たまにはこっちから？

うん、まずは201個目から始めましょう。
千里の道も一歩からですよ。

「隠しごとを～」の続きはまた明日にして、今日は思いついた小ネタを書いてみたいと思います。

昨日～今日にかけて拍手ぱちぱちありがとうございました！
続きもがんばる気力になります！！

（たまにはこっちから）



さわさわと聞こえてくる、ざわめき。夜の波の音みたいに静かに、だけど暗くてだんだんと近付いてくるみたいに感じられるところは少しだけ怖い。
赤城くんと付き合い始めて、同じ学校に通うことになって、初めて気がついた。
「あの子が……」
「はね学……」
「たいしたこと……」
「なにか……」
さわさわと、近づいたり離れたりして、だけど絶対に捕まえることができないのも、夜の波に似ている。

そんなの理由は分かってる。今までは同じ学校にいなかったし、一緒にいる時間もすごく限られていたし、なにより付き合っていなかったから知らなかっただけのこと。
だけど、想像はできていた。
覚悟は……していたつもりだったけれど、実際にはけっこうキツい。

けれど、そんなの赤城くんに言うわけにもいかない。
「あなたのファンの女の子たちが、わたしに嫉妬して陰口を言っている」
だなんて。
そんなの、こそこそしているあの子たちとおんなじになっちゃうもの。
気にしなければ大丈夫だよ、きっと。


「雪、おまたせ」
「大丈夫、待ってないよ」
「うん、それじゃあ行こうか」
すっ、と当然のように差し出された手をじっと見つめてしまった。
そうしたら、赤城くんはいつものように少しだけ意地悪な顔をして、
「そろそろ、慣れてほしいな、手をつないで歩くの。僕だって、毎回結構緊張してるんだぜ？」
そう言って、照れくさそうに笑った。

女の子とちゃんと付き合うのは初めてだ、って言っていたけれど、やっぱり赤城くんはなにをするにも少し余裕があって、それでいてスマートで無駄がない。
手をつなぐのにも、一緒に一人暮らしの赤城くんのお部屋に帰るのも、それから、……抱き締められたり、そのあと目を閉じたりすることも、いちいち緊張して、真っ赤になっておろおろするわたしとは大違い。

早く慣れなくちゃ、って思うんだけどそう思えば思うほど緊張して、頭がぐらぐらしてくるんだもん。

「さあ、いこう」
なかなか赤城くんの手を取らないわたしに業を煮やしたのか、赤城くんはさっさと手をとると、歩きだした。
ちょこっとだけ引きずられるようにして、わたしもいそいで歩きだす。
「むーむむむー……」
「なに、どうしたの？　強引なのはいやだった？」
「そうじゃないけど……むーん……」
さっきの夜の波みたいなざわめきを思い出す。
なんだか、すごく癪に障ってきた。よく赤城くんに言われる「意地っ張り」な部分が顔を出してきたのかもしれない。

赤城くんは、わたしのこと好きだって言ってくれたんだもん。
それから。……それから、わたしだって、赤城くんのこと好きだもん。
あんな風に、遠くから見ているだけの人にとやかく言われたくないんだもん。

………………えいっ。

わたしは一気に赤城くんに近づくと、ぎゅっ、とその腕にしがみついた。
驚いたみたいな顔をして赤城くんがわたしのことを見ていたけれど、その顔を見上げたわたしの顔だってきっと、茹でたイセエビみたいになってたよ、きっと。
「いっぱいくっついたら、手をつなぐの、少し慣れるかもしれないでしょ？」
「ハハッ、変な理屈」
「変なのはお互い様だもん。……イヤだった？」
「そんなわけない」

赤城くんが笑ってくれたから、わたしは嬉しくなってますますぎゅっ、ってくっついた。

「……あんまりくっつくと……その、あれが当たるんだけど……」
ぼそり、と赤城くんが何か言ったけど、舞い上がっていたわたしにはよく聞こえなかった。

---

腕を組むとあれが当たる、というシチュが好きですいません。
えろいのはいけないとおもいます＼(^o^)／

しかし、たまにはデイジーの方からチューさせてやろうと思ったのに腕組みどまりなウチのデイジー。
まだまだ先は長いね！