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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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瑛誕2011

佐伯くんお誕生日おめでとう!!!

というわけで、特に準備も何もしていなくて申し訳なかったのですが、今日のお昼にいろいろと佐伯妄想をしていたのでそれをまとめて誕生日祝いということで。

うちの佐伯デイジーは、高校在学中は佐伯くんとあまり話をしてなくて、珊瑚礁にも出入りを禁じられている電波系美少女です。「電波みなこ」もしくは「電波少女」でうちのブログを検索すると初期のころのもっとものすごい電波系を目指していたころの彼女の姿が見られます。
これを見ると最近の彼女は普通だ……(笑)



■高校一年のとき。

▼学校にて。
「ねえねえ佐伯くんは今日はいつも以上にモテモテだね? なんで?」
「みなこしらねーのかよ! 今日アイツの誕生日!」
「へー。知らなかった…」
「佐伯ストーカーなお前でも知らないことあるんだな」
「うん。知らないことばっかりだよ! でも大丈夫、王子様と人魚はいつか結ばれるんだよ」
「またそれかよ」
「そっかー。誕生日かあー。夏生まれだなんて、佐伯くんらしいね」
「そういうもんか?」
「うん。はりのしんは11月っぽい感じ」
「うわ。当たってる。お前、怖ぇーな!」
「ねぇねぇ、私の誕生日にはプレゼントにブーツと帽子と色鉛筆がほしい!」
「なんでいきなりお前の誕生日の話になってんだよ! しかもプレゼントなんてやらねえよ!」
「ぶー? はりのしんのケチ~」
「はりのしんっていうな! 絶交するぞ!」
「えー。絶交はだめー。……んー、じゃあ貝殻の時計でいいよ」
「それなら……って、全然譲歩してねえよ!」
「やっぱりケチ~」
「ケチじゃねえっての!」

▼珊瑚礁にて。 赤城デイジーと。
「お疲れ様。佐伯くんは誕生日なのにお仕事して大変だね?」
「別に。珊瑚礁は好きでやってることだし、誕生日だからって何も変わらないよ」
「そう? でも少し大人に近づいたじゃない」
「大人? なんだよ、それ。年取ったところで急に何か変わるわけじゃないだろ」
「だって前、早く大人になりたいって佐伯くん言ってたじゃない」
「は? そんなこと言ってない!」
「言った!」
「言ってないね!」
「言ったよ!」
「いつの話だよ! 何月何日何時何分何秒地球が何回回ったとき?」
「ふっ、うふふ、あはははは!」
「なんだよ、なに笑ってんだよ」
「だって佐伯くん……子供みたい! 誕生日なのに!」
「しっ、仕方ないだろ! お前が変なこと言うから……」
「あはははは。これが、早く大人になりたいって言ってた人の言葉とは思えないよ!」
「あーっ、もうっ!」


■高校二年のとき。
▼学校にて。
「さえきくーん」
「ど、どうしたの? ……ってみなこか。何か用か」
「用っていうか、今日佐伯くん誕生日だよね?」
「なんで知ってるんだ?」
「去年あれだけ騒げば分かるよ」
「そうか……それで去年よりも数が多いのか」
「?」
「それで? 俺忙しいんだけど」
「そんな佐伯くんにプレゼントがあるのです!」
「……」
「あーっ! いま、嫌そうな顔した!」
「お前がマトモなもの持ってくるとは思えないしな」
「酷いし!」
「はいはい。気持ちだけもらっとく」
「あーっ佐伯くんー! 待ってよー! ……もう!」


「どうだった?」
「ダメだった」
「そう…(励ましてあげたいけど、佐伯くんにとってはこれで良かったかも…?)」
「というわけで、かつみんもういいよー」
「もう終わりか?」
「せっかくかつみんが佐伯くんに変装して、一日王子様お休み権をあげようと思ったのにね!」
「絶対無理があると思うぞ」
「そんなことないよー、王子様モードのかつみんかっこよかったよねえ、小春ちゃん?」
「ど、どうかなあ……」
「佐伯くんソックリだったよ」
「お前普段佐伯の何を見てるんだ……さすがに俺でも無理があると思ったぞ」
「そう? 背が高いとことか目つきが悪いとことか似てるよ」
「嬉しくもなんともないのは何故だ」
「さぁ?」

