恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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いつも心に
今週末はGSデートですね!
昨年の文化祭はとっても楽しかったので、今回のイベントも楽しいものになるといいなあと願っています。
わたしは、行かないんですけどね……。
そんな風に言いながら、妄想するのは赤城大地さんという。
昨年の文化祭はとっても楽しかったので、今回のイベントも楽しいものになるといいなあと願っています。
わたしは、行かないんですけどね……。
そんな風に言いながら、妄想するのは赤城大地さんという。
(大地さんの話ですが出てくるのは弟です)
その話を聞いたのは、兄さんが外出して留守の時だった。
「見合い? 兄さんが?」
「そうですよ。他に誰がいます」
「ええまあ、そうですけど」
思えば今までそういう話がなかったわけではない。兄もいい年だし。それでも今まで話が進まなかったのは、僕は詳しくは知らないけれどつまりはこちら側と向こう側の条件が折り合わなかったからなのだろう、と想像は堅くなかった。
僕の家は簡単に言えば成金だ。事業はこれ以上ないというほどに成功しているが、やはり身分がない。そのせいで手出しができない分野も多々ある。
僕に女の姉妹でもいれば、まだ話は早かったのだろうけれど不幸にも兄と僕の二人兄弟しかいない。相手は厳選しなくてはならないことくらい誰だって分かる。
「いいこと? お願いだから、大人しくしていてちょうだいね、一雪さん」
「やだなあ、そんな僕が問題ばかり起こす息子のように言わないでくださいよ。大丈夫、兄さんのことだったら僕には関係ないから」
「一雪さん?」
「……はい。すみません」
それでもなお心配そうに僕を見つめる母親の視線を避けるように、僕は話題をすり替えた。
「お相手は誰なんです」
「藤津川家の琴子様よ。お名前くらいは知っているでしょう?」
「藤津川……」
この上ない相手だ。素晴らしい。そんなお相手がうちみたいな新興成金を相手にするとは思わなかった。どう考えたって身分が釣り合わないし、こっちから持ちかけたところで門前払いに決まっているのに。
……いや、ちょっとまてよ、と僕は記憶の奥底を探る。
侯爵家の藤津川家。それくらいはまあ世間の常識として知っている。たしか、以前は権勢を誇っていたはずだったけれど、今の御当主は病弱だかであまり表舞台に出てこられない方だったと記憶している。
「お母さん。藤津川様のお嬢様って、たしか僕より年下じゃなかった?」
「あら、よくご存じね。そうよ、この春から女学校にご入学されるのだそうよ」
「ちょっと。兄さんと年が離れすぎやしませんか」
「あらそう? わたしはそんなこと気にしませんけれど」
「まあ結婚するのはお母さんじゃないですしね」
良くも悪くも母はおおらかなのだ。それに、父の決めるコトだったら間違いがないと信頼しているところもあるのだろう。父は仕事が忙しくてめったに母とは顔を合わせないのに、どうしてこんなに信頼していられるのだろうと僕はこの人が昔から不思議だった。
僕だったら、好きな人をこんなふうに一人でほおっておいたりしないのに。そんな風にいつも考える。
「それに、あちら様からお申し出があったのよ、ぜひ大地さんにって」
「本当ですか」
「いいじゃないの、結婚するのは一雪さんじゃないのだから」
「僕へのあてつけですか」
母は楽しそうに笑っていた。
しかし、いつかはできるだろうと思っていた義理の姉がまさか自分より年下の女性になるとは、考えもつかなかった。
年齢から言って、僕の方に話が来てもおかしくはないはずだ。それでもまあ、将来のことを考えたら長男のほうへ、というのがあちらの意向なのだろう。僕にとっては非常にありがたいことだがそれだけでもあちら様の事情というのがうかがい知れるというものだ。
「それに、大地さんを差し置いて一雪さんが先に結婚なさるというのもおかしなものじゃない」
「そんなもんですかね。まあ、僕は当分結婚するつもりはありませんけど」
「またそういうことを仰って。そう悪いことじゃないわよ、結婚だって」
「中身によります」
僕としてはぴしゃりと言いきったつもりなのだが、この母親には通じなかったようだった。相変わらずふんわりとした笑顔のままでいる。
おそらく、自分の言ったこと(結婚とは悪いものじゃない)を間違いなく信じているのだろうし、大地の結婚も心から喜んでいるのだろう。たとえそれが本人たちに全く意思のない政略そのものの縁組だったとしても。
「さあ、大地さんのあとは一雪さんですからね」
なぜか嬉しそうに母はそう言って立ちあがると、自室に戻って行ってしまった。
僕は、とてもそんな喜ばしい気持ちにはなれなくて、しばらくそこに座っていた。
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