下書きで失礼します

時間がないのだけれど、萌えくらいないと人生に余裕がないよね。

というわけで少し書いてみる。
まあ、決して余裕があるわけじゃないんだけれど。

（あの子は優等生）
平くんのバンビの名前は　泉　夕花　といいます。






教室につくと、さっそく夕花は宿題をもって平の席に向かった。

「平くん、宿題の答え合わせ、しよ」
「あっ、うん」

夕花が持ってきたのは氷室から出された数学の宿題だった。
今回はやたらと難問ばかりで、夕花もきちんとできたかどうか自信がない。
登校中に会った二人は、数学の授業の前に答え合わせをしよう、という話をしながら教室まで来たのだった。
二人が宿題を広げると、周りのクラスメイト達がそれを目ざとく見つけて、同じように宿題を持ってやってきた。

「泉さん、俺も混ぜて！」
「俺も俺も！　今回の、すごく難しかったよなー」
「おれ、半分もできてない」

女子も男子も何人か集まってきたのだが、やはり男子が多い。
やっぱり成績優秀だし可愛いし人気もあるし、狙ってる男って多いんだろうなぁ。と平はひっそりとため息をついた。

（二人っきりで……なんて夢のまた夢だな）

数式の答え合わせをしながら、時折夕花が問題の解き方を説明する。それは分かりやすくて、誰もが納得できる話し方だった。

順調に答え合わせを進めていた一同だが、ある一問でその手が止まる。

「あ。これ。わたし、この問題だけはどうしてもわからなかったんだ」
「俺も！」
「泉さんがわからないんじゃあ、しょうがないよな」

しかし、氷室の宿題を「分かりませんでした」では通らないのははば学生なら誰でも知っていることだ。
どうしても答えを出さなければならない。
（誰か、解けよ）
周りの空気がそんな無言の圧力を増していく中、ぼんやりとしていた平はふと我に返って手元を見た。

「あ……、それ。俺、偶然できたやつだ」
「えぇぇぇっ！」
「タイラ、すげぇ！！」
「おまえ、数学得意だっけ？」

急に注目されて、平は少し照れたように頭をかいた。そして困ったような笑みを浮かべる。

「偶然だよ、偶然。たまたま解き方が思い浮かんでさ……けど、合ってるかどうかは話が別だけど」
「それでもすげぇな」
「これ、どうやったら解けるんだ？　タイラ、説明しろよ」
「えぇっと……」

周りの視線が自分に集中しているのを平は感じていた。
中でも、真正面からのまぶしいくらいの目の力。

（泉さん……そんなに見るなって）

ほんの少しだけ居心地の悪さを感じながら数式の解き方の説明を終えると、今までずっと黙っていた夕花が口を開いた。

「平くん、すごいね。……かっこいい……、っ、あっ！」

夕花は慌てたように口を閉じる。どうやら思わず言葉に出してしまったらしい。

「あっ、あの、あの……、ごめんなさい！　ありがとう、平くん、またね、じゃあね！」

わたわたと夕花は机の上の自分の荷物を片づけて、逃げるように自分の席へと戻っていく。
そして自分の机の上でがばりと顔を伏せてしまった。

ちょうどそのとき予鈴が鳴って、担任の大迫が教室に入ってきたのでその場はそれで解散になった。

けれども、平はずっと顔を伏せたままの夕花のことが気になって仕方なかった。

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タイトルに反してバンビがあまり優等生らしさを出していない件。
二年生くらいの話だと思ってください、
三年になったらなんとなくクラスのみんながそれとなくタイラーとバンビのことを応援しているとかいう、そんな生温かい目で見守ってくれてるクラスメイト希望。