▼珊瑚礁にて。
「忙しかったね! 今日のお客様、ほとんど瑛くん目当てのお客様だったし」
「じいちゃんがいつだか誕生日のこと、バラしちゃったんだよ…」
「そっか。ともかくお先に失礼しまーす」
「まてよ、送っていくって!」
「いいよ、疲れてるだろうし」
「そういうわけにはいかないよ!」

「俺、プレゼントくれるって人のこと断ったことなかったんだけどさ」
「一応、王子様だもんね?」
「一応は余計だ。……ん、でも、今日、一人だけ断った」
「へえー! なんで? だれ?」
「言わないけどな!」
「なによー。じゃあなんで話したの?」
「うるさいな、いいだろ」
「…」
「…」
「まぁ、いいんじゃないの?」
「うん。なぁ、お前さ、アイツ……はば学のアイツからプレゼントもらえるって言われたら、貰う?」
「……はぁっ!? な、なんで? 今関係なくない?」
「いいから! あいつからのプレゼントだったら、受け取る?」
「……うーん、わかんない。だってあk…じゃなくて、あの人は私の誕生日なんか知らないし。どんな顔したらいいか分からないよ」
「だよな! そうだよな!」
「なに? もしかして……好きな子からぷれz……」
「わぁぁぁぁ! いうなっ! っていうか違うし! ぜんっぜん、関係ないし!」
「……ふーん。……へー。……そうなの」


■高校三年のとき
▼学校にて
「佐伯くん! やっと見つけたー!」
「なんだ、みなこか。俺、帰るところなんだけど」
「うん。一緒に帰ろうよ」
「嫌だよ、帰らない」
「じゃあ、行こう!」
「人の話を聞けよ!」

「ふっふっふ~ん♪」
「今日、機嫌いいな」
「えへへ~。今日は、いい日なんだよ~」
「そうか」




誕生日が特別にいい日だなんて、あんまり思ったことがなかった。
高校に入ってからは、いちいち疲れる外面を一日中保ち続けなけらばならなくて気が休まる暇もなかったし、子供のころだってそりゃあ、ケーキやプレゼントは嬉しかったけれど、それでも宿題は出るし転ぶ日もあるし怒られることもあって、誕生日だからって特別にいいことなんかなかったから。
今年も結局疲れるだけの一日だった。少しユウウツなくらいだ。
俺がそんななのに、やけに浮かれているみなこに少しだけ腹が立ってしまったのも事実だ。

「いいなぁお前はノーテンキで」
「それほどでもないよ」
「褒めてないよ」
「そうなの? でもねぇ、今日は佐伯くんのいい日なんだよ?」
「別に、そうでもないよ」
「そうかなぁ」

夕日が沈もうとしている海岸線をずっと二人で歩いて行った。ここを真っ直ぐ行くと珊瑚礁が見えてくる。
みなこは、その少し手前で道を折れて自分の家に帰る。
まあ、顔が見れただけでもいいか。と俺がひそかに思っていると、うしろを歩いていたみなこがいきなり何かをぽこんと頭に乗せてきた。

「……って、なにするんだよ」
「これねぇ、佐伯くんにわたしのノーテンキをプレゼントするよ!」
「はぁ?」
「はい!」

みなこが両手で差し出してきたのは、その両手で収まるくらいの四角くて平べったい包みだった。
触れてみると、くるりと堅い感触がする。

「……なに?」
「ナイショ! 家に帰ったら、開けてみてね。恥ずかしいから!」
「……?」
「じゃあね、バイバイ!!」

恥ずかしい、なんて普段のみなこなら絶対に言わないような言葉を口にして、みなこは夕日に背中をオレンジに照らされながらいつも分かれる道を走って帰って行ってしまった。

けれど、その後ろ姿を見送っていた俺は、走りながらも彼女が一度だけスキップのように軽くとび跳ねたのを見逃さなかった。

(……なんだったんだ?)


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