涼しい顔した王子様

なんていうんですかね、昨日書いたみたいに、
「彼女の手を取って自分のポッケに入れちゃう」
みたいな萌えシチュを、

・平気な顔してさも当然という風に自然にやるのが赤城（しかしそのあと「なんでそんなに照れるの？」とか女の子の気持ちを解さないことを言って喧嘩）

・平気な顔して嬉しそうにやるのが志波くん(けどデイジーはドキドキしてる)

・やろうかやるまいかさんざん悩んで、ドッキドッキしつつさりげなくやろうとするんだけどさりげなさに失敗して結局「ああもう！」ってなるのが瑛くん

・やろうかやるまいかさんざん悩んで、ドッキドッキしつつ出来ないのがハリー

・「お前の手、つめてえな～」とか言いながら手をつかんで、「こうしてればあったかくなるんじゃね？」とか言って優しくあっためてくれるのが真咲先輩

・むしろコートを脱いでデイジーにあげちゃう勢いなのが真嶋タロちゃん

・「ポケットに手入れたら、あったかいかもしんね……？」　って聞いちゃうのが古森くん


……まあ、そんな感じ。じゃないかと。

赤城くんは　「涼しい顔した　（　変　態　）　王子様」。　
ああ僕はヘンなんだ！！


今日は、昨日の続き、巨大ツリーのイルミネーション点灯式のお話。

　ショッピングモールの中央の吹き抜けに、1階から4階まで届きそうなくらいに大きなもみの木が置かれていた。
　急いで早く来る必要なんかなかった。だって、ショッピングモールのどこから見ても特等席だ、これは。

　吹き抜けを見下ろす形で、２階から４階まで、かなり大勢の人がツリーを取り囲んでいるのが見える。
　その姿を見ると、やっぱり男女のカップルが多くて、クリスマスっていうのはどうしてもカップルのための行事何だなあ、なんて僕は妙なところで感心した。
　あのカップルのうちの何人の男が、僕と同じように彼女にせがまれてここにやってきたんだろう。

　でも、この中で僕が一番の幸せものなのには間違いがないとうぬぼれてみる。


　僕らは１階の、ツリーのすぐ近くまで行った。

「近くで、下から見上げるのが一番すごいよ、きっと」

　って、彼女が言うから。
　さっきここに来る途中でつかんだ彼女の手はかなり冷たかったけれど、僕のポケットの中で僕の体温と混ざり合って少し暖かくなった。
　女の子は冷え性だって言うけど、こういうことなのかな。

　時間になって、音楽とともに照明が暗くなり、ツリーのイルミネーションが点灯した。
　白と、青の眩しいくらい輝く幾千もの光。
　彼女も、周りの観客達もいっせいに歓声を上げて。

　つないだままの彼女の手にぎゅっと力を入れたら、ニコニコした笑顔のまま彼女がこちらを振り向いた。
「なあに？　どうしたの」
「うぅん、なんでもない。　嬉しそうだな、って思ってさ」
「うれしいよ。　こんなキレイなところ、一雪くんと一緒に来られてさ」

　……うん。　それを聞いただけでも、寒い中テクテク歩いてここまでやってきた甲斐があるというものだ。

「珍しく素直じゃない。なにか悪いものでも食べた？」

「……しらない！！　たぶん、この前食べた一雪くんにあたったんだよ。もう！」

　お約束のように付け加えてみたら、彼女も笑っていた。
　”食べた”だなんて、ちょっと過激なコト言うじゃないか……。カワイイ子。ほんとうに。