祭りだ！

もういっこ。
たくさん書いて、少し感覚を取り戻さないと、ちょっとダメダメになっているのは自分の方だと思うのです。

続きは「オトナ赤城」です。
ゲーム中の赤城とはイメージがだいぶ違うのでご注意ください。

オトナ赤城は　このへん　とか　このへん　で出てきてます。

（ステーキとか、しゃぶしゃぶとか）



「誕生日？」
「うん、聞いてなかったなぁ、って」
「ふぅん。そういうの、気にするんだ？」
「気にするっていうか、プレゼントとかあげたり。誕生日って、嬉しい日でしょ？」
「まあね、そうかもね」

赤城くんの誕生日だけは、遊くんでもわからなかったんだよね。と雪は心の中で返事した。はね学の学生のことだったらなんでも教えてくれた遊くんも、さすがにはばたき学園は守備範囲外だったらしい。電話番号も誕生日も血液型も、「ごめんねおねえちゃん」と申し訳なさそうに謝られたことを思い出す。

だから、直接聞いてみることにした。
付き合い始めて、だいぶ時間がたっていて、もしかしてもう過ぎてしまっていたらどうしよう、と雪は少しだけ不安に思った。同時に、もしそうだった場合、それを口実に何をされるか……。それを考えると質問したことを少し後悔する。

「12月8日」
「……えっ？」
「12月8日生まれ。　君、忘れっぽいから心配だな」
「あ、あと一週間もないじゃない！」
「そうだね」

涼しい顔でコーヒーを飲んでいる赤城とは逆に、雪は途端に慌てだした。

「ど……どうしよう。どうするの？　わたし、なにも用意してないよ！」
「別にそんなのいいよ。君さえいてくれれば」

にっこり。こちらに向けられた笑顔に、思わず雪は赤面してしまう。……ダメだ。このペースに乗せられてはいけない。

「ダメダメ！　ちゃんとお祝いしようよ。せっかく……初めての誕生日なんだし」
「……うん、君がそう言うのなら、それでもいいけど」
「じゃあ。えっと、欲しいもの、ある？　用意できるならわたし、プレゼントするよ」
「へぇ。それじゃあ、君の手料理が食べたいな」

雪の提案に、赤城は即座に答えた。それから、雪の腕をつかんで自分のほうに引き寄せる。
簡単に倒れこんでくる雪の体を抱きかかえるようにして耳元に顔を近づけた。

「そっ、それじゃあ、なにが食べたい？　あ、やっぱりカレーがいい？」
「そうだなぁ……」

耳たぶに唇が触れるくらいの近さに、しどろもどろした雪が体を話そうとするが、赤城はそれを許さない。
雪は声が震えそうになるのを誤魔化すように続けた。

「じ、じゃあ何がいい？　お鍋とか、おでんとか？　あっ、せっかくだからすき焼きにしようか？　おいしいお肉買って……」
「うーん。それよりもさ」

手料理がいい、と言ったのは自分なんだけど、こんなに可愛い姿を見せつける雪が悪いよ。
赤城は心の中でだけそう言い訳した。これから言う台詞で、雪が更に可愛くなるだろうことを確信しながら。

「そんなものよりもーっとおいしそうで、もーっと素敵なものが食べたいな。……いや、わざわざ誕生日まで待つ必要ないか」

目の前にある真っ赤になった耳たぶに口づけた。
ひゃぁぁ、とか雪の口から可愛い悲鳴が漏れているのに気がついて、思わず顔がゆるむ。

「いいよね？　いただきまーす」

返事は聞かないよ。
赤城は大きく口を開いた。

---

「恋したくなるお題」様からお題をお借りしました。
『俺様に捧ぐ台詞』
08. 「そんなもんじゃなくて、むしろお前を食わせろよ」