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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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妨害になど、負けぬ!!

出来上がっているものを、小出しにする意味はないと思いまして、
どんどん更新します。

ブログに連作すると、続きが読みづらいのが難点ですが、なんとかリンクとかして読みやすくなるようにしたいと思います。
自分のためにも。

ちょっとだけもったいぶって、時間差更新する。



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赤主SS <いつも、いつまでも>


※以下をよくお読みのうえ、ご了承のうえ先にお進みください。
・赤城×デイジー前提
・卒業後、大学生設定
・灯台に告白に来たのは佐伯、でも振られた
・佐伯とデイジーは大人な意味での関係あり
・ぶっちゃけ、佐伯は当て馬です。

赤城が出てくるのは4話からになります。
赤城のキャラが、ゲームのイメージと大きく違います。爽やかでもカッコよくもありません。
「こんなん赤城じゃない!」とか言わない。これ約束。
許容できない方は読まないで下さい。管理人は打たれ弱いです。


◆本文はこちらです。
1話 2話 3話 4話new!! 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++







(いつも、いつまでも)





その時の気持ちを、雪は何と表現したらいいのか分からなかった。

「赤城一雪。こいつらと同じく法学部で、将来は弁護士になろうと思ってるんだ」

神様は、ずいぶんと偶然と運命がお好きらしい。
クラスメイトに頼まれて人数合わせに、と参加した生まれて初めての合コンの相手メンバーの中に、忘れたくても忘れられなかった顔があったのだから。
ずっと会いたくて仕方がなかった人。会って、最後に言った酷い言葉を謝りたかった。もし、次に会えたら真っ先に謝ろうと思っていたのに実際に目の前にすると声すら出やしない。

雪がずっと好きだった男は、赤城一雪といった。


顔を見た時からもしかして、とは思った。けれどもあれから何年もたっていて、目の前にいるのがあの頃はあんなにもはっきりと思いだすことができた彼の顔なのかどうか、自信がなくなってしまった。
それほどに、赤城は変わっていた。いや、雪は彼のことなど、ほとんど知らなかったのだ。何度か話をして、ほんの少しだけ一緒の時を過ごして、それだけで一方的に好きになったような気になっていただけだったから。
けれども雪の記憶の中にある彼のイメージとは随分と変わっていた。

最初にみんな飲み物を注文して、赤城は他の男子のメンバーと同じく生ビールを飲んた。少し話をしているうちにすぐにジョッキを空にして、お代わりを注文していた。

(お酒、飲むんだ。……強いのかな)

向かい側に座る女の子や、隣の男の子たちと楽しそうに話をしている。ずいぶんと、こういう場に慣れているようにも見えた。

(あの頃もかっこよくて、女の子に人気ありそうだったけれど、でもデートとかには慣れてなさそうに見えた。わざわざはね学まで来てくれて、それで、スッチャーのチケットをもらって)

赤城との数少ない思い出は、いつでも思いだせる。記憶が本棚のようになっているとしたら、一番手に取りやすいところに大事に置いてあるのだと思う。
ぼんやりと、今まで知りもしなかった赤城の顔を見ていると、少しだけ目の奥が熱くなってきた。

(赤城くんは、わたしのことなんか忘れてるのかな……)

こっちはこんなにもあなたに会いたくて、ずっと……佐伯くんにあんな思いをさせてまで。
そう思っても、言葉になどできない。少し遠くに座っている赤城は雪が自己紹介をした時にも特になにも表情を変えたりはしなかったし、今もこちらの方など見向きもしない。

(そうだよね……、赤城くんにとっては、あの三年間だって、ちょっとおもしろかった偶然の出来事にすぎないんだ)

泣いたら負けだ、そんな風に考えて、雪は自分のグラスを勢いよく空にした。
そんな様子に、雪の向かいに座っていた男が声をかけてくる。

「内海さん、だっけ? 飲んでる?」
「えっ、あ、あぁ、はい! おいしいです!」
「そんならいいけどね! それにお互い同い年なんだから、敬語はやめようよ」
「えっ、ああ、はい……じゃなくて、うん!」
「あはは、内海さんって、かわいいね」
「そ、そんなこと」
「いや? かわいいよー。飲み会とか、あんまり慣れてなさそうなとこが」

ほら、次頼みなよ。そう言って彼がメニューを差し出してくる。
それを受け取りながら、雪はこれからどうしよう、と考えていた。







少しだけ席を外した雪がテーブルに戻ると、今まで雪が座っていた場所には他の男子が座っていた。

(えっと……)

女子も男子も、みんなそれぞれの話に夢中で、席がなくなって立ちつくしている雪のことには気がつかない。
どうしようかとしばらく考えていると、ぐいっと袖を引かれた。

「こっち。空いてるよ」
「えっ……、あ……」

雪の袖を引いたのは、赤城一雪だった。
赤城が少し横にずれた隣に無理やりスペースを作ってくれて、雪はそこに座る。さっきまで雪が飲んでいた飲み物のグラスも、割り箸や皿なども赤城が手を伸ばしてこちらに持ってきてくれた。

「あ、ありがとう」

小さくお礼を言うと、赤城は「別に」と小さく言った。

「君が中座してる間に席替えしたんだよ」

言いながらテーブルの上にある煙草の箱の中から一本引き出す姿を思わず凝視してしまう。
赤城はテーブルの端にあった灰皿を引き寄せて、それから気がついたように雪のことを見た。

「吸っていい?」

既に煙草を口にくわえて、ライターを持っている状態で嫌とは言えない。
雪が慌てて首を縦に振ると、赤城は「じゃあ遠慮なく」、咥え煙草で言って、カチリとライターから火を移し大きく煙を吐く。
そのまま二度、三度と煙を吸っては吐き出す姿を雪はなにも言えずにじっと見てしまった。

(煙草なんか、吸うイメージじゃなかったのに)

勝手に想像して、イメージと違うとかどうとか。
そういうふうに言われるのが一番嫌なことは、佐伯から聞いて知っていた。けれども思ってしまう。
これが、あの……、優等生のはば学生徒会執行部で書記までやっていた、あの、赤城くん?

「なに? 僕が煙草吸うの、そんなに珍しい?」

灰皿の中に灰を落として、赤城がこちらに向かって笑いかける。
ドキリと心臓が跳ね上がった。もうあれから何年もたって、赤城くんはわたしのことを忘れてしまっているのに。
それなのに、まだこんなにも好きだった。忘れなきゃなんて、新しい恋をしなくちゃなんて、口だけだからどうとでも言えたんだということを雪は思い知った。

「うっ、うぅん! 違うの。ごめんね」
「別に。……今度はずいぶん素直に謝るんだね」
「……こんどは……って?」
「君、前はなにかって言うとすぐに突っかかってきたじゃないか。まあ、僕もそうだったから、お互い様かな」
「……あ、あの……えっと」
「あれ。薄情だな、もしかして僕のこと、忘れちゃってるとか?」

心臓がうるさい。口から飛び出して来そうな気がして、雪は胸のあたりをぎゅっと押さえた。
赤城はそんな雪の様子を見て、くすりと笑った。

「僕は君の顔見て、すぐにわかったよ。久しぶりだ。何年ぶりかな」

そうして、赤城は「君、なに飲んでたの? 僕にもひとくちちょうだい」 そう言って雪の飲んでいたゆずはちみつサワーに口をつけた。



雨宿りの偶然から始まった雪の初恋は、こうして再び走りはじめた。





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