あまりにも色気がなかったので

昨日の続きであいさつ運動。

（あいさつ運動）


「おはようございます」
「キャー、赤城くん、おはよう！」
「赤城くんに朝から会えるなんて、ラッキーだね！」
「ずっと赤城くんがやってくればいいのにー」
「あの、君たち用がないならさっさと教室に行ったら？　他の人の邪魔になってるし」
「………………」

一気に機嫌が悪くなってブーブー言いながら去って女子生徒を見送る。

「なにか変なコト言ったかな」
「……ユキは自覚がないからなあ」
「何の？」
「自分がモテるってこと。それと、余計なことを言いすぎるってこと」

隣に立ってる大城がため息交じりに言って来る。

「女の子にあんなにキャーキャー言われてさ、少しは嬉しいって思わないの？」
「べつに？」
「はぁーっ、これだよ」

大げさにまたため息をつく大城。
僕は少し考えてみるけれど、やっぱり好きでもない女の子（しかも名前も知らない子）になにを言われてもな、と思うばかりだ。

「ねえユキってさ、本当に彼女とかいないの？」
「見てれば分かるだろ、そんなのいるように見える？」
「それが信じられないから言ってるんだよ。ねえ、じゃあ好きな子は？　好きな子はいるでしょ？」
「……うーん」

そう言われて思い出す顔はある。
あるにはあるんだけど、それを大城に言うべきか秘密にしておくべきか、少し悩む。

「……あっ、その反応！　もしかしているんだ！　そうでしょ！！」
「いや、想像にお任せするよ。……おはようございます」
「あーっ、逃げた！　ユキ！　白状しろー！」