うっとりでほっこりでらぶらぶでにっこり

なんかね、こんな感じなのがいいなあ幸せだなあと思ったので。

オリジナルキャラ二人。
高校生です。　相川賢次郎と相良真由里。



「まゆちゃん、これあげる」
「なあに？　これ」
「矢代にもらった。勉強がよくできるようになるんだって」
「矢代君から？」

下校中に賢次郎くんが取り出したのは小さな紙袋だった。
手のひらに収まるくらいのサイズで、なにかコロンとした小さいものが入っているみたいだった。
開けてみると、中には小さな消しゴムが一つだけ入っている。
私は、隣を歩く賢次郎くんの顔を見上げた。

「消しゴムだよ？」
「本当だ」
「賢次郎くん、中身知らなかったの？」
「うん。矢代が、こういうのを使うとノートがきれいに取れるようになるって言ってくれた」

矢代くんというのは、クラスメイトの優等生の男子。基本インドア系で、どっちかっていうとスポーツが苦手で読書と勉強が得意っていう、体育会系の賢次郎君とは正反対の人なんだけど、なぜか賢次郎君とは仲が良くて何かとよくしゃべっているのをよく見かける。
なんとなく気が短くてちょっと怖いので、私自身は矢代くんとはあまりしゃべらないのだけど、優等生の矢代くんが勧めてくれた消しゴムなんだから、きっと良いものなんだろうなあ。

「……って、これ、賢次郎くんが使うようにくれたんじゃない？　矢代くん」
「そうなのかな？　でも、俺ベンキョーとか苦手だし、まゆちゃん使いなよ、ノート綺麗になるよ」
「えっ、あの、だから賢次郎くんがちゃんと勉強しようよ……」
「ううん、俺、まゆちゃんのノート借りる！　だから俺のためにノート書いて！」
「えっ、ええええーーーー」

そんな、キラッキラした目で言われても……。
私は困ってしまって、でも、やっぱり賢次郎くんもちゃんと勉強した方がいいと思ったから、あとで賢次郎君のペンケースの中にこっそりその新品の消しゴムを入れておいた。
苦手なことでも、一生懸命やる賢次郎くんが好きだよ、っていったら、今度のテストくらいは真面目に受けてくれるかな……？













さらっ、と矢代が登場する。
ケンジロと矢代はなぜかワンセットであるなあ