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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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俺は俺の現実を生きる

まだやるのか、と言われそうなネタ。
「パクリおk」とaikaさんが言っておられたので(ほんとか?)自重せずにまた書くわけです。

落書きなんで視点がいきなり変わりますがその辺は華麗にスルーでお願いします。








姫と騎士 しばこは



 勝己、勝己、どこに行ったの? はやく、わたしを迎えに来て!


 はっ、と目が覚めた。ひろい部屋の中はまだ暗くて、何の物音もしない。いっぱい汗をかいているような気がした。
 ひどく悪い夢を見た。最後に叫んだのは夢の中でだったのか、それとも現実だったのかわからない。

 勝己に会いたい。
 わたしの部屋の隣には、侍女や召使たちが控えている寝室があるけれど(夜中とか朝早くにわたしが呼んだらすぐに来てくれるようになっている)、たぶんそこに勝己はいない。入ったことないから、わからないけど。
 ……じゃあ、どこにいるんだろう。騎士という人たちが普段どこで生活していて、どこで眠っているのかわたしは知らない。

 体の大きさの何倍もあるような大きなベッドからもそもそと抜け出して、ふわふわのじゅうたんの上に素足を乗せた。寝巻きにきているドレスのスカートがふわりと広がって、少しだけ足につめたい空気を感じた。

 薄暗い中手探りでドアに向かう。この部屋のドアもわたしの体の何倍もの大きさがある。
 ドアノブをガチャリとあけて廊下に出るとそこは部屋の中よりももっとひんやりとした空気が流れていた。

 ……勝己、どこ?

 心細さに泣きたくなる。誰も伴わずに一人で部屋を出るのは初めてだった。
 きょろきょろと左右を見る。柱の影や、窓の向こうからなにかが出てきそうで余計に怖い。どうしよう、部屋に戻ろうか、それとも勝己を探そうか。
 どこにいるかも分からないのに? そんなの無理。涙目になりながら部屋を振り返ると、後ろから急に声をかけられて飛び上がる。

「姫!」
「ひぇっ」

 低くて、太い声。

「どうしたんです、こんな時間にお一人で」

 振り向くと、探していた姿がそこにあった。背が高くて、大きくて、それでそれで、一見怖そうに見えるんだけど、本当は優しい顔をしてるひと。わたしは思い切りその姿に抱きついた。

「勝己っ!! ふぇぇ……っ、よかった、かつみいた……」
「俺はいつでもいます、姫のそばに」
「うえぇぇ……っく、ひっく」
「どうしたんですか、子供みたいに泣いて。さあ、お部屋に戻りましょう」




 ちょうど夜の見回りをしていたところで思わぬ姿を見つけた志波は、小さな姫の肩を抱いて五歩と離れていない姫の部屋の扉を開いた。一瞬、部屋に入っても良いものかと迷ったが、彼女が自分の服の裾をつかんで放そうとしないのでそのまま中へ入った。

「怖い夢見たの。勝己がいなくなっちゃう夢……」
「俺はずっとここにいますから。安心して眠ってください」
「ねえ勝己、勝己はわたしとずっと一緒にいてくれる?」

 しくしくと泣き続ける姫の頭を撫でて、ベッドに寝かせる。志波はベッドの横に椅子を引っ張ってきて、そこに腰掛けた。
 頭が沈むのではないかというほどやわらかい枕の中に埋もれるようにして、姫が涙に潤む目で自分を見つめている。

「ずっといますから」

 手を握ろうと彼女が伸ばしてきた手を、そうとは気づかれないように避けた。そんな仕草にももう慣れた。
 無条件で自分を頼ってくれるのは嬉しい。しかしそれも程度による。そんなことはわかっている。自分と彼女では身分から立場から何もかも違う。
 こちらに向かって伸ばされたこの手をつかむわけには行かないのだ、いくらなんでも。

「勝己、大好き」

 ふにゃり、と力の抜けた姫の笑顔を見て志波は口元だけで笑った。

「大好きだから、ずっと一緒にいるのよ。ね?」

 志波はもう一度彼女の頭を撫でた。壊れ物でも扱うように丁寧に。

「いいから、もうお休みください。お体に触りますよ」

 この世間知らずのお姫様にこれ以上深入りしてはいけない。この人はますます遠くに、自分では手の届かないところへ行ってしまうはずの人なのだから。
 いつまでも一緒にはいられないのだから。





あれ? また悲恋だね?
どうもわたしはこういうのが好みみたいですよ。二人の間には好きとか嫌いとかじゃあ乗り越えられないような壁があって、 女の子のほうはそんなのものともしないで好き好き! なんだけど男の子の方が自重して避ける、みたいなのが好み! うおおおお、萌えるな!

……ちょっと、まだ夕飯食べてないのでご飯食べてきます。

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