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恋煩い日記

2012年は毎日何かを書こう、という目標のもといろいろな創作をするブログになりました。

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素直にならない彼女

赤城のカノジョは意地っ張りで、恥ずかしがり屋さんですから、こうでもしないと自分の気持ちを言ってくれません。

難儀だなあと思うのだけれど、赤城は彼女がこういう性格だっていうのを分かっているから、普段から本当は彼女が何を言いたいのか、なにをしたいのか、っていうのがわかるのだと思います。
わかるというか、口ではこういってるけど、本当は違うんだよね、って考えるくせがついているんだと思います。

だけど、たまには赤城も彼女の言葉を額面どおりに受け取ってしまって、それでケンカになったりするのだと思います。


というわけで、彼女を素直にするにはこういう手しかあるまい。
と思って考えたのが、
・酒に酔う
・病気になる

この二択。







(病気になればいいよ)




彼女がとりだした体温計を受け取る。僕はそれを見て顔をしかめた。

「まだ、熱が下がらないね」
「だめ?」
「うん、ダメだね。 何か飲む?」
「うん。オレンジジュース」
「持ってくる。ちょっと待ってて」
「ありがと」

ぽやん、とした彼女の声を背中に聞いて、僕は部屋を出る。
暖房を利かせて締め切った部屋から出ると、途端に室温が下がっていて、ぶるっと身震いする。
いけない、僕まで風邪をひくわけにはいかない。

手早くオレンジジュースと、冷蔵庫にあったゼリーとヨーグルトを用意して部屋に戻った。
彼女はベッドの上で半身を起したまま、静かに目を閉じていた。

「お待たせ……。身体辛いの?」
「うぅん、大丈夫」
「ジュース持ってきたよ。それと、ゼリーかヨーグルト、食べる?」
「んー……、いらない、かな」
「何も食べないのもよくないぜ? 無理矢理でも食べないと」
「んー……」

ストローを刺したコップを手渡すと、彼女はそのコップを火照った頬に押し当てて目を細めた。

風邪をひいた、と連絡があって、慌てて必要そうなものを買いこんでやってきたのだけど思っていたより悪い状況だったのには驚いた。
ここでじっと寝ているよりは、さっさと病院なりに行って、薬を処方してもらったほうがいいと思うのだけれど。

結局、ジュースを飲んだ彼女はヨーグルトを半分だけ食べた。

「ほら、横になって」
「うん……」

両肩を支えてベッドに寝かせると、彼女はうるんだ瞳で僕を見上げてきた。

「赤城くん、ありがと。 赤城くんがいて、良かった」

な、なんだよ。いつもの意地っ張りはどこへ行ったんだ。……と言ってやりたいけれど、こんなにも弱っているところを見せられたら、僕もいつもの調子て軽口も言えなくなる。

「仕様がないな。今晩は、泊まって行ってやろうか? どうする?」
「うん。……一緒にいて。一雪くん」
「……っ!?」

ちょっ……と、それは反則だろう!
僕は真っ赤になっただろう自分の顔を見られないように、空になったコップを持って立ち上がった。



赤城ではないし、デイジーでもない。

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