びちり、俺とシンくんのヘアセットもめちゃくちゃになり、慌てたせいで衣装まで着崩れてしまい。

　あー。もう……。