バレンタインに乙女の本気を見た

最近の中高生は、男子にあげるよりも女の子同士でチョコ交換する方が熱心なんですって。

◆年の差（リーマンと中学生）



バレンタイン。
俺くらいの年になるともう本命だ義理だのでわあわあ騒ぐようなこともないし、社内の女の子が「みんなからです～」なんて言って配りに来るくらいの行事だ。

……った。去年までは。

「平日だから遅くなるって」
「でも渡したい！」
「だから前の日曜日か、そのあとの土日にしろって」
「やだぁ～！　当日じゃないとダメなの～」
「うるせえなあ……。ダメだったらダメだ」
「どうしても？　早く終わらないの？」
「我がまま言うな」
「じゃあお仕事が終わったら来る」
「それもだめだ。中学生には遅すぎる」
「うわーん！　親みたいなこと言わないでしょ！」
「親と同じようなもんだろ、実際」

ジェネレーションギャップがこんなにめんどくせえとは思わなかったけれど、彼女がどうしてもバレンタイン当日にチョコを渡しに来たいといってごねる。
なんでも、同級生と一緒に作るからその日じゃないと都合が悪いんだと。
わざわざ作らなくてもいいよ買って来たもんでもなんでも、と言ったら

「手作りじゃないと思いが伝わらないでしょ～！　なに言ってんの？」

とか言われてしまった。
時々こいつは本当に俺に惚れてるのか分からない。
ていうか別にチョコが手作りだろうが既製品だろうが、そもそもチョコごときで愛が伝わるかと言われたらそんなわけないだろうとしか答えられないのだが……。
まあ、聞いたところによると最近の中高生にとってバレンタインデーというのは一大イベントのようだし（実際デパチカやらスーパーやら、雑貨店でもえらい騒ぎで普通の買い物に行った俺は困惑しきりだった）、あいつが張り切るのも分からないではない。

「だから手作りなんかじゃなくていいって言ってるじゃないか。そもそも何作るんだ」
「デコチョコだよ」
「なにそれ」
「しらないの？　チョコにペンで絵をかいたりするの」
「それって一人でできるんじゃねえの？」
「ひとりで作るなんて淋しいじゃん！　友達いないみたいだし」
「……はあ」

なんていうか。

やっぱり俺はなにか間違えたような気がしてならないんだよなあ。





つーか、コイツからチョコもらえるんだろうか。甚だ疑問になってきたぞ。













付き合ってるんだか付き合ってないんだか、なんか微妙な感じなんです。