恋煩い日記
2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。
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優等生なんかじゃない
なんとなくもうひとつ書きに来たよ。
赤城先輩は生徒会書記なんかやってるけどいい子なんかじゃないんだよ、というのがわたしの主張。
世間の赤城像を壊してごめん。
赤城先輩は生徒会書記なんかやってるけどいい子なんかじゃないんだよ、というのがわたしの主張。
世間の赤城像を壊してごめん。
そんな先輩でも、時々いきなり黙りこくって窓の外とかを眺めている時がある。
いつもなんとなくにこやかにしていて、成績は良くて口は悪く、機嫌がよさそうで意地が悪くて、要領はよくて素行は悪い。そんな先輩が黙っているなんて珍しいな、と僕はそんなときいつも思うのだ。
「紺野会長ー、すみませーん」
がらり、と生徒会室のドアが開き、女子生徒が顔をのぞかせた。僕と、窓際に立っていた赤城先輩のことを見て、取り込み中でしたか、すみません、と謝ってくる。
僕は「大丈夫だよ」といってドアに向かった。赤城先輩は窓の外を眺めたまま、なにも反応しなかった。
「どうしたの」
「あっ。あの。今期の会計資料なんですけど、ここに会長印が必要なのを忘れていて……」
「ああ、そう。ちょっと待ってね」
僕が印を取りに机に戻ろうとすると、彼女がこそっと小さな声で尋ねてきた。
「あの……赤城先輩、どうしたんですか?」
「どうしたって?」
「いやあの……なんだか、不機嫌? そうに見えるから……」
「そうかな。別になにも言ってないし、特になにをしたわけでもないんだけど……はい、これ」
「あっ、ありがとうございます」
印を押した書類を手に彼女はぺこりと頭を下げてまた生徒会室を出て行った。
(不機嫌……か。 そんなこと思いもよらなかった)
なんとなく、背中と向けたままの赤城先輩のことを眺める。
不機嫌というよりは……もうちょっとしっくりと来る言葉がありそうな……そんな気がするのだ。
(不安? ……恐れ、いや…… うん、焦燥感)
これだ。と何かが腑に落ちる。
外から雨がガラスをたたく音が聞こえてきていた。
「雨、降ってきましたね」
「ああ。嫌な感じだな」
返事を期待して言ったわけではなかったのだが、期せずして返事があったので驚いた。
驚きついでに先輩のほうを見ると、彼もちょうどこちらを振り返ったところだった。
「ほら、きっと昇降口で傘の盗難被害が出るぞ。生徒会に陳情が回ってくる前に見回り人員手配しないと」
「あっ……はい」
慌てて立ちあがる。
生徒会室を出ようとして窓の方を振り返ると、赤城先輩はまた窓の外の雲を見上げているところだった。
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