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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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ただの妄想野郎

随分久しぶりになってしまいました。
この間も、ブログの管理ページを開いては消し、書いては消しの繰り返しですっかり字書きとは縁が遠くなってしまったなあ、と思います。

継続してやらないと何事もなまりますねー。

と言うわけですが、今日はちょっとネタがあるのでなんとか書ききってみたいとおもうよ。
大地琴子さん(と弟夫婦)の話。




(花火と浴衣の話)
・大地琴子と弟夫婦。
・弟の嫁はaikaさんちの伊織お嬢様とお連れしてまいりました。
・というか、aikaさんちの浴衣選び設定をまるっと頂き
・元は夏と言えば花火!花火と言えば浴衣!大地さんは家に着物屋を呼んでお店やさんみたいにして選ぶに違いないよ! というわたしのベタな妄想からすべて?が始まっているような気がする
・一雪と伊織さんはもう結婚していることにしてください






 夏になると新しい浴衣を作るのはこれからの恒例になりそうだった。
 琴子は、去年のがあるのにもったいない、と思ったのだが、妻のためなら金に糸目をつけない旦那様がそれを許してはくれなかった。だから今日の琴子は、先日大地が選んでくれた浴衣を着ている。
 この色と柄が自分に似合っているかどうか、琴子には自分では判断できなかったが、大地は似合うと言ってくれた。だからきっとそうなのだと思う。この家に来てから、それで間違っていたことなど一つもないのだから、琴子はもう、自信を持ってそう確信していた。

 そして、今年はもう一人、旦那様に浴衣を選んでいただいた新妻がこの家にはいた。
 
「ほら、伊織、次はこれだよ」
「え、ええっ、これって、いっぱい飛び出るやつじゃないですか! こんな怖いの、持てません」
「こんなのが怖いの? ほらほら、早くしないと」
「や、やぁぁ、いやです!」

 薄い桃色の、可愛らしい浴衣を着た伊織がいやいやと首を振って一雪から離れる。
 しかし一雪はそれを許さず距離を詰め、また伊織が逃げ、その繰り返しで追いかけっこのようになっている。

 この浴衣でもひと悶着あった。
 伊織と一雪も浴衣を新調するために大地たちの部屋にやってきていたのだが、一雪が選んだ生地を、伊織は「もう妻になったというのに若い娘のようできっと自分には似合わない」と最初躊躇したのだ。
 すこし引っ込み思案で、自分に自信を持てないところがある伊織らしい言い方だったが、一雪は「君に似合うと思って僕が選んだんだから、君に拒否する権利はないよ」と有無を言わせぬ口調でそれを遮った。
 そのひとことで伊織はしゅんとしてしまったが、琴子がフォローをするより先に
「それとも、君はそれが気に入らない? どうしても嫌だったら、別のにしようか」
 と一雪が、彼らしからぬ気弱な声で続けたので、琴子は口を閉じてしまった。
「そんなことないです! ちょっとだけ、気がひけただけですから」
 伊織はそのあと必死になって一雪を説得する羽目になった。最後には「わたし、これがいいです。これじゃなきゃいやです」と口走っていて、いつの間にか立場が逆転していたのだがそのことに気がついていたのは、こっそり自分に拍手喝采していた当の一雪だけだったのかもしれない。





 琴子がそんなことを思い出している間にも、伊織と一雪の追いかけっこは続いていた。
 一雪は伊織の嫌がる連発式だの大玉だのという過激なものばかりを伊織に持たせようとしては、そのたびに伊織がいやだと逃げ回っている。
 そのうち伊織が泣きだしてしまうのではないかと思って、琴子は隣に座る大地の顔を見上げた。

「ねえ大地さん」
「ん、どうしたの」
「一雪さんは、どうして伊織さんのことをいじめるのかしら?」

 また始まったぞ、と思い、大地はなにも言わずに先を促した。
 琴子は自分の持っていた火花の出終わった花火を水の中に漬け、そうしてから先を続ける。

「だって、伊織さんは一雪さんの奥さんなんだから、それってつまり、一雪さんは伊織さんのことが好きっていうことよね? それなのにどうして、一雪さんは伊織さんにいじわるばかりするのかしら」

 わたしだったら、好きな人のこと、いじめたりなんかしないのに。大地さんがわたしにしてくださるみたいにいつでも優しく、大事に大切にして差し上げるわ。
 と琴子は言って口をとがらせた。伊織の『義姉』である琴子としては、大好きな伊織がいじめられているように見えるのが少し不満なのだった。
 いろいろあって、やっと幸せになれた二人なのだから、自分たちのように優しくて幸せな生活を送るのが当然だと思っているのである。そして、それを手伝ってやるのが『義姉』として当然なのだと思い込んでいる節もある。

「好きだからこそ意地悪しちゃうっていうこともあるんだよ」
「えぇっ、本当に?」
「そうですよ。一雪は、伊織さんのことが大好きなんだよきっと」
「そうなの……?」

 不思議そうな顔をする琴子に、大地は線香花火を一本手渡した。
 そして自分も一本もって、ろうそくの灯に近づける。

「でも、大地さんは、わたしにいじわるしたことなんてありませんよね?」
「……うん、ないよ。多分」
「じゃあ、大地さんはわたしのこと、好きじゃないのですか?」

 それこそ泣きそうな顔になってしまった琴子の頭を大地は軽くなでた。
 今日は浴衣なのでいつもと違ってアップにしてまとめてある髪は、しかしいつものようにさらさらとした手触りを大地の手の平に伝える。

「僕は、一雪みたいに子供じゃありませんから」
「……? 子供だと、いじめたくなっちゃうの?」
「そう……かもね」

 ぱちぱちと火花を散らし始めた線香花火をみつめながら、大地は言った。
 隣に座っていた琴子は、何か納得したように頷いて、大地と同じように線香花火に火をつけた。

「じゃあ、わたしももう子どもじゃありませんよね! だってわたし、大地さんのこと大好きだけど、いじめたいなんて思ったこと、一度もないもの!」

 嬉しそうに胸を張るその様子こそが子どもらしくて可愛らしいのだ。とは口が裂けてもいえず、大地はもう一度琴子の頭をぽん、と軽くなでるだけにとどめた。





「まったく、こんなおもちゃを怖がるなんて仕方ないな。じゃあ、こうしようか?」
「え、えぇっ」

 線香花火を見届けた琴子が顔をあげると、伊織の後ろから抱きかかえるようにして一緒に花火をもって笑っている一雪が見えた。

「ほら、こうすれば怖くない?」
「え、え……えっと」
「ほら、火花が出るときにちょっと震えるんだ、面白いだろ? 伊織にもこれを感じてほしくて」
「……あ、本当。面白い」
「だろ?」

 花火をもった手をすっぽりと一雪に握られている伊織の顔が真っ赤になっているのは、花火の明りが反射しているのかそれとも他の赤みなのかということを考えているうちに、琴子には伊織の顔がなんだか嬉しそうにしているように見えた。

 だから年下の兄嫁は(やっぱり大地さんの仰ることに間違いはなかったんだわ)と安心してにこりと微笑んだ。











なんだか……よくわからないけど縁側でまったりしている兄夫婦と、追いかけっこしたり抱きあったりしてキャッキャウフフやってる弟夫婦が書きたかったのだ、多分
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