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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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みなこさんと佐伯くん

今日、仕事帰りに思いついた話が思わす妄想広がって楽しい展開になったので、
ちゃんと書いてみる。

ちゃんとと言ってもブログ一発書きには違いないんですけど。


注意点として、
大学生の佐伯主(デイジーの名前はみなこ)
佐伯は高校のときからつい最近まで赤城デイジーに片思いしていた。
みなことは最近出会って、結局付き合っている。

と、そういう設定のお話です。





(リアクションおでん)



みなこはまるで今日の天気を話題にするかのような口調で言った。

「今日ね、同じ講義取ってる人に告白されたよ」

「ああ、そう」

俺も同じような調子で返す。
みなこは続けた。

「それでさー、晩御飯はおでんがいいな。大根とー、お餅入れるの!」
「餅?」
「もちきんちゃく!」

話題をコロリと変えてみなこはうきうきと飛び上がる。

「あぁ。あれ、熱いから俺苦手。それよりウインナー巻きとか、ちくわとかがいい」
「やだ、佐伯くん意外と子供っぽい!」
「バ、バカ! おでんの種に子供っぽいとかないよ! ない!」
「あるよ~。 佐伯くん、ちくわぶとか好きでしょ~。バクダンとか!」
「すっ、好きじゃない!」
「顔、赤いよ~」

ニヤニヤと笑っている。……まったく、どっちが子供だよ。
俺は赤くなっている顔をふい、とみなこから背けた。

「和食は作るの苦手だから、おまえに任せる」
「えー! 佐伯くん作ってよ」
「嫌だね。 お前が食べたいんなら、お前が作れ」

みなこはぶぅぶぅと頬を膨らませていたけれど、これから行くスーパーでおでんの材料を買って、ついでにあいつが好きな菓子の一つも買ってやればすぐに機嫌が良くなることを俺は知っている。
それほど長い間一緒にいるわけではないのに、みなこのことは自然と俺の中に入ってくる。
なにが好きか、なにを選ぶか、どうすれば怒るのか、どうしたら喜ぶか。今では大体予想がつくし、そしてだいたい外れない。

みなこが誰かに告白されたことに対してだってそうだ。
みなこにとって、告白されることは天気予報を聞くことと同じくらい普通のことで、別段特別なことでもないらしい。そして次の日にはすぐに忘れてしまうところも天気予報と似ている。
そして、俺もそのことについて特に感想を持たなくなってきている。「今日の天気は曇りですが、雨の降る心配はなさそうです」と言われたのと同じようなもので、晴れの日ほど嬉しくもない代わりに雨の日のように憂鬱にもならない。ふぅん、そうか。と思うだけだ。

あいつ以外の女には興味がなかったはずなのに、みなこと出会ってからの短い間で俺はだいぶ変わってしまったみたいだった。
これがあいつだったら、こうはいかなかった。
あいつだったら、いつか俺の手の届かないところに行ってしまうんじゃないかっていつも不安で仕方がなかった。あいつが男と話をしているだけで邪魔しに入るくらいだった。
でも、みなこが俺から離れることは、降水確率が0パーセントの日に雨が降るよりも有り得ない。それを俺はもう知っている。
俺はいつの間にかこの位置にいるのが心地好いと感じるようになっているのだった。

「じゃあ愛情あつあつおでん作ってあげるね!」
「おまえの愛情なんて、なんかの罰ゲームか。遠慮しておく」
「そんな、遠慮しなくていいから!」
「いいから普通に作れよ」

少し疲れるけれど、こういうのも悪くないな、なんて俺は思っているんだ。



「はい。佐伯くん、あーん」
「ちょ……」

なんでよりによってそこでこんにゃくを取る!
沸騰してるんじゃないか、と思うくらいもうもうと湯気が立つ土鍋の向こうから、満面の笑みのみなこが差し出す箸が見える。
こいつ、普段はそこそこ上手な料理を作るくせに、気合を入れると電波レシピを受信してくるらしい。
気合は入れなくていいっていつも言っているのに。
まあ、今日のはまだ、必要以上にだし汁が沸騰しているだけで済んでいるからましな方かもしれない。

「はい、佐伯くん。あーん!」
「おまえ、自分でそれ食べてみろよ!」
「遠慮しないで!」
「遠慮なんかしてない! 全力で嫌がってるよ」

なんでこんなに嬉しそうなのか理解に苦しむ。
けれど、残念ながらみなこっていうのはそういう女なんだ。俺なんかでは到底理解しきれないような、底が知れないような。
だって、俺のことが好きだっていうくらい変わった奴なんだ。

「これ、リアクション芸人じゃないんだからこんなの食べられるわけないだろ」
「ひどい、わたしの料理が食べられないっていうの?」
「そうじゃないだろ。分かれよ!」
「じゃあ、恥ずかしいの? 大丈夫、誰も見てないしわたし、誰にも言わないから!」
「そうじゃないって」

ぐいぐいとこんにゃくを挟んだ箸を押しつけてくるから、俺はのけぞって避けた。
恥ずかしいとか、それもあるけど。

「はい、あーん」
「嫌だって。そんなの食べたら舌が死ぬ。俺の大事な舌をダメにする気か」
「もう。恥ずかしがっちゃって。仕方ないなぁ。じゃあ、ふぅふぅしてあげるね」
「そうじゃないって……」

俺が言いかけているのに、いつの間にかテーブルの向こうから俺の隣ににじり寄ってきていたみなこは箸ほ引っ込めて、こんにゃくにふうふうと息を吹きかけていた。
それが、なんというか……、その。なぜ目をつぶるんだよ。キスするときの顔そっくりじゃないか。

頭がだんだん沸騰してきているのを感じる。机の上で湯気を噴出し続けている土鍋よりももっと熱く、何もかもわからなくなるような。

「はい、冷めたよ。あーん」
「う……ぐ」
「あーん?」

ああ、悪かった。俺の負け、俺の負けだよ!
こうなりゃ開き直ってやることにする。俺は口を開けて、人肌のこんにゃくを口の中に導き入れた。

「おいしい?」
「……まぁな」
「やったぁ。ラブラブおでんだもんね。ハイ次、ラブハートつみれ、どーぞ!」
「ら、ら……」



こいつといるのが心地いいなんて、前言撤回だ!






やっぱりこの佐伯さんが好きです。
しかし口調崩壊してるなぁw


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