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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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ぼくは、オウジサマ。

わーお。おひさしぶりです。
先月頃、一度何か書きに来たんだけど全然だめで、そっとブラウザを閉じたことを思い出しました。

最近はすっかりときレスです。仕事なんか、なくなってしまえばいいのに!と思うくらいに気持ちは廃人。
でも長時間プレイする体力はあまりないので今くらいの方がちょうどいいのかもしれない。

イチオシ音羽くん、二推し伊達さん、あとは全員ほとんど同じくらいに好き。
グループならサンマ推し! でもえぐじっぷの曲も大好き! つまりみんな好き!!

という節操無いレス子です。遂にi Padで複垢始めました。


続きは、音羽くんです。ほぼ100%ねつ造。
経歴NGだから今のところなに言っても間違いではない!と思いたい!!





(魔法使いの、オウジサマ)


「大阪か~。すごいね~」

 新幹線を降りて、いきなり立ち止まってシンはそんなことをいった。ため息とともに。
 二時間弱、大人しく座席に座っていたからか、若干髪の毛がくしゃくしゃになっている。着ているシャツもズボンからはみ出しそうだ。シンは、仕事が絡まないと大抵こんなふうに子供っぽくだらしなくなりがちだった。
 そういう姿は、時折まるで、誰かに世話を焼かれたがっているようにも見えた。
 ホームに降り立ってからひとしきりストレッチをしていたカイトが振り返り、不思議そうな顔でシンに尋ねていた。

「なにが? 大阪くらい、シンくんだって来たことあるだろ」

 すると、シンは真顔になって首を横に振った。

「ううん、ないよ」
「えっ、初めて?」
「うん。というか、はばたき市を出たこと自体ほとんどなかったから」
「へぇ~。家族旅行とか、あんまりしなかったのか?」
「まあね」

 なぜかシンは笑う。
 カイトはそんなもんなのか~。とどうでもいいような感想を口にしていた。
 そして、俺は家族で来たことがある、とか修学旅行が、とかいう話を始めていた。シンは興味があるのかないのか、よくわからないようないつもの顔でその話を聞いている。

 スタッフと打ち合わせを終えた俺は、二人の横へ向かった。

「二人とも、お待たせ。今日はホテルに移動して、あとは自由時間でいいそうだ」
「マジで? ラッキー。あ、ツカサくん、ホテルにレッスンできるところある?」
「ああ。広めの宴会場のようなホールがあるので、そこを使わせてもらう。夜までは使用可能だそうだ」
「よかった。なあ、もう一回振り、確認したいとこあんだけど。ツカサくん付き合ってくれる?」「
「構わない」

 そう言うとカイトはやった、と満足そうにうなづいた。センターになってからというもの、カイトはだいぶ気負っているように見えていたが、それも最近は取れていい意味で自然体が出せるようになってきている。事務所のスタッフも言っていた、カイトは気負うよりも素を出していったほうが絶対に受けがいいし売れる、と。俺もそう思うが、肝心の本人がやけに張り切る(そして大抵失敗する)ので今まで上手くいったためしがなかった。



「大阪はね、やっぱり食べ物がうまいんだ。名物が多いだろ、たこやき、お好み焼き……」

 ホテルに向かう道の途中。何度か訪れたことがあるというこの地のことをカイトはシンに説明していた。

「甘いものは、ないの?」
「えっ、うーん、そうだなー、最近だと、ロールケーキとか、バウムクーヘンとかじゃない?」
「わぁ。いいね~。食べたいな」
「明日、スタッフさんに買ってきてもらおうか」
「うん」

 言いながら、シンはまた立ち止まって大阪の街の様子を見回した。
 新幹線の駅前だ、特に変わったことなど何もない。駅舎に大きく掲げられている駅名表示を除けば、普段生活しているはばたき市と(規模や人や車の通行量は違うが)それほど変わるところではない。
 けれども、シンは珍しそうにその街を見回して、そしてまた駅のホームで言ったのと同じセリフを繰り返した。

「すごいね。大阪か~」
「シン君、またそれ? どうしたんだよ」

 カイトが聞くと、シンはいつものふわっとした笑顔を消した。「オシゴト」をやめた時の顔だった。

「うん。3 Majestyのみんなでここに来れたことが、すごいな~って」

 シンは、「仕事」でアイドルをやっている。もちろん俺だってカイトだってそうだが、どちらかというと俺たちはやりたいから始めたという部分が大きい。カイトはオーディションだし、俺はそもそも3 Majestyの立ち上げメンバーの一員だ。
 だけどシンは違う。突然ここにほおりこまれて、最初は対してやる気もなかったアイドルを「やらされて」いた。実際彼がそう口にしたのも聞いた。仕事だからやってる、僕がこうすれば、みんな喜ぶんでしょ、と。
「でも、僕は司とカイトが好きだし、三人で何かやるのが楽しいから、ついて行く。3 Majestyにちゃんと『なる』よ」そう言ってくれたから、俺はシンを引きこんだ。

「こんな大きなところで、お客さん達集めてライブをやるんだって。3 Majestyが。すごいよ」

 シンは嬉しそうにそう言った。「オシゴト」の顔ではなかったけれど、嬉しくてたまらない、そんな顔だった。 

「すごいよ。僕たちのこと、一度も会ったことない人たちが、僕たちに会いに来てくれるんだよ。会いたいって、チケット買って、ライブを楽しみにしてくれてる。すごい」
「ああ。すごいな」
「でしょ。僕ね、こんなに楽しいこと今までしたことがなかった。今はね、明日からのライブが楽しみでしょうがない。今も、早く歌いたいし、踊りたい。みんなに僕の、僕たちの歌を聞いてほしくてたまらない」

 熱に浮かされたように、シンは歌うように言葉を紡ぐ。
 正直、俺は驚いていた。シンがこんなに、こんなふうに3 Majestyのことを考えていてくれていたなんて思ってもみなかった。

「僕だって、一生懸命に頑張ればこんなことができるんだ。3 Majestyのみんなとやれば、なんでもできる気がするよ」
「そうだな、三人でなら、なんでもできる……きっと」
「僕、みんなが大好きだよ。司も、カイトも。X.I.Pの三人も」

 シンに乗せられて、俺も正直クサい台詞を言ってしまっていた。思い出すと少し恥ずかしいが、これも、ライブ前夜の興奮がさせたことだろうか。






「いいライブにしようね。カイト」

 さっきから黙ってしまったカイトに向かって、シンが呼びかけると、後ろで息をのむ音が聞こえた。

「ちょ、シン君……黙って聞いてれば、ハードルめちゃめちゃ高くなっちゃったじゃんか! 俺、……責任重大だよ!」
「あはは! 頑張ってね、センター♡ キツかったら、すぐ変わってあげるから♡」
「ばっ……かわんねーし!」

 あとは、いつも通りの夜だった。
 あとにも先にも、シンがあんな風に人前で思いをぶつけてくることはなかった。たまに、アレは夢か幻か、もしくはシンがいつも言ってる「王子様の魔法☆」がさせたことではないかと半ば疑ったりもしているのだが……


「あ、カイト、泣いてるの~? かわいい~」
「なっ、泣いてねーし! やめろよな! そういうの!」
「きゃ~、かわいい~カイトくーん」
「シン君ってば! あーもう、司くん、なんとかして!」

 こういうのを見ていると、本当に夢だったのではないだろうかと己の記憶が疑わしくなってくる、今日この頃である。





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