恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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すべて妄想です
浴衣でデート、編。
この前浴衣選びの話を書いたからね、その続き。
また人さまのところのお嬢さん。
この前浴衣選びの話を書いたからね、その続き。
また人さまのところのお嬢さん。
浴衣デート
大地琴子な世界のお話
一雪のデイジーはaikaさんところの伊織ちゃん。
もう二人は結婚を決めた後の話。
というわけで一つ。
「ああ、やっぱり似合うね」
僕がそう言うと、伊織は少し恥ずかしそうにうつむいた。
「一雪さんはいつも、言い方が直接的過ぎます」と伊織はいうのだけど、だってそう思うんだから口にして悪いわけがないと僕は思う。それを恥ずかしいだの何だのと言うのは受け取る方の問題であって、僕が機を使うべきところじゃない。
それはそうと、伊織はこの間生地から選んで仕立てた今年の新しい浴衣に初めて袖を通してきたのだった。
きっと伊織に似合うだろうと思った色と柄の生地を選んだ。僕がそれを差し出すと、伊織は「一雪さんがこれがいいというのなら、これにします」といって微笑んだ。別に僕の意見に従わなくていい、自分の好きなものにしたらいいと言ったのだけれど、「一雪さんがいいと思ったものがわたしの好きなものです」と、頑として譲らなかった。伊織は小さくて弱くて大人しい女の子だけれど、こういうときはやけに強い。それは僕も認めるところだ。
生地と同じ布で作った巾着をもって、足元はまだ室内なので裸足だ。
「一雪さんも、今日は和装なんですね」
「うん、やっぱり、こういうときは和服の方がしっくりくるだろ」
そう、僕も久しぶりに寝巻じゃない浴衣を作ってもらっていた。
普段は洋服を着ることが多いけれど、まあこういうのは、雰囲気だ。
「一雪さんは洋装しかなさらない方だと思っていたので、意外でした」
「そうかな。洋服を着るようになったのは学生になってからだから、最近のことだよ。その前は僕はずっと和服だったんだ」
「ふうん。でも、よくお似合いです」
「ありがとう」
僕の知らない伊織のこと、伊織の知らない僕のこと、少しずつでもこうやって話をするのは意外と楽しい。
生まれてから今までのこと、全部聞いてみたい。そうしたら僕は伊織に飽きるなんて言うことはないだろうなって思う。
「そろそろ、行こうか」
「はい」
僕たちは連れだって屋敷を出た。他には誰もついてこない、正真正銘二人きりだ。
「一雪さんは、子供の頃にもお祭りって行きましたか?」
「うん、毎年兄貴と一緒にね」
「仲良しだったんですね」
行先は近所の神社で行われているお祭りだ。境内に出店がたくさん出て、近所の人たち(とくに子供たち)がとても楽しみにしている夏の風物詩だった。
僕も子どものころは毎年本当に楽しみにしていたものだったけれど、いつの間にか行かなくなった。
今年は、伊織にそれを見せてやろうと思いついたのだった。
伊織は子どもの頃の僕を想像しているのか、それとも兄貴を想像しているのか、なにか楽しそうに空中を見つめている。
僕はそんな伊織を見ながら、兄貴ときた祭りのことを思い出して思わず思い出し笑いをしてしまった。
「そうそう。人が多いから、はぐれたら神社のさい銭箱のところで待ち合わせしようって兄貴と決めていてさ」
それは、たしか僕が初めてここに連れてきてもらった時に兄貴が決めた約束だった。
しかし、初めての夜店に興奮した僕は兄貴とはぐれたことにも気づかずに遊びたいだけ遊び回って、結局兄貴一人がさい銭箱の前で立ちつくすことになってしまった。
しかもそれはその年だけにとどまらず、何年かに一度たびたび起こった。
そんなわけで僕にははぐれて迷子になったという自覚は全くなくて楽しく遊んだ思い出しかないのだけれど、兄貴には祭りで楽しかったことなどほとんどない。と言われてしまう。
「ふふふ……大地さん、可哀そう……ふふ」
「長男って損するよな」
「長男だからじゃなくて、弟が一雪さんだからです、きっと」
「なにそれ。僕が悪いみたいじゃないか」
「ふふふ……ナイショです」
伊織は楽しそうに笑っている。
まあ、こういう笑顔が見られるようになっただけでもいいかな、と僕は思った。
「さて、まずは神社にお参りしてからだよ」
「はい。なんだか、ワクワクしますね」
「僕もだ」
何度も来ているところなのに、伊織と二人できたと言うだけでこんなにも期待してしまうのはなぜだろう。
なにか、楽しいことが起こりそうな気がする。
ふと僕は思いたって、伊織の手を取った。
驚いたように僕の顔を見上げてくる彼女に向かって、薄く笑いかける。
「こうすれば、迷子になることもないし待ち合わせして余計な時間を取られたりしなくていいだろ。たくさん遊べるよ」
そうしたら、伊織もとびきりの笑顔で「はいっ」って答えてくれた。
さあ、今夜はまだまだこれからだ。
遊ぶところまで行かなかったわけです
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