恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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逃げデイジー
「ス/イ/ー/ト/プ/リ/キ/ュ/ア/♪」なる番組に出てきた新キャラ(厳密には新キャラではないのだけど)が、
初変身して敵を倒しては逃げ、雨にぬれて「どうしたの?」と声をかけられては逃げ、一緒におやつを食べようと言われては逃げ(ようとして未遂)、そしてまた変身してはわたしのせいで木が折れたと言っては逃げる、
というなんだか笑えるほどの逃げキャラ化していたのが面白かったので、
これがときメモだったらどんなデイジーになるんだろうと妄想してみた。
こういうときに、なぜか好きな女の子に逃げられる、損な役回りを押しつけられるのは志波さんです。
ごめんね志波さん。
初変身して敵を倒しては逃げ、雨にぬれて「どうしたの?」と声をかけられては逃げ、一緒におやつを食べようと言われては逃げ(ようとして未遂)、そしてまた変身してはわたしのせいで木が折れたと言っては逃げる、
というなんだか笑えるほどの逃げキャラ化していたのが面白かったので、
これがときメモだったらどんなデイジーになるんだろうと妄想してみた。
こういうときに、なぜか好きな女の子に逃げられる、損な役回りを押しつけられるのは志波さんです。
ごめんね志波さん。
(逃げるデイジー、追わない志波)
最近、なんとなくだけど気になるやつがいる。
今まで女に興味を持ったことなんかなかったから、これがどういう意味を持つのか、俺自身にもはっきりとはわからない。
「おい」
「あっ、……志波くん」
「今、帰りか?」
「うん、そうだけど」
そいつは部活に入っていないから、いつも帰りが早い。俺の帰宅する時間とかち合うことも多かった。
「……そこまで、一緒に行くか」
「ふぇっ!?」
「なんか用事でもあるのか」
「な、ないけど。ないけど……ごめんなさいっ!」
見知らぬ仲でもないし、どうせ歩いて行く方向が一緒ならどうかと思って聞いてみただけだったが、そいつは慌てて目を白黒させて、挙句の果てに履き替えていた上靴をまた履いて、校門に向かって脱兎のごとく走って行ってしまった。
……話しかけただけでこの態度。俺は何か嫌われているのだろうか。
**
やっとのことで一緒に出かける約束を取り付けた。
どうしてこんなに苦労するのにこいつに構い続けてしまうのか、やっぱり分からない。
ことあるごとにすぐ逃げられてしまうけれど、それ以外のときは普通に話もできるし、少なくとも嫌われているわけではないと分かってきたからかもしれない。
しかし話しかけただけでも逃げられたり、実は今日の前にも待ち合わせ場所で会うなり逃げられたり、これでも少しは傷ついている。もしかしたらあいつは気がついていないかもしれないけれど。
あいつは水族館が好きだと聞いていて、俺も別に嫌いではないし、あいつも好きな場所なら少しは楽しめるだろうかと思った。
今日は待ち合わせだけで逃げられるようなこともなかったし、イルカやカメやラッコの水槽の前であいつは楽しそうにしているし、割と順調だと思っていた。
「小さい魚がいっぱいいるな」
それはアジとかイワシとか、おなじみの小さい魚が数えきれないくらいにたくさん入っている水槽の前だった。
細長い銀色の魚たちが証明の光でキラキラと光って、いつもは食い物としか思わない魚たちなのにそういうものには見えねえな、と俺がひそかに思っていたときだった。
隣に立っていたあいつが小さく言ったのが、聞こえてしまった。
「……お刺身天国……」
タイミングが悪かったのかもしれない。
「おい、そういうことは思っても、口にするな」
「っ!! ご、ごめんなさい!!」
俺が思わずツッコミを入れると、初めて気がついたようにそいつははっと顔をあげた。
その顔が、みるみる赤く染まって行くのが薄暗い水族館の中でもよくわかった。
そして、彼女はまた走って逃げた。
(……情けねぇ)
**
その日は、何事もなく楽しく一日を過ごすことができた。
やっぱり、俺はこいつにひかれている。それは疑いようがない事実だ。
問題は、コイツのほうが俺のことをどう思っているのか、まるで見当もつかねえってことだ。
いつも今日みたいに順調なら、すこしはうぬぼれてもいいのかなって我ながら思うこともあるんだが……。
「そろそろ遅いし、帰るか。送ってく」
「うん。ありがとう」
帰りがけに家まで送って行くことも珍しくはなかった。
俺は、少しだけ浮かれていた。こいつと楽しく一日過ごすことができて、ガラにもなく嬉しかったのだ。
だから、普段はあまり言わないようなことも思わず口に出してしまっていた。
「今日は、楽しかった」
「ん? 私も。ありがとう、志波くん」
「ああ。また、一緒に来たい。誘ってもいいか?」
「え……あ、あの……」
途端に彼女は口ごもった。今までずっと普通に会話をしていたのに、言葉を忘れたみたいに口をパクパクさせて。
俺が見ていると、きょろきょろとあたりをせわしなく見回すと、慌ててこう言った。
「あの。えっと、帰らなきゃ……。ま、またね」
「え、おい」
「ばいばい!」
泣きそうな顔をして、彼女は走って帰って行ってしまった。
俺には彼女のスイッチがどこにあるのか、いまだに分からないでいる。
なんか報われそうにない志波さん。
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