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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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幼馴染とタイラーバンビ

うふふ、うふふ。今日はたくさん妄想して幸せです。
そしてわたしは平くんが好きすぎると思うよ。でもそれでいいと思う\(^o^)/








(あの子は幼馴染)





もうカイチョーは卒業していなくなっちゃったんだけど、なんとなく文化祭になると案内係をやらなきゃ、って気持ちになる。
最初の年はめんどくさかったっけ。困ってる人を助ける、って意味もよく分かってなかったから、困ってる人を探すのに苦労した。次の年はさ、人助けってなんか面白いんだなって思えた。体育館に行きたいっていうから連れてってあげただけなのに「ありがとう!」って言われたりさ。俺だって人の役に立てるんじゃん。なんて思ったりしてさ。
そんで今年。

「あっ、琉夏くん」
「夕花ちゃん。やぁやぁ」
「今年も案内係なの?」
「うん。カイチョーはいないけどね」

幼馴染の夕花ちゃんは、俺の制服についている腕章を目ざとく見つけて、ニッコリ笑う。

「えらいね、琉夏くん。一年生のころとは大違いだ」
「まぁね。夕花ちゃん、惚れてもいいよ?」
「ふふっ、考えておくね」
「へへ。……あっ、ヤバい」
「どうしたの?」

遠くの方から「案内係さーん、どこー?」「あたしたち、困ってるよー」なんていう声が聞こえてくる。ヒーローは耳もいいんだ。

「……困ってる人みたいだよ?」
「うぅん、アレは、俺目当てで来てる人なんだ」
「へぇ。琉夏くん、すごいね。人気者なんだね」
「ヒーローだからね。でも、ヒーローは本当に困ってる人を助けに行くんだ」
「そっか。ますますすごいよ琉夏くん」
「じゃあね。時間があったら、一緒に回ろう」
「うん、ばいばい」

俺は幼馴染に手を振って、迫りくる妨害者の声に背を向ける。
……ちぇ、軽く口説いたつもりだったんだけどな、あっさり無視されちゃったよ。
ヒーローも、恋愛だけは思い通りにならないみたいだ。




*******



適当に何人かの手助けをして、今日の「ご案内係」業務は終了、ってことになった。
生徒会室に腕章を返して、さてこれからどうしようかな、などと考えながら廊下をふらふらと歩いていく。
あんまりお金の余裕もないしなあ。文化祭じゃあ、安くてボリュームがあるものなんてあんまりないし。

そういえば、夕花ちゃんがシンデレラをやるんだって言ってたっけ。琥一に言われたのを思い出した。
今から行けば間に合うかな。なんとかなるかな。

それにしても、夕花ちゃんが他の男とシンデレラなんて、そんなの俺が知ったらぜタイに認めなかったのに。
あの、人見知りで男が苦手で引っ込み思案な夕花ちゃんが、どうして演劇のヒロインなんてやろうと思ったんだろう。
「嘘だろ? 夕花ちゃんが主役なんてやるわけがない」そう言ったら、コウも「俺も信じらんねぇんだけどよ」って言ってた。
シンデレラって、王子とダンスしたり、最後はケッコンしちゃう話だろ? 相手は誰なんだ、って聞いたんだけど、「俺も名前を聞いたんだけどよ、なんか忘れちまった」って。コウの役立たず。
「何度聞いても忘れんだ、仕方ねぇだろ、テメェが自分で聞いてこいよ」って最後にはキレられた。コウ、人の名前も覚えられないなんてドッか病気なんじゃないだろうか。頭の。

演劇を見ようと思って体育館へ向かって行くと、今の今まで考えてた夕花ちゃんの声がしたから少しびっくりした。

「あの……えぇっと」
「ね、一枚だけでいいからさ、頼むよ」
「だって、わたしなんか撮っても……」
「そんな謙遜してぇ! 可愛いって、男子の間で評判いいんだよ? 頼む一枚! 可愛く撮るからさ!」

