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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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萌え萌え

バレンタインまでに、半年以上放置してしまった連載長編赤城を更新するのが今週の目標です。

ネット絶ちして集中したらなんとか形になったので、あとは修正と少し書き足しする感じです。
出だしは書いてあったし、内容も全部決まっていたのですぐ書けたはずなのに、随分と時間がたってしまいました……反省。


というわけで、続きは赤主のバレンタイン。





(初めてのバレンタイン)



今日最後の授業が終わって、バイトもないし帰らなきゃ、と思って教室を出ると、そこに赤城くんが立っていたからすごくびっくりした。

「今から帰り?」
「う、……うん、そうだけど」
「じゃあ、一緒に帰ろう」
「……うん」

一緒に帰るだけなら、メールしてくれればいつも待ち合わせしている学食の前で会えるのに。
わざわざどうして教室の前まで来たんだろう。
法学部の赤城くんの授業は、わたしとはだいぶ違うから、こっちの方の校舎を使うことはほとんどないはずなのに。

いろいろと疑問が思い浮かぶけれど、それはあとで聞けばいいか、って思う。
良くも悪くも赤城くんは目立っていた。高校のとき、プリンスと呼ばれて大人気だった佐伯くんほどじゃないけれど、今だって一緒に歩いているとわざわざ振り返って赤城くんのことを見る子だとか、遠巻きにしてひそひそ言っている声だとかが聞こえてくる。
でも、赤城くんはそんなの全然気にしていないふうで、スタスタと歩いていく。……慣れてるのかなあ。

つくづく、わたしってどうしてこんな不釣り合いな人と付き合ってるんだろう、って思うよ。
相手ははば学出身の優等生、おまけに弁護士目指してる一流大学のエリート。しかも女の子が振り返って二度見するほどカッコいい。
わたしは一応一流大学には合格したけれど、はね学出身のどうということもない普通の学生。
あーあ。どうしてこんなに差があるんだろう。
しかも、好きな気持ちは全然なくなったりしないもんだから、処理に困っちゃう。
いくらコンプレックスもったって、好きなものは好きなんだもん、っていう結末にしかならない。

「君んち、行ってもいい?」

赤城くんがそういうから、一緒にわたしの部屋に帰ってきた。
二人してカバンを置いて、コートを脱いで、お茶を入れようと立ち上がろうとしたら、赤城くんに手を引っ張られた。

「きゃ、な、なにするの?」
「いいから、座って」
「……? なに? 怒ってるの?」
「そう見える?」
「うん……」

ちょっとだけ顔が怖い。そう……あの時、「お願いだから、最後まで聞いてほしい」って言われた時の顔に少し、似ている。
そういえば、あれからもう一年もたつんだ……。

「あのさあ。今日って、何日?」
「えっ、2月14日……だけど」
「じゃあ、今日は何の日?」
「……えっ」

うそ。まさか赤城くんにそんなこと言われるとは思わなかった。
付き合い始めてもうすぐ1年になるけど、誕生日ですら「君が祝いたいなら、好きにすればいいよ」とそっけなかったものだから、記念日とかイベントとかあんまり気にしない人なんだと思っていた。

「なにも連絡がないから、まさかとは思っていたけど……。期待した僕が……バカだった?」
「うっ……え、ええと……」

思わず口ごもると、赤城くんははぁぁ、と大きくため息をついた。
額に手を当ててうつむいてしまった赤城くんの、赤茶の髪から覗いている耳が真っ赤に染まっているのに今更気がつく。
うそ。……赤城くん、もしかして今照れたりしてる?

「ああ。なんか僕、ものすごくかっこ悪い感じになってる?」
「あ、……あの! 赤城くん、そ、そうじゃなくてね……!」

わたしは慌てて立ち上がった。
どくどくと心臓が脈打ってるのを感じる。きっと、顔も赤い。
赤城くんが顔をあげてこっちを見る。その、真っ直ぐに射るような目つきに、また一層顔が赤くなるのを感じる。

じっとみられている。なんだかそれすら気恥かしいのを我慢して、クローゼットを開けた。隅に置いてある、小さな紙袋を手に取る。

「あの……、これ」
「えっ」
「えっ……って、あの、バレンタイン……でしょ?」
「え、あ、ああ……うん……」

なんだか呆けたような顔をして、赤城くんは私の差し出した紙袋を受け取ってくれた。
……どうしよ。渡しちゃった。
さっきよりも、心臓がもっとドキドキいってる。赤城くんに聞こえちゃいそう。

「開けても、いいかな」
「うん……どうそ……」

カサリと、紙の擦れる音だけが部屋の中に響く。
どこを見ていたらいいのか、わたしはなんだかすごく所在をなくしてしまった。じっと赤城くんのことを見てしまう。
少し節のある、わたしのよりも大きな手とか、さらさらとした髪とか、赤くなった顔とか。
じーっと見ていると、赤城くんが不意に顔をあげた。

「わっ、きゅ、急にこっち見ないでよ」
「それはこっちのセリフ。そんなにじっと見られると、正直照れるんだけど?」
「あっ、……ご、ごめんなさい」
「いや、別に謝らなくてもいいけどね」

わぁぁ、見惚れているの、ばれちゃった。
もう、すっごく恥ずかしい。どうしたらいいか分からない。立ち上がろうとしたら、「そこにいてよ」って、ひきとめられちゃった。

「忘れてるのかと思ってたよ、僕は……」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「そんな大きな声出さなくても……」
「だ、だって。バレンタインを忘れる女の子なんて、いないよ……」
「じゃあ、だったらなんで今日まで何の連絡もしてくれなかったんだよ。僕だって随分気をもんだんだぜ? 言い出していいものか、催促しているみたいでカッコ悪いんじゃないか、って」

いいながら、赤城くんは照れくさそうにははっ、と笑った。
張りつめてた部屋の中の空気が、それだけでふわんと柔らかくなったような気がして、心が軽くなった。

「だ、だってわたしも……恥ずかしくって、どう言い出せばいいのか分からなくて……」
「そうだったのか。じゃあ、思い切って言えば良かったな」
「うん。……こういうときだけ、一言余計じゃないんだから」
「君は、いつも通り意地っ張りだったな。僕が呼ばなかったらこのプレゼント、どうするつもりだったんだ?」
「う……」

わたしがあげたプレゼントを指差して、赤城くんは得意げに言った。
いつもだったら怒るところだけど、さっきこれを見に付けた赤城くんがあまりにもカッコよくって、期待していた以上だったから、今日これを渡せて本当に良かったって思ってわたしは怒る気もなくしてしまった。

「ふふ。そんなところも、君を好きな理由の一つだから、今更だけどね。ありがとう」
「……どういたしまして」
「さぁ。それじゃあ、1カ月後のお返しを、期待して待っていなよ? いいものもらったから、これに負けないくらいのもの、用意しておくからね」
「い、いいよそんなの!」

意地を張るなよ。
と赤城くんは笑って、わたしのプレゼントを大事そうに撫でた。





なんかよく分からない上に長いな。
バレンタインのプレゼントは、チョコのほかになにかモノをあげたと想像してくだされば幸いです。
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