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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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きっと許してくれる

だってあんな漫画を見つけちゃったら、買わずにはいられないし想像せずにはいられないでしょう!!!

というわけで今日は赤城大地さんなのである。
よそのお宅の子なのに、すっかりわたしも便乗して書いてしまっている。申し訳ないなあと思いつつ、だってだって素敵なんだもん、妄想力がかきたてられるんだもん!! と言い訳して今日もまた書く。


◆赤城大地(琴子さんといっしょの大地さんのほうです)
学生時代のお話





私の主人は、金曜の夜である今日も机に向かっていてまだ離れる気配がない。




そういえば、あの日もそうだった。
時々、少し眠たそうに眼をこすりながら、学校の課題だといっている原稿用紙に何事か書きつけ続けていた。

私は彼に話さなければならないことがあり、それでこうして終業後に部屋へお伺いしたのに、主であるはずの彼がまだ休まないのでは話を切り出すこともできず、扉から一歩入ったところで少しあっけに取られて立ちつくしてしまっていた。

「水嶋? なに、話って。このまま聞いてもいいかな」
「あ、……いえ。その課題、たしか締め切りは再来週の初めでは?」
「え? そ、そうだっけ? 来週頭だと思ってた」
「それにしても、まだ日にちがあるのですから、なにも今日こんな時間まで急いでなさらなくても」
「いや、でも週末は父の仕事の手伝いがあるから、今日のうちに終わらせておかなければと思って」
「旦那様は明日から海外へご視察ですから、大地さんのお仕事は明日の午前中だけです」
「あれ、そうだっけ」

彼……赤城大地様はそう言うと、ペンを机の上に置いてたちあがった。

年の割には落ち着いていて、真面目で穏やかな……悪く言うと『年よりじみた』青年だ。学校を卒業したら、正式にこの赤城家を継ぐことになる。彼はそのための教育を生まれた時から受けてきたし、その期待にこたえようと努力してきた。
そして、その成果はおおむね実り、彼の評判はすこぶる良い。早く会社の運営に参加するようにと望まれつつある将来有望で優秀な青年だ。
けれど、彼がその実、周りから評価されているほど完ぺきでも有能でもないことは、長年、小さいころからずっと一緒に兄弟のように育った私だけしか知らないのかもしれない。

たとえば今のように、自分のことよりも周りのことを優先するあまりに自分のスケジュールを全く把握できていないところだとか。
実はお母様には全く頭が上がらないところだとか。
この年になっても、まだ恋の一つもしたことがないところだとか。
ご自分の将来について何一つとして希望をお持ちではないところだとか。

弟の一雪さまが先日とんでもないことをしでかして、一時期は屋敷中が騒然となったものだけれど、私としてはそのくらいの行動力があった方が人間らしくて普通だと思ってしまう。(不謹慎すぎてそんなことは誰にも言えないが)
兄弟のようにしてずっとお近くにいたからこそ、私はこの人に幸せになってほしかったのだろう。
生きていることはそんなに悪いことではないのだと、思ってほしかった。

「うーん、最近自分で自分の日程が分からなくなってきてるなあ」
「まだ物忘れするには早いですよ」
「酷いな、その言い方」

大地さんは部屋の脇に置いてある水差しからグラスに水をついで、一気に飲み干した。

「なぁんだ。課題をやらなくていいかと思ったら、急に眠たくなってきた」

そして、私の方に向き直る。

「悪かったね、待たせてしまって。何か話があったんだろう?」
「え、ああ、そうでしたね」

私は懐から紙きれを一枚取り出した。それを大地さんに差し出す。

「ん? なに」
「辞令です」
「じれい?」

突然の単語にきょとんとする大地さんの手の中からその紙きれをもう一度取り返し、今度はまた懐から一冊、今度は少し大きめの手帳を取り出して見せた。

「明日付けをもって、私は大地様の秘書を命ぜられました。以後、よろしくお願いいたします」
「え……、ひ、ひしょ……って」
「秘書です。あまりにも大地さまが多忙を極めスケジュールが把握できていないようだと旦那さまがご心配なさり、このようなご配慮を頂きました」
「えー。水嶋が、僕の秘書?」
「なにか御不満でも?」
「不満っていうことじゃないけどさあ。大体水嶋、いつうちの会社に入社したのさ」
「今年の春からですよ。学校を卒業してすぐに」

知らなかった。とつぶやく大地さんは、本当に抜けているというかおおらかというか。やはりお金持ちの長男などという人はどこか一般人と違うのだろうか。
大地さんはそのままベッド(執務室であるこの部屋にあるそれは仮眠用の小さなものだが)に座り、こっちを見上げてきた。

「秘書っていうのはさ、父さんの秘書さんみたいに若い女の人がなるものじゃないの?」
「大地さんみたいに面倒な人の秘書ができるのは私くらいしかいないそうです。それも旦那様のご意向です」
「面倒って。仮にも上司に向かってそういうこと言っていいの?」
「辞令は明日からですから。今晩は、まだ私と大地さんは単なる幼馴染にすぎません」
「あーーーー。めんどくさいなぁ、水嶋は」

毒づきながらも、大地さんは珍しくニコニコと笑っていた。「正直、知らない人と話をするのはちょっと苦手だし、水嶋ならなんでも頼めるし、助かったよ」
誰とでもほどよく友好に接する大地さんは、逆に誰とも親密な関係になろうとしない。それは男性でも女性相手でも変わらなかった。だから私が大地さんにそこまで信用していただけているとは思っていなかっただけに、すこしびっくりした。

「水嶋は厳しいから、あんまり楽できそうにないけどね。まあ、よろしく」
「はい。よろしくお願いいたします」





**


「では大地さん、明日の午前中は打ち合わせと資料のチェックです」
「……うん……」

最後にそうお伝えすると、相槌を打ちながら、大地さんは仮眠用のベッドに横になって目を閉じていた。
さすがに、疲れているのだろう。平日は学業、週末には家業の手伝いと気も身体も休まる暇がないのは事実だ。

あすの朝は、少し早目に起こしに来てまずは風呂に入っていただかないと。
私は苦笑しながらそんなことを考え、明かりを消して部屋を出た。



私では、彼を幸せにすることはできそうもない。
だから、せめて私は私にできることをこの人のお近くでして差し上げたい。



その気持ちは、この時も、そして今でも変わっていない。


















なんかほもくさくなった。そんなことはないはずだ!!!
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