夕花ちゃんが困ってる。
考える前に体が動いてた。

「じゃあ、俺も撮って? カワイイって、女子の間で結構評判v」
「げっ、桜井琉夏!」
「琉夏くん!」

わぁお。なんて格好してるんだ、それはシンデレラか? 夕花ちゃんはウエディングドレスみたいなひらひらしたドレスを着ていた。
これじゃあGブリホイホイみたいに男を吸い寄せちゃうって。自覚ないんだからなぁ。

「な、なんだよ。俺はツーショットが撮りたくて……」
「しょーがねぇなあ? じゃあ、俺が一肌脱いでやるか」
「琥一くん!」
「さ、桜井琥一まで!」

あぁ、ほら。さっそくGブリが一匹吸い寄せられてきたじゃないか。
突然背後に現れたコウが、いかにもカメラオタクです、みたいな小太りの男子を睨みつける。もちろん、夕花ちゃんを背中にかばうのは忘れない。

「ほら、これでツーショットだ」
「一枚だけだぞ?」

肩を組んでピースサイン。ポーズをとる俺たちに、カメラオタクくんは諦めたようにうなづいて、カメラを構えた。

「じ……じゃあ、それでいいです……」
「写真、できたらよこせよ」
「二度とくるかーーーーっ!!」

逃げるように走っていってしまったオタクくんを見送って、俺はコウに振り返った。

「コウ、グッドタイミング」
「ったくよ。見張ってねぇとすーぐ変な虫がくっつきやがる」
「琥一くん、琉夏くん、ありがとう……」
「別に? 夕花ちゃん、それ、シンデレラ?」
「あっ、そうだった。わたし。早く行かないといけないんだ」

夕花ちゃんは近くの教室の中の時計を見ると、慌てて言った。
そして、誰が見ても百人が百人とも「かわいい」って思うような顔になる。ちょっと頬を染めて、手をぎゅっと胸のとこで握って。着てるドレスと相まって、そういうしぐさがすごく似合う。

「早く行かなきゃ。遅れたら、平くんに迷惑かけちゃう」

タイラ? と思う間もなく、夕花ちゃんはくるりと俺らを振り返った。

「琉夏くん琥一くん、ありがとう。わたし、演劇に行かなくちゃ。またね」
「うん。俺、見に行くから」
「えぇっ、は、恥ずかしいよ……」
「俺も行く。勘違い野郎が増えるのは勘弁だけど、お前の相手役がどんな奴なのか見てみてぇからな」
「琥一くんまで? やめてよぉ」

ますます顔を赤くして、夕花ちゃんは「きゃぁ、もう行かなきゃ!」と言って走り出した。
あーあ、シンデレラ、ここでガラスの靴を落として行ってくれないかな。



*******



「なんだよ、あれ」
「認めねえ。俺は認められねぇ」
「俺も! 夕花ちゃんにあんな顔をさせるのは俺だと思ってたのに……」
「なんだと? そいつぁ聞き捨てならねぇな?」
「なに? いくらコウでも譲れないよ?」
「やるか?」
「おぅ!」

シンデレラな夕花ちゃんは文句なく可愛かった。
だけど、だけどだよ。俺も琥一も気づいちゃった。ダンスシーンの夕花ちゃんの顔。
王子役の男を見つめるあの顔。

……あーあーあー。
あの王子役の男、名前なんてったっけ? なんか聞いたような気がするんだけど、すぐ忘れちゃうんだよな。
あいつ、ちゃんと頼りになる奴なのかどうか見極めなきゃな。
ヒロインを守る正義のヒーローとしては、さ。






こんなんだけどルカコウは友情です。決して愛情ではない。
ちょっと幼馴染の情がいきすぎちゃってるうちの桜井兄弟なのです(笑)
カワイイバンビちゃんには恋愛なんてまだ早い、俺たちと一緒にずっと遊んでようぜ、という感じです。